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せんごく女子高生  作者: 松原正一
1/2

私と真田幸村はどうし?!

★シナリオ表記

真田幸村は普段から幽霊のため・・・幸村

真田幸村が上田京香の身体を支配している時・・・京香(幸)

その時の幽霊状態の上田京香・・・京香(霊)


★ルール

悪霊もしくは家康を封印するためには、霊力を帯びた武器で攻撃しなけれならない。幸村や京香の場合は霊力を込めることで武器が光り輝く。悪霊たちの場合は武器が黒い闇に覆われる。ただ攻撃しただけでは封印できない。相手が誰か人間を支配している状態のみ有効。支配されてる人間をただ殺しただけでは封印はできない。封印されると二度と魂が現世に戻ることはない。 普通、悪霊に人に憑くと自由に動き回れるが、魂は何十年も消滅しない。そ のため、ただ憑いている状態は不安定で、誰かに封印された場合、憑かれた 人間の魂は存在しているので、支配時の記憶を失っているぐらいで、特に命に別状はない。悪霊はその状態ではいつ消滅するか分からない状態なので、人間を完全支配したいと思うが、簡単なことではない。ただ京香と幸村は生まれ変わりのため、肉体と魂の絆が強いため、一日10分以上支配されると、支配された側(つまり京香)の魂は迷える魂になり、 自分の肉体に戻れなくなる。


あらすじA

上田京香(17)は看護師志望の受験を控えてる高校生。昔から戦国時代の

合戦で男が家康を探し戦う姿を夢で見ていた。18の誕生日が近づき、毎日見

るようになる。そして誕生日。夢の中の男、真田信繁(幸村)と出会う。大坂

夏の陣で死んだ家康が再び現世に甦り、家臣を復活させ、家臣と共に死者によ

る日本統一を狙っていた。現在、新興宗教団体を結成して着々とその準備を進

めているとの事であった。幸村は京香に私の生まれ変わりなのだからその阻止

に協力してくれと頼む。しかし人を傷つけるのが嫌いそして信じられない京香

は必死に説得する幸村の頼みを断りつづける。そんな時、京香は家康の部下に

命を狙われる。何もできない京香を助けたのは幸村だった。幸村は京香の身体

を一時的に支配して撃退する。京香は幸村が望めば自分の身体は幸村に支配さ

れる事を知る。幸村は京香の夢や未来まで奪ってしまう事を恐れ、完全な支配

はしたくない。そんな幸村の優しさに心動かされた京香は協力する。京香と幸

村は受験勉強をしたり、修行をしながら少しずつ互いに心を開いていく。そし

て京香と幸村は悪霊狩りを始める。それが軌道に乗り始めた頃、荒城率いる「

SHINTOU」も新たな段階をふみ、積極的な行動に出ていく。それを防ぐ

中で幸村が、2・26事件の際に月香の力を借り家康の野望を防いだ事を知る。

月香は幸村の封印を防ぐために自害していた。その事を今でも後悔している幸

村は宿命と月香への思いで悩み苦しんでいた。受験前日の夜。荒城は日本支配

を目論んだ軍事行動にでる。その阻止に向かう京香と幸村は本山達の抵抗に合

いながらも家康そして天波を封印する。役目を終えた幸村も消えていく。悲し

がる京香に幸村は京香の看護師として働く姿を見れないのが名残惜しいが出会

えて良かったと言い、消える。京香は翌日、眠気を振り払いながら試験を受け、

無事合格し、看護師になるために勉強をする。



★登場人物表

☆上田京香(17)看護師を目指す普通の高校生で真田幸村の生まれ変わり。

         一日、10分以上幸村に身体を支配されると京香の魂は迷

         える魂となる。幸村が支配した状態で、悪霊に支配された

         人間に倒されると幸村は消滅してしまう。

         修行により、霊力を込められるようになり、自分の力で封印

         できる。

☆真田幸村(京香と同じ17歳の姿)幽霊。復活した家康を倒すために甦る。

         京香と記憶を或る程度共有している。京香の身体を自由に

         支配する事ができる。霊力を込めた攻撃で悪霊を封印でき

         る。2・26事件の際にも復活し、家康の野望を打ち砕い

         たが、封印する事までは出来ず再び舞い戻った。

☆荒城聖家(40)政界・財界・官僚にも力を持つ宗教団体「SHINTOU」

         のトップ。家康の現世での姿。大坂夏の陣で志し半ばで討

         ち取られた事から悪霊となる。2・26事件では、裏で糸

         を引いたが幸村達に阻止され、また復活した。日本制圧と

         幸村の完全封印を狙っている。

☆本山忠雪(33)徳川四天王の一人。本田忠勝の現世での姿。荒城(家康)

