表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最恐オーガですが、他種族の女の子と仲良くしたいだけです  作者: あいだのも
出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/54

1話 「日常」



 のどかな草原地帯、

 ここらは人間と魔族の境界線、

 とはいえ『相互不干渉』

 争いは起こらず平和なもんだ。


 目の前には高貴な装備を身にまとった、

 人間の女の子が立っている。


 美しい金色の髪

 鎧の隙間から見える 

 まだ若いのだろう、

 ピチピチの張りのある肌


 この子…


 とにかく可愛い‼


 別につけ回した訳じゃない…

 本当だ。


 たまたま偶然こうして出会ってしまった。



 運命だ…



 「な、なんでこんなところに、オーガがいるのよ」

 焦っている……

 可愛い‼‼

 まだ駆け出しの冒険者だろうか?

 ああ、大丈夫だよ…

 俺は君を襲う気はないから…


 しかし、性欲と食欲は同じというが、

 高まるとよだれが出てくる。


 可愛い子を食べちゃいたいって、

 こうゆう感覚をいうのだろうか…?


 いや、決して食べることはない。

 それだけは断言しておく。


 俺の下半身が熱くなるにつれ、

 冒険者の女の子の顔色が、

 みるみるこわばっていく。


 悪いな…

 そうゆうつもりはないんだ、

 生理反応なんだ許してくれ…


 時々冒険者と出会うことはあるのだが、

 大多数が男、

 その男ですら半数は俺を見た瞬間、

 全速力で走り去り、

 残りの半数はその場で失神する。


 だが、しかし、

 この子はまだここにいてくれる。


 だから決心した。


 「俺と…」

 剣を構える女勇者。


 「俺と結婚してください‼」 

 愛の告白をするのだと‼


 親指をのけぞらせ、

 指の爪が手のひらに刺さり、

 血を流しながら言う。


 これが男として、

 女の子に愛の告白をする時の、

 挨拶なのだ。


 精一杯の愛を伝えた…


 「キャアアアアア」

 一目散に逃げる女勇者


 俺はこの世の終わりを悟った。




 魔法を使い、

 空中でポーションをどんぶりに注ぐ、

 王子ウィル。


 俺は力なく、

 切株から切り出した椅子に、

 座るしかできなかった。


 ダメだ精一杯の愛を拒絶されたんだ。

 そう簡単に立ち直れるはずはない。


 「ダメだよ オーグン 

 いきなりそんなこと言ったら…

 せめてお友達から始めないと…」



 ヒック ヒック……⁉


 !!?


 確かにそうだ…

 俺は功を急ぎ過ぎたのかもしれない…



 ウィルの妖精ムーが励ますように、

 オーグンの肩を叩く。


 「ほら ポーション飲みなよ。 

 手のひら痛いでしょう?」

 俺はこの世のすべてに絶望した酔っぱらいのように、

 どんぶりのポーションを一気飲みした。


 手が治っていく、

 手の傷が治っていくにつれ、

 心の傷が浮き彫りにされていく。


 「なぁ ウィル… 

 手の傷はポーションで完治するのに、 

 胸の痛みは治らないんだなぁ。」


 「…そんなに女の子と仲良くしたいなら、

 オーガの女の子としなよ、

 君は族長だろう?」


 バサッ バサッ


 どこから来たのか大きな火の鳥が、

 片付けしているウィルの後ろに、羽ばたいてる。

 「我はこの世の秩序を守るもの」


 俺は震えた。


 「オーガはここにいてはならん、今すぐ立ち去… 」


 俺はその場にあった小石を、

 火の鳥に軽く投げた。


 小石は火の鳥に激突し、

 火の鳥がその場で気を失う。

 「悪い 今それどころじゃないんだ」


 そうそれどころじゃない…

 世界の秩序とかどうでもいい…


 そんなことより大事なことが、

 ここにはある。


 「なぁウィル… 」


 「あーあ、この子もかわいそうに…」

 ウィルは魔法で火の鳥の治療をする。


 俺は声をふり絞る。


 「オーガの女は死ぬほど怖いんだよ…」


 ウィルは唖然としていた。 

 「君より怖い者が居るなら見てみたいよ」

 とため息交じりに言った。



 オーガの女は怖い。

 戦闘力の問題じゃない。

 

