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18話 「謁見 約束」


悪魔王からメルサに出された、指令の海岸にたどり着いた。


魔族の側のずっと奥、


オーガの里はほぼ最奥だと思っていた。

ある意味正解だった。

ここに着くまで、他に魔族の集落はなかった。


あったのはクーの屋敷だけ。



「指定されたのは四角錐の建造物…」


遠くの海岸線に、それらしきものが見える。


その四角錐の建物に近づいていくと、

思っていたよりも距離があった。


近づいたら大きかった。


「でかッ」

一同が思わず声に出てしまうほどに


石造りの…

誰が何のためにこんなものを。

こんなところに建てたのだろうか。


不自然な、古い建造物。

ウィルが居たら、絶対に興味を持つであろう。


「本当にここで合っているのかしら」

メルサは不安そうにしている。


「何故だ? 王とかいそうな建物じゃねぇか」

俺はウィルと違って、

歴史には興味なかったが

単純にこの建物には、男心をくすぐられる。


「だからこそよ、 

魔族側の奥で、

こんな建造物を構えているなんて

普通ではないわ」


「め、メルサはビビりだなぁ、 

ウィルとの約束もあるんだ、

ほら、さっさと行くよ」

そう言うテンの声と足も、震えている。


前を見ずに歩き出したテンに、

誰かがぶつかった。

「あいた」

テンがその場で転げ落ちる。


「あらメルサ久しぶりね」

奥から現れたのは、

最近隠しているメルサよりも、

悩殺ボディの悪魔。

しかし、メルサのような、

遊んでいる感じよりは

白いピシッとしたローブを身にまとう

清楚で大人しそうな雰囲気…そそる


それ以上にそそる外見…


里にあった書物の中、

唯一、俺が興味をそそられた箇所。


他種族の事が書かれている箇所。

人間のほかに、

いつかは会いたいと思っていた2種族。


エルフとハーピィ、

両方の血が入っているだろう。

とんがった耳に、

きれいな白い羽、


美しい…

素晴らしい…

悪魔は両種族の良い所取りを出来るのか。


いかん…反応してしまう。


メルサはそんな俺の顔を見て、

一瞬不機嫌そうな顔をするも、

女の方に向き返り、


「ハープ 久しぶりね、 

知らなかった。あなたは直接仕えていたのね」


「ええ 幹部の中では私だけ、 

あなたを含め他の幹部もここを知らないわ。

あとは四方を守る眷属だけ。

ほら、中に入りなさい」


俺たちは導かれるまま、中に入ると、

中は外とは異質な気配が漂っている。

メルサが一番敏感に反応していた。


「結界よ 警戒しなくても。 

聞いての通り、あなた達は迎賓。

この結界は放浪者を弾くためのもの、害はないわ」


そう言いながら、

薄暗く細い道をまるで明るいかのように、

つかつかと歩いていく。

メルサと同じで、感覚器官が敏感なのだろう。


「…あなた 極度の男嫌いでしたよね、

オーグンが居てもいいの?」

メルサが口を開くと、


「正直、虫唾が走りますわ、

でも、これも任務。

私はなすべきことをやるまで…」


俺が仁義なき言葉に、落ち込みかけた時、

ハープの声が広がり、

薄暗いながらも、大きい通路に出たのだと分かった。


「うほぉおう本当に外の者だぁああ」

上空から子供のような声がして、上を向くと、

天井が高い通路には、いくつもの他につながる道があり、

迷路のような上の階があった。


俺たちは三方から覗かれていた。


「なんだ?」


「おう! オーガよ わちしは朱の鳳凰なぁりぃ」

最初に声を上げた小娘、

燃えている羽を、バタバタさせながら言った。


「おう てめぇがあのオーグンか‼

用事が済んだら、手合わせ願う。

俺は白の虎だぁ よろしくな」

図太い声に隆々の筋肉、 

白い虎の獣人が雄々しく、叫んだ。


少し親近感が沸く。


「儂は黒の亀 玄武、 

もう一人はここにいないが、我らが悪魔王の眷属じゃ」

甲羅から出る手足で、杖を突きながら

よろよろと歩く、黒ひげの爺さんも続く。


彼らが眷属、

普通の者でない雰囲気を、醸し出している。


正確な実力は分からないが、確実に強い…


「あなた達仕事はどうしたのよ」

ハープが彼らを咎める。


ここも力だけが、関係を決めているわけではなさそうだ


「なぁーにわしらは、まとめて奴の交換要員じゃ

奴が仕事してくれている時は、わし等は手持無沙汰じゃ」


「だったら私と変わりなさいよ、

何でこんな気色悪い男と、同じ空気吸わなきゃいけないのよ」


ちょっと…俺今回はまだ何もしていないのだが、、、

夢にまで見た可愛い子に、ここまで言われると、

メンタルがブレークしちゃう…


「それこそお主の仕事じゃろう」

ハープはぐぬぬと、玄武の言葉を飲み込むと、

黙ってツカツカと、早足で歩き出した。



狭い迷路をたどり、

連れていかれた広間。


中央に飾られた、台座のような物が、置かれるのみの空間。

どう先回りしたのか分からないが、

早足の俺らより、眷属の三人は先に着いて、

中央に膝まづいていた。


ここであの悪魔王に会える。

アキナの里をめちゃくちゃにした…

アキナの顔を思い出すにつれ、

私情も混じった怒りがわいてくる。


ブンと台座の前に、何者かが現れた。


俺はその瞬間走り、拳を振りかぶって、殴ろうとした。



止めた。


「私が悪魔の頭取 ウィンザードです」


俺が殴ろうとしたのは、きれいな人間の女だったのだ。



「良かった」と思ってくださったら

是非ブックマーク、★★★★★をお願いします。

筆者が泣いて喜びます。




⚫︎囚われ姫は魔王に救われる

https://ncode.syosetu.com/n1925ii/


恋愛に憧れるが運命を定められた姫を封印が解かれた暴君魔王が攫う物語です。

勇者が姫を救おうとするが、姫は運命か自由かの選択を迫られます。



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