         の片腕として軍事部門のトップとして働く。

☆井川次高(34)徳川四天王の一人。酒井忠次の現世での姿。荒城(家康)

         の片腕として様々な計画立案などの調略部門のトップとし

         て働く。

☆天波満(25)南光坊天海の現世での姿。夏の陣で討ち取られた家康の影武

        者を立てたり、2・26事件・そして現在の家康を復活させ

        た。

☆清家月香(17)2・26事件の際に幸村に身体を提供して、幸村と共に徳

         川四天王である榊原康政と井伊直正を封印して、家康の野

         望を阻止した。しかし後に家康に捕まり、幸村が封印され

         そうとなったため、それを防ぐために自害する。

☆西尾隆(18) 現世の西尾仁左衛門(真田幸村を討ち取った人物)

☆西野玲子(18)京香の友達

☆上田辰巳(45)京香の父親で医者

☆上田景子(43)京香の母親で看護師

☆石原千代(76)月香の叔母。回想シーンでは6歳。

☆飯田安正(30)徳川四天王の一人。井伊直正。2・26事件で幸村に封印

         される。

☆榊木政也(30)徳川四天王の一人。榊原康政。2・26事件で幸村に封印

         される。

☆信者      「SHINTOU」信者。年齢性別問わずいるが、悪霊に

          憑かれているのは主に若い男性信者。悪霊に支配されて

          いる信者は攻撃するとき、目が真っ赤に染まる。

☆青年将校    「2・26事件」の際に活躍した青年将校たち。悪霊に憑

          かれている青年将校も多い。

☆その他      町の人々・学校の先生・京香の友達。各機関の幹部や構

          成員などなど







001 大坂城(夢)

          大砲が打ち込まれ、ぼろぼろになった大阪城。そして大

          坂城のふもとでは、戦国時代の合戦が行われている。

          六文銭の旗印の下、一人の男が槍を振るい戦っている。

京香       「またか・・・」


タイトル     「せんごく女子高生」


S# 002 都心から少し離れた田舎の風景

          都心が臨める風景。田んぼに囲まれた学校がある。


S# 003 海野高校表門前

          海野高校の表門プレート。チャイムが鳴っている。

帰宅中の生徒達が勉強の話をしている。


S# 004 少し田舎の商店街

          にぎやかな商店街。


S# 005 商店街にある八百屋

          上田京香(17)が野菜をしっかり見て買っている。

          八百屋のおばさんが京香に声をかける。

おばさん     「京ちゃん!京ちゃん!」

京香       「こんにちは!」

おばさん     「今日はキャベツ!!」

京香       「キャベツ・・・うん・・・今日はあれにしよ!」


S# 006 商店街にある本屋

          京香が参考書コーナーで参考書を見ている。

          高校生と京香がぶつかる。

          よろめく京香の耳からイヤホンが外れる(英語のCDが

          流れる)

          高校生が店を出て行く。

京香       「・・・もう」

          京香がまた参考書を読み始める。


S# 007 商店街にある饅頭屋

          頑固に元祖!ふわふわ饅頭!の立て看板。

          京香が重そうに荷物を持ちながら歩いている。

主人       「おっ!京ちゃん!今日はいつも以上にふわふわだよ!」

          京香がうれしそうに饅頭を買ってる。

おばさん     「がんばってるかい?」

京香       「う~ん。一応がんばってるよ・・・」

主人       「そっか!よし1個サービスしちゃうよ!」

京香       「ありがと!」

おばさん     「主人がもしもの時は頼むよ!」

主人       「お前、京ちゃん任せか?」

おばさん     「もう、これ以上面倒見切れないよ」

主人       「こっちの台詞だ!」

京香       「もう・・・おばさんもおじさんも・・これありがとね」


S# 008 川原

          京香が参考書を読みながら、歩いていると「危ない!」

          の叫び声と共に、野球のボールが飛んでくる。

          驚きながら、しりもちをつく京香。

少年       「すいません」

          頭を下げ、ボールを取って去る。

          京香が饅頭の入った袋を踏み潰している。ぺったんこに

          なった饅頭(ふわふわ饅頭)