 だが、対峙するだけで、

 何かが吸い取られているような、感じがするんだ。


 呆れるウィル

 「族長の君がそれを言ったら、オーガ族滅びるよ…」




 「た、助けて… 」


 突然、

 遠くでかわいらしい声が、助けを呼んでいる。


 俺の女の子声にだけ敏感な聴覚は、すぐに反応した。


 遠くで女の子が魔物に襲われている。


 気付いたら走り出していた。


 「ちょっとオーグン待っ…」


 女の子に敏感な感覚に、

 ウィルの声など聞こえなかった…


 もしかしたら一刻を争うかもしれない。


 「はぁ はぁ」

 全速力で走った。

 可愛い声の元に、



 走っていくと、

 魔物に襲われている、しっぽがある綺麗な女性がいた。


 獣族だろうか…

 美しい‼

 出るとこは出て

 引き締まるところは

 引き締まった身体

 真っ白な毛並み

 ピクピクと動く耳


 この出会いこそが運命だ。


 「待っていろかわいい子ちゃん、今助ける!」

 オーグンの迫力に、

 襲っていた魔物は散る。


 一瞬女性は手のひらの隙間から、

 不気味な笑みを見せた気がした…


 が


 「ぎゃあああああ」

 俺の迫力に彼女は気絶してしまった。


 「あ、あれ あれぇー?」

 何故だ…

 この子を助けるために、

 全力で走ってきたのに…


 後ろからウィルが歩いて来て、

 肩をポンと叩く。


 「まったく… だから止めたのに… 

 ほら、オーグン行くよ」


 再び絶望のふちに立たされた。

 俺は他種族の女の子と仲良くすることは、

 出来ないのだろうか…?

 ウィルが俺を魔法で繋ぎ、連れていく。


 「ウィルま、待ってくれ」


 「何? 夜這いとか言ったら笑えないからね」


 夜這いか…確かに…いやダメだ、

 夜這いなんかしたら、

 女の子と仲良くなれない。


 でもそれじゃない。


 ビリビリ


 俺は女性に自分のパンツを破った布をかけた。


 「あれなら寒くないし、

 俺の匂いで他の奴らが襲わないだろう」

 我ながらよき計らいだ。


 匂いでうなされる女性の事まで、気にならない。

 ウィルは同情の目を、女性に向けている。


 そして同情の目を、

 軽蔑の眼に変えて、

 俺を睨んできた。

 「オーグンお尻丸見えなんだけど…やめて…」


 うーん…

 俺が女の子と仲良くなれる日は、まだまだ遠そうだ…





ーーーウィル視点ーーー




 オーグンと生活を初めて数週間が経った。


 相変わらず彼と一緒にいる時間は楽しい。


 毎日毎日くだらない事件を起こしては、

 勝手に落ち込んでいる。

 今日は人間の冒険者の女の子に、フラれたそうだ。


 今までは盗賊に紛れた女子など、

 境界線に住むような人たちは、

 オーグンを見かけると、

 すぐ逃げるような人ばかり。


 しかし今回は一人なのに、

 すぐ逃げなかったらしい。


 オーガ族といえば誰しも怯えるのに、

 度胸のある女子だ。


 だが、高貴な服装で剣を使う…

 少し嫌な予感がする…


 手に傷を負っていたので、

 ポーションを与えたら、


 手の傷は治るけど、

 心の傷は治らないとか言い出した。

 あの見た目で泣きながら言い出したので、

 吹き出しそうになった。


 オーグンは真面目顔をしていたから、

 僕は何とか耐えたが、

 吹き出していたら怒ったのだろうか。

 多分落ち込んだのだろう。


 オーグンは見た目のわりに心は弱い。

 今までほとんど怒ることなんてなかった。


 いや、人間も魔族も何も変わらない、ということなんだろうな。


 とか言って落ち込んでいたはずなのに、

 いきなり立ち上がって走り出した。


 女の子の声が聞こえたと言って。


 「走りながら突進してくる、

 オーグンより怖いものはない」と

 止めたが、耳には入らなかったようだ。


 オーグンを追いかける、

 としっぽの生えた女性が一人倒れていた。


 この子は魔物だ。


 しかも関わらない方がよい部類の…


 僕はすぐここから立ち去るように促したが、


 オーグンは何を血迷ったか、

 自分のパンツを破きだした。


 ありえない…


 こんな開放的なところでお尻が丸見えだ、


 変態だとは重々感じていたが、

 そうゆう趣味もあったのだろうか?


 そしてパンツから切り出した布を魔物にかけた。


 僕は複雑な気持ちになった、


 確かにオーグンは厚意で行っているのだが、


 この魔物はどうだろうか…

 オーグンの強い魔臭に「うーうー」うなっている。


 確かにこれがあれば冷えることはない、

 他の魔物も寄ってこないだろう。


 うーん…

 まあ今回はオーグンの厚意を大切にしようか。


 とまあこんな風に僕の日常は、毎日刺激にあふれている。


 王宮にいた時は、決して味わうことが出来なかったものだ。



 ここに居れば、僕は僕らしくいられる気がする。



●キャラクター紹介

 名前:オーグン

 種族名:オーガ

 魔魂:B 

 魔躰:S

 寿命:約1000年

 能力:特になし

 一言:「俺は女の子と仲良くなる‼」


「良かった」と思ってくださったら

是非ブックマーク、★★★★★をお願いします。

筆者が泣いて喜びます。




⚫︎囚われ姫は魔王に救われる

https://ncode.syosetu.com/n1925ii/


恋愛に憧れるが運命を定められた姫を封印が解かれた暴君魔王が攫う物語です。

勇者が姫を救おうとするが、姫は運命か自由かの選択を迫られます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