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最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい【完結】  作者: あいだのも
オーガの里
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10話 「帰郷 オーガの里」


なんとか山脈を超え、

ほにゃらら砂漠を歩き、

名もない大河を渡り、

精霊が住むと言われる大森林を迂回し、


数ヶ月人間と魔族の境界より、

ずっと魔族側の奥、

オーガの里へ帰るべく、旅をした。


人間は強い力を持つものほど、

魔族との境界線に住んでいる。

ウィルの王国が一番の例だろう。


それに対して、

魔族は強い魔族や魔物ほど、

人との境界線には住みたがらない。


よって知能も力も低い魔物が、

境界線近くに住んでいる。


オーガの里は魔族側より、

だいぶ奥の方にある。

長い旅だ。


行きは一人だったので、

どこでも野宿をしながら、

魔物を狩りながら、旅をしていたが、

今回は違う。


ウィルは強くとも人間、

俺みたいに、どこでも寝られる訳ではない。


テンもこのあたりの魔物は強いため、

常に気を張っている。


メルサは特に長旅には慣れていなかった。


ゆっくりと腰をおろして休憩が出来る場所、

各地に点々とある悪魔軍の拠点だけだった。


ウィルは国に攻め込まれているだけあって、

悪魔を警戒していたが、


悪魔軍の拠点とはいっても、

実際は、流れ者の集まる場所。


むしろ悪魔の方が、俺を警戒していた。


拠点といっても、村のようなもので、

女、子供も生活していた。


来るもの拒まず、

去るもの追わず、


迫害されたはぐれものが、

隠れて住み着いているような所だ。


治安はお世辞にも良いとは言えない、雰囲気ではあったが、

出たら生きていけない者ばかりであったため

際立った事件は起こらないらしい。


様々な種族の文化が融合され、

結構発展していた。


案外居心地は悪くなかった。



が、やはり魔族の村は、

入れさえしなかった。


今回は一人旅ではなく、

砂漠で水と食糧がなくなってしまった。


魔物もほとんどおらず、

大気に水が無いため、水魔法も使えない。


どうしようも無くなった時、

たまたま、リザードの村にたどり着いたが、


リザードの村の門は硬く閉ざされ、

中は大騒ぎ。


なんとか門前で、なけなしの金と魔道具を払って、

水だけわけて貰った。




悪魔もそうだが、

どこも似たような、

言語と通貨、暦が流通している。


なぜこんなに文化が似ているのに、

交流が無いのだろうか…?



そうこうしている内に、

懐かしの故郷についた。


火山が近く緑がほとんどない、

荒れた岩だらけの土地。


到着すると、

門番のオーガ達が慌てだし、

一人は大急ぎで、村へ入っていった。


住んでいる時は感じなかったが、

やはり人間の国と比べると、村は小さい。


いや、人間の国が大きすぎるのだろうか。

初めて見た時の興奮は凄かったな…


人間は寿命が短いから、入れ変わりが激しく、

文化もどんどん発展していくんだろうか。


オーガの里はゴブリンの村よりは大きいが、

点々としてない。

この一帯で大体1000人くらいだ。


一年に4人程生まれ、

1人程寿命で死に、

病気か事故で同数ほど程死ぬ。


旅をしていた身からすると、

とてもゆったりとした、時間が流れている。


この辺は強い魔物ばかりだが、

オーガもかなり強い種族。


隠れる必要はないのだろう。


帰ってきたからには実家に帰り、

親父とおふくろの顔を見なきゃな。


見たらウィルとテンがニヤニヤしていた、

心の中を見透かされている…

そんなに俺は分かりやすいだろうか…?


門番のオーガが帰ってきた。

彼女らは丁重にお辞儀すると、門が開いた。


あっという間に人だかりが出来ていた。


ほとんど…女


こことぞばかりに触ってくる。


オーガは性欲が強いのだが、

男が少ない。

女の競争率がものすごく高い。


そんな高い性欲と競争率の不釣り合いが、

オーガが強い所以なんだろうが。


俺はそんな女が怖い。


小さな時からあらゆるとこを触られ、

それこそトラウマだ。



「しずまれぇええええ」

図太い声がこだまする。


声のする方、 

この近くで一番高い岩山の上に、

男のオーガが一人。


懐かしい…

オーガには珍しく、筋肉より脂肪が多い。

中年のオーガ。


親父だ…

感動的な再会…


「オーグン、

なんだてめぇ、もう帰ってきたのか。

がははは、 

なんだかんだ言って、みみっちいなぁ‼」


…では無かった…


想像していたのと違う…


「どうだ? 