京香       「(悲しそうに)私の・・・ふわふわ饅頭・・・」


S# 009 上田家キッチン(夕)

          京香が参考書を読みながら、手馴れた様子で料理をして

          いる。

          キッチンに手紙がある「今日も遅くなるけどごめんね。

          ママより。PSがんばるのは良いけどちゃんと寝るのよ」


S# 010 上田家リビング(夜)

          京香が3人分のロールキャベツを用意している。参考書

          を読みながら食事をしている。潰れた饅頭を悲しそうに

          食べる。


S# 011 予備校の教室(夜)

          京香が英語の授業を真剣に受けている。


S# 012 予備校のロビー(夜)

          帰ろうしている京香。西野玲子(18)に出会う。

玲子       「京香!英語?」

京香       「うん。英語」

玲子       「京香は英語得意だからいいよね」

京香       「そんなことないよ・・・まだまだ覚えなくちゃいけない

          こと山積み」

          玲子が京香の単語帳を見る。

玲子       「また~。京香1500近くでしょ。私なんて300を行

          ったり来たりだもん」

京香       「某だってずっと繰り返しだよ・あっ」

玲子       「某?なにそれ?なんかはやってるの?」

京香       「えっ・・ごめん。いい間違った・・・」

玲子       「なんか最近・・・京香おかしいよね?どうしたの?あれ?」

京香       「最近・・・毎日見るんだよね・・・」

玲子       「もしかして・・武士の霊にとかにとりつかれてたりして?!」

京香       「ええ!変なこと言うのやめてよ・・・」

玲子       「冗談!冗談!疲れてるんでしょ」

京香       「・・・そうかな・・・」

玲子       「そういえば、京香!あさって誕生日でしょ!」

京香       「あ、そうだ。忘れてた」

玲子       「何よ!それ?英単語なんかより、誕生日の方が大切でし

          ょ!」

京香       「うん。まあ・・・そうだけど」

玲子       「彼氏でもいれば、忘れないの!」

京香       「・・・うん・・・」

玲子       「ほんと!もったいないなあ。京香可愛いんだから英単語

          一つ覚えるより簡単に彼氏なんか作れるよ!」

          玲子が周りの目も気にせず大声で話す。京香が困った感

          じで辺りを見まわしてる。

京香       「玲子はどうなの?彼と?」

玲子       「もう・・・ラッブラブ!!・・・多分前世から付き合っ

          てたね。私達!」

          ロビーにあるテレビでニュースが流れている。

アナウンサー   「6月1日、9時のニュースです。SHITOU関連のニ

          ュースからお伝えします」

          SHINTOU(新興宗教団体)の特集が流れる。

          解説者がSHINTOUを批判している。

          京香と玲子がその前を通りすぎる。

          高校生(18)(西尾仁左衛門)が京香をじっと見てい

          て、にやりと笑う。


S# 013 京香の部屋(夜)

          カレンダー(6月1日)

          京香が勉強をしている。時計(11時半過ぎ)

          窓から風が入ってくる。京香がびくっとして、辺りを見

          回す。鏡が怖くなって、鏡を倒す。

          京香が必死に勉強をまた始めるが、うとうとして、倒れ

          るように寝てしまう。


S# 014 大坂夏の陣(夢)

          戦国時代の合戦の夢。大阪城が見える。

京香N      「・・・また・・・同じ夢」

          矢を受けたり、傷を負っている真田幸村が敵兵をなぎ倒

          している。幸村の息遣いが荒い。

          周りにいた兵を倒して、倒れている旗を踏みつけ辺りを

          見まわしながら歩いてる。


S# 015 京香の部屋(夜)(夢終わり)

          京香が目を覚ます。時計(2時過ぎ)

京香       「ああ・・・もう一日終わっちゃった・・・」

          京香がカレンダーをめくり、勉強を始める。


S# 016 京香の家の前の道路(夜)

          西尾がカッターナイフを取り出す。真っ黒な闇がナイフ

          を覆う。怪しい笑みを浮かべ京香の部屋を眺めている。

西尾       「・・・」


S# 017 京香宅リビング

          テレビで解説者が死んだ(殺された)事が流れている。

          辰巳(医者)景子(看護婦)小さい頃の京香と双子の兄

          の京一の写真が飾ってある。

          上田辰巳(45)でと上田景子(43)が食卓にいる。

          ラブラブな感じの二人。

          京香が眠そうに入ってくる。

京香       「おはよう・・・」

辰巳       「おはよう!!」

景子       「おはよう~京ちゃん」

          京香が眠そうにしながら、食事をしている。

景子       「京ちゃん。ごめんね。今日もパパとママ帰りがくなりそ

          うなの・・・」

京香       「(あくびをしながら)了解~」

辰巳       「明日の夜は、パパもママも早く帰るからな」


S# 018 学校の校庭

          生徒達が部活動をいそしんでいる。


S# 019 学校の教室

          京香が先生と面談をしている。

先生       「上田は・・・国立の看護大学・・・」

京香       「はい」

先生       「まあ、上田は模試の成績も良いし、がんばってるから大

          丈夫だと思うが・・・気を抜かんようにな」

京香       「はい」


S# 020 学校の廊下

          京香が教室から出てくると面談待ちの子がいる。

友達       「京香・・・どうだった?」

京香       「確認してすぐ終わり」

友達       「京香は成績いいからだよ・・・はあ・・・」

京香       「がんばってね」

          友達が教室に憂鬱そうに入っていく。

京香       「・・・」

京香が手帳を見る。手帳に家族と京一の写真

京香       「・・・夢なんか気にしないでがんばんないとね・・・」

          京香が鼻をピクピクさせる。

京香       「・・・何・・・この匂い・・・・血!・・の臭い」

          風が窓から入ってきて、京香が手帳を落としてしまう。

          京香が手帳を取ろうとする瞬間、寒気を感じ、辺りを見          

回すが、誰もいない。

京香       「・・・・・」


S# 021 京香の家台所(夕)

          京香が重そうな買い物袋をキッチンに置く。

          まんじゅうを食べながら、料理をしている。

          なべがグツグツ煮えている。京香がぼんやりと見ている。

          小さな音だが、合戦の様子の音が耳鳴りのように聞こえ

          る。

          京香がビクッとして、周りを見回す。

京香       「・・・」

          焦げ臭いような匂いがして、慌ててなべをとめる。

京香       「やばっ!」

          すると音がやむ。

          少し料理がこげる。


S# 022 予備校の授業(夜)

         京香が国語の授業を受けている。

         京香がふと何かの視線を感じて、辺りを見回すが、普段の

         授業光景。京香が気を取り直したように勉強を始める。


S# 023 京香の部屋(夜)

         京香が勉強をしている。11時半過ぎ。

京香      「もう・・・こんな時間か・・・」

         京香がココアを飲みながら、日めくりカレンダーを見る。

京香      「あと20分で18・・彼氏でもいれば・・か」

         参考書をぼんやり見てるが、急に眠くなった京香。

京香      「・・・」

         何とか起きていようとするが、机に倒れこんでしまう。


S# 024 大坂城(夢)