つえぇだけじゃ世の中通用しね…」

話しの途中で、

ドンっと、親父が岩山から蹴落とされた。


うぉおあああああと叫びながら。

親父が転び落ちる。


親父を蹴落としたのは、おふくろだった。


親父とは正反対の、

細い女性の身体に、

きっちり無駄無く詰め込まれた筋肉。

中年のはずだが若く見える。

一般的には美しいという言葉が当てはまるのだろう。


だが、それ以上に歩くという一動作だけで、

身体中すべてを、

思いのままに操っていると分かる、佇まい。

見ただけで分かる、強者の風格。


「オーグンよく帰ってきたわね、

あなたもいい年になってきたんだから、

早く女に子を生ませなさ…

なぁーにオーグン?その女?」

おふくろの視線が、メルサに注がれる。


メルサが身震いする。


メルサの並外れた感覚が、

この人のヤバさを感じ取っている。


思ってた家族の再会と違う…


いや、アキナで美化しすぎていたが、

うちの親はこんなのだ。

帰ってくるべきではなかったのか…?


「族長のあなたはオーガを嫁とし、

オーガを生まなくてはいけないのよ。

分かっているわよね?」


今まで発情していた、

周りの女オーガ達の雰囲気が、

一気に怯えに変わった。


それほどまでに皆が思っている。


母は怖い。


両親の馴れ初めなんて、

聞きたくは無かったが、

いやというほど、周囲から聞かされた。


族長であった父は、各地を放浪していた。


その間オーガの里は長が不在。

収集がつかなく、荒れるはずだが、

母がいた。


母は歴代のオーガの族長を入れても、

群をぬいて強かった。


女であるのが、悔やまれる程に…


彼女の強さの下に、族長不在でも、

オーガは反乱など起こること無く、

まとまっていたらしい。


そして誰もが父の婚約者として疑わなかった。


父がふらっと帰ってきたときに、

母は父を捕らえ結婚した。


一夫多妻のなか他に嫁になるような、

気概のある女は居なかったので、

父に妻は一人だ。


懐妊し難く、

男の出生率も低いオーガだったが、

「私は男の跡継ぎを生む」といって、

一発で俺を生んで隠居した。


母が隠居すると、

その分抑えていた他の女の欲求が、

全て俺にぶつけられ、

母に続けと、

俺に執拗にまとわりつくのだろう。


俺の生まれながらの強さは、

族長の父のではなく母の遺伝だ。

父のは放浪癖だ。


母の強さに、メルサは心の底から恐怖している。


俺ですら足がすくんでる。



「お、大奥様、私は悪魔軍幹部メルサと申します。

私は悪魔軍内部にて、

生涯を共にする伴侶がいる身、

オーグン様には手出しなど、出来ません」


うん?

メルサにはパートナーがいたのか?


テンの尻尾がピーンと立った。

あ、今のは嘘だな…

意外と嘘は分かりやすいのか。


でも、母とメルサは初対面…

通用するのだろうか。


「あら、うちの子があなたみたいのといて、

手を出さないと思わないけれども?」


「ハッ、ウィル殿とも、

契りを交わしましたので、

我が主悪魔王に誓って」


メルサは自身の手に刻まれた、

魔法陣を見せる。


「そう、そこまで言うなら良いわ。

私が今からすることを、邪魔さえしなければ、

あなた達に危害は加えません。

村でご自由にお過ごし頂いて結構です」


すぅっと母は息を吸い込むと、

「皆の衆…」


魅力的な声、という点では似ているが。

以前ムーン様の包容力がある声とは違う。


人を従える威厳のある声だ。


「我が息子オーグンの貞操を奪った者、

すべてにオーグン族長との婚約を認めましょう。

オーグンは私が此村から逃がしませんので」


貞操…ちょっとまった…


と言おうと思ったのもつかの間。


きゃあああああ


オーグンに一気に群がるオーガの女。

「お、おい!ウィル助けてくれ!」


ウィルは両手を広げ諦めのポーズをしている。


「僕もオーグン、レベルのあの人がいる村で、

この数のオーガ相手には、何も出来ないよ、はは」


はは、じゃねぇ!

あの野郎…また楽しんでやがる。


うぎゃあああああ



族長、自分の村での逃走生活

幕をあけるのであった。


「良かった」と思ってくださったら

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筆者が泣いて喜びます。




⚫︎囚われ姫は魔王に救われる

https://ncode.syosetu.com/n1925ii/


恋愛に憧れるが運命を定められた姫を封印が解かれた暴君魔王が攫う物語です。

勇者が姫を救おうとするが、姫は運命か自由かの選択を迫られます。



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