         大砲が打ち込まれ、ぼろぼろになった大阪城。そして大 

         坂城のふもとでは、戦国時代の合戦が行われている。

         合戦の風景。六文銭の旗印の下、真田幸村が槍を振るい 

         戦っている。

京香N     「・・・また?!・・・この夢?もう飽きたよ・・・」

幸村      「家康の本陣に突撃!!」

         幸村と家康の軍勢が戦っている。

京香N     「・・・」

         幸村と手勢が家康の本陣に乗り込む。

幸村      「家康!どこだ!目指すは家康の首のみ!!」

京香N     「そろそろ終わり・・・起きたら・・・英語と数学しないと

         ・・」

         空の本陣。幸村が辺りを探す。

幸村      「・・・探せ!まだ遠くに行ってはないはずだ!!」

         幸村が家康を探しながら、戦っている。

         幸村が逃げている徳川家康を見つける。

幸村      「家康!?」

         幸村が家康を追いかける。

京香N     「あれ・・・続くの?」

幸村      「家康!」

家康      「真田のせがれか?!」

幸村      「覚悟!」

家康      「・・・・・」

         家康を討ち取る幸村。

家康      「・・真田信繁・我が命尽きようとも・・我が魂は尽きんぞ」

         家康を討ち取る。

京香N     「・・・家康って・・・真田信繁?・・・」

         幸村が雄たけびを上げるが、たくさん兵士が現れる。

         幸村が兵士達を打ち倒し、後退する。


S# 025 安居神社(夢)

京香N     「こんな夢だったんだ・・・」

         真田幸村が兵士達と休んでいる。

幸村      「家康を討ち取った・・・これで戦も終わる」

         その時、松平軍が現れる。

         幸村の軍も戦うが、疲労のために次々と殺される。

幸村      「・・・」

京香N     「えっ・・・」

         怯えた表情の西尾仁左衛門が幸村の前に現れる。

幸村      「某の役目は果たした・・某の首で功名を挙げると良い」

         西尾が叫びながら幸村を討つ。

京香N     「キャー・・・」


S# 026 京香の部屋(朝)(夢終わり)

         京香が目を覚ますと思わず、首を触る。冷や汗をかいてい

         る。

京香      「・・・何・・・夢・・・・」

         時計(朝6時)

京香      「夢・・・・・・」

         京香が一息つきとチャリーンと音がする。背筋に寒気を感

         じ、そおっと後ろを振り返る。

京香      「誰?!」

         京香が音のほうを見ると古銭が六つ転がってきて、それを

         拾う。

京香      「・・・古銭?」

         京香が古銭が転がってきた方を見ると、夢に出てきた真田

         幸村(18歳の姿)がいる。

京香      「・・・・・・」


S# 027 上田家リビング

          京香が叫び声を上げ、すごい勢いで部屋に入ってくる。

京香       「パパ!!ママ!お化け。お化け!」

辰巳       「???」

景子       「???」

          沈黙の辰巳と祥子。あまりに冷静な感じで逆に京香が黙

          ってしまう。

          辰巳と祥子が急に笑い出す。

京香       「何が!おかしいのよ!!私の部屋にお化け!おばけ武士

          のおばけ!!」

辰巳&景子    「誕生日おめでとう!!」

          辰巳&景子がクラッカーを鳴らす。

辰巳       「今日の夜は京香の誕生パーティーだ!!18歳のな」

景子       「楽しみね~」

辰巳       「ああ、楽しみだ」

京香       「そうじゃなくて!お化け!!」

辰巳&京香    「・・・・・」

京香       「何よ・・・」

辰巳       「京香・・・見てごらん?」

          辰巳が晴れた空を見る。

辰巳       「お化けは太陽の光を浴びると灰になっちゃうんだ」

京香       「はあ?」

景子       「まあ、パパったら!それは吸血鬼。ドラキュラ」

辰巳       「はっはっは。ママに一本取られた!・・・でも今日は日

          曜日。お化けも休日。どうこの新説は?」

京香       「???・・・もうママ!」

祥子       「パパ。駄目ですよ。京香のような多感な時期に、そう言

          っては・・・お化けでしょ。おばけのQちゃんみたいな

          のが出たのよね?」

          京香が飽きれてる。

辰巳       「おお!おばけのQ太郎か?!あんなカワイイお化けだっ

          たら・・・うちに置いてあげよう!なあ、ママ?」

祥子       「良いわね~」

          二人の会話についていけず、京香が飽きれてる。


S# 028 京香の部屋

          京香がそおっとドアを開けて室内を覗く。

京香       「・・・見間違い。最近、疲れてたから・・シーツとかを・・・」

          誰もいない普段通りの部屋。

          京香がおそるおそる部屋に入り、辺りを見回す。

京香       「幽霊なんか非科学的!早く図書館に行って勉強!勉強」

          京香が制服に着替え始める。

          着替え終わり、鏡の前でチェックをしている。

そして箱を取り出す。たくさんのヘアピンがある。

京香       「今日の気分は・・・・これかな?」

          京香がヘアピンを髪につける。

京香       「OK!!」

          京香が鏡を不思議そうに眺める。鏡にぬいぐるみが写っ

          ている。

京香       「・?・・??」

          ぬいぐるみの中に微笑んだ幸村の顔がある。

京香       「・・・・・お・ば・・・おば・・・おば・・・け」」

          京香が気を失ってしまう。

          しばらくして京香が目を覚ます。ぼんやりとした表情で

          天井を見ている。

京香心の声    「早く・・・勉強しないと・・・・・」

          京香が起き上がると、目の前に幸村がいる。

          京香が驚きのあまり口をパクパクさせている。

幸村       「動くな・・・・・・これで思い出す」

          幸村と京香のおでこがくっつく。


S# 029 屋敷の庭(回想)

          武家屋敷の庭。雪が降っている。

          小さな頃の幸村が寒そうにしながらも必死に槍を振って

          いる。真田昌幸が厳しくもやさしい感じで見ている。


S# 030 屋敷の部屋(夜)(回想)

          ろうそくの明かりの中で幸村が書物を読んでいる。


S# 031 戦場(回想)

          青年の幸村が槍を振るい、敵兵士と戦っている。


S# 032 大坂城の居間(回想)

          幸村が豊臣秀吉と親しそうにを話している。


S# 033 上田城(回想)

          徳川軍と真田軍が戦っている。幸村が戦いながら、兵士

          を鼓舞している。


S# 034 九度山(回想)

          昌幸と幸村を兵士達が監視している。


S# 035 大坂城真田丸(回想)

          雪の中、幸村が徳川軍と戦っている。徳川軍が退却を始

          める。

          仲間と共に雄叫びを上げている。


S# 036 大坂城(回想)

          堀が埋め立てられ、大阪城の周りは徳川軍に囲まれてい

          る。幸村が軍勢と共に、徳川軍に突撃を始める。

          幸村軍がどんどん敵を倒し、家康の旗印を見つけ、幸村

          が突撃の合図をかける。

          矢を受けたり、傷を負っている幸村が敵兵をなぎ倒して

          いる。幸村の息遣いが荒い。

          周りにいた兵を倒して、倒れている旗を踏みつけ辺りを

          見まわしながら歩いてる。

幸村       「家康!どこだ!」

          本陣に家康の姿がなく、ぼうぜんとする幸村。

          幸村が辺りを探すと、家康がいて、家康を討ち取る。

          幸村が雄叫びを上げる。しかしたくさんの敵軍が現れ、

          幸村が後退をする。


S# 037 安居神社(回想)

          幸村が仲間と共に休んでいる。周りでは合戦の音が聞こ

          えている。

          幸村が西尾仁左衛門に切られる。


S# 038 京香の部屋(回想終わり)

          幸村が京香のおでこから離れる。

幸村       「・・・・我が名は真田信繁・・・そなた方には真田幸村

          のほうで覚えがあろう」

          京香が無意識に涙を流している。朦朧としている。

京香       「真田幸村・・・・」

幸村       「そなたは・・・我が生まれ変わり・・・」

京香       「・・・生まれ変わり・・・?」

幸村       「さよう」

京香       「・・・」

幸村       「某は天王寺の戦いで家康を討ち取った・・」

京香       「・・・」

幸村       「だが、奴は悪霊となり今の世に蘇った・・・己の野望を叶える為に」

          京香が自分の手を見るとその時の感触を思い出し、震えだす。

京香       「・・・蘇った・・って誰が」

幸村       「・・・覚えておろう・・・徳川家康」

京香       「徳川・・・家康」

          京香が感覚を思い出してくる。

京香       「・・・うそ・・・私・・・そんな話し聞いたことない」

幸村       「徳川家のものにより、家康の死は隠された。彼らは家康の影武者を

使い、江戸に幕府を開き、その後の時代を作りあげた・・・」

京香       「・・・そんなこと信じられない。そんなの、うそ」

幸村       「信じる必要などない・・・そなたは知っておろう・・・認めるか認

めない・・・それだけのことであろう」

          京香が手の感覚を確かめている。

幸村       「某は・・・悪霊と化し、現世に蘇った家康を討つために

          ・・・舞い降りた」

京香       「・・・」

幸村       「家康は家臣達を次々と蘇えらせ、奴ら悪霊共で支配する

          国にしようとしておる」

京香       「・・・」

幸村       「そなたはこれから某と共に戦い・奴らの野望を阻止する

          のだ」

京香       「・・・」

幸村       「・・・・・おい?

京香       「そんなのやだ・・・」

          京香の目に生気が戻ってくる。

幸村       「?」

京香       「そんなの絶対無理!!」

幸村       「えっ?」

京香       「戦うなんてありえない!私、体育の成績ずっと2だよ。

それに・・・」

幸村       「???」

京香       「受験生なの!そんな暇あるわけないじゃん!」

幸村       「そなたは我が生まれ変わりであろう!」

京香       「誰の生まれ変わりだろうと関係ないの!今、大事なとき

          なの!!」

幸村       「悪霊の国に化そうとしておるのだ!この事以上の事が他

          にあるか?」

京香       「あるよ!!受験!!」

          幸村が天を仰ぐ。

幸村       「なにゆえ・・・神仏は某の生まれ変わりにこのような者

          を・・・」

京香       「このような者で悪かったですね!!」

幸村       「受験とやらも今の世があっての事だろう!その世が・」

京香       「・・・そんなことより私・・・お化けがだいっきらいな

          の!!消えて!帰って!!」

          京香が人形などを幸村に投げつけ、叫んでる。

          幸村が困ったという感じで、消える。


S# 039 道路

          京香がびくびくしながら歩いている。ふっと気づく京香

          が振り返ると、幸村が電柱に隠れながら付いて来る。

京香       「生まれ変わりだか何だか知らないけど付いてこないで」

幸村       「おい・・・落ち着け・・・話せば分かる」

京香       「分かりたくもない!!」

          京香が走って逃げ出す。


S# 040 図書館

          京香が図書館で勉強をしている。

京香       「あのお化け・・・本当にしつこいんだけど」

          幸村が外から中を眺めている。周りの生徒達には見えて

          ない。

京香       「みんなには見えないんだ?」

          普通に勉強したり、本を読んでいる生徒。

京香       「いまどき、あんな格好してたら、ただの変態だもんね」

          ちょんまげと白装束の着物を着ている幸村。

          京香が幸村を睨みつけると幸村が隠れる。

京香       「それに・・・なにあれ・・・まあ、でも今はあんなの無

          視して、勉強勉強・・・」

          京香が勉強していると、少しずつ申し訳なさそうに京香

          に近づいてくる。

京香       「そんなことしたってバレバレなんだからね!!」

          京香が怒ると、幸村が驚いた表情で床に消える。

          周りの生徒達から一斉に京香に白い目が向けられ、困っ

          た京香。テレながら、

京香       「いえ・・・こんな引っ掛け問題に引っかかるかって話で

          ・・・ははは」

生徒       「・・・」

京香       「(小声で)あのお化けめ・・・」

          京香が辞書を探していると寒気がする。

京香       「いる・・・あのお化け・・・まあ無視無視」

          京香が辞書を見つけ、席に戻ろうとすると、歴史のコー

          ナーがあり、京香が真田幸村について書かれた本を読む。

京香N      「真田信繁・・・真田幸村、ただしこの名で呼ばれた。当

          時の記述はない。上田に生まれ・・・大阪夏の陣で豊臣

          方に組し・・・家康の本陣に攻め込むが・・・討ち死に

          ・・・」

          京香の頭に夢がフラッシュバックする。

          京香が本を勢いよく閉めて、棚に戻す。


S# 041 道路(夕)

          京香の後を隠れながら付いてくる幸村。

京香       「ねえ!!いつまでこうしているつもり?」

幸村       「・・・そなたから離れられん」

京香       「なんでよ?」

幸村       「役目を果たしておらんからな」

京香       「役目って、蘇った家康を討つってやつ?」

幸村       「さよう・・・」

京香       「そんなの私じゃなくて他の人に頼んでよ!」

          京香が走って逃げ出す。

          京香がわき目も振らずに一生懸命走る。

京香       「(荒い息で)・・・もう大丈夫かな?」

          京香が走るのを止めようとすると、足をくじき、その場

          に転んでしまう。

京香       「もう・・・ぜんぶあいつのせい!!」

幸村       「おい!大丈夫か?」

京香       「きゃーーーー!!!うそ?なんで!」

幸村       「離れられんと言ったであろう?役目を果たさん限りこの

          ままだ」

          転んで倒れてる京香を男子高校生が笑って見ている。

          京香が恥ずかしそうに立ちあがり、

京香       「私は・・・人を傷つけたり、誰かを苦しめたり・・・そ

          ういうこと大嫌いなの。復讐とかそんなのも嫌い!」

幸村       「京香・・・それは違う・・・」

京香       「えっ?」

幸村       「某は豊臣家の再興・・・復讐のために蘇ったのではない

          ・・」

京香       「・・・」

幸村       「某達はあの時代を懸命に生きた・・・やれるだけのこと

          はやった・・・悔いなどない」

京香       「・・・」

幸村       「されど・・・奴らは違う・・・その悔いを今の世に持ち

          込もうとしておるのだ・・・それは止めねばならんのだ

          ・・・分からぬか・・・京香」

京香       「・・・じゃあ、・・・他の人・・・そう他のもっとすご

          い人・・・例えば、霊能力者とか、スポーツマンの人に

          頼めばいいじゃん」

幸村       「そなたは我が生まれ変わり・・そなた以外には頼めん」

京香       「・・・そんなこと頼まれたって・・・私だって困る」

幸村       「・・・それは承知しておる・・だがやらねばならん」

京香       「・・・・」

幸村       「・・・」

京香       「・・・っていうか、これなんかの病気・・だっておかし

          いもん」

幸村       「はっ?」

京香       「・・・幻覚だ」

幸村       「何を?」

京香       「そうだ。幻!!!」

幸村       「幻などではない!」

京香       「だっておかしいじゃん!お化け・・・それはおいといて

          も真田幸村ってもっと歳とってたはずでしょ。私と変わ

          らないじゃん?」

          18歳ぐらいの歳の幸村。

幸村       「そなたは齢50になった己の姿が目に浮かぶか」

京香       「・・・う~ん」

幸村       「できぬだろう・・・今の某の姿を作っているのは・・・

          そなたなのだ・・・そなたと同じ年頃のな」

京香       「・・仮にそれが本当だとして、仮にね!徳川家康って江

          戸幕府作った人でしょ?どこにいるのよ。世界中には6

          0億の人がいるのよ。どうやって探すのよ?」

幸村       「・・・そこにおろう」

          SHINTOUの大きな看板が立っている。

京香       「SHINTOUって・・・あの宗教団体?」

幸村       「ああ・・・党首の荒城・・奴こそが家康」

京香       「・・・」

幸村       「・・・」

京香       「なんで!そんな事分かるのよ!都合よすぎ!」

幸村       「そなたは今まで知りえなかっただろうが、某はそなたが

          生を受けた時から・・・」

京香       「・・・」

幸村       「そなたと共にいた」

京香       「・・・じゃあ・・・えっと、じゃあ・・・」

幸村       「・・・他はあるか?」

京香       「・・・たくさんあるけど。もういい。1つだけ言えるの

          は私の邪魔をしないで」

幸村       「・・・」


S# 042 道路

          京香が歩いている。幸村が後をついている。

幸村       「どこへゆくのだ?」

京香       「離れられないんでしょ。だから自由にしてあげる」

幸村       「・・・」


S# 043 神社前

          京香が神社に入っていく。

幸村       「・・・まさか」

京香       「そう!お払いしてもらうの」

幸村       「お払い?!そなたは某の生まれ変わりだぞ」

京香       「だから成仏してもらおうと思っているんじゃない?すっ

          ごくやさしいでしょ」


S# 044 神社の境内

          京香が神主と話をしている。

神主       「できん!!」

京香       「何でですか?」

神主       「う~ん。してはいけない気が・・・」

京香       「してください!!困っている人を助けるためにあるんで

          しょ!」

神主       「だって・・・」

京香       「だって?」

神主       「なんかすごい睨まれてる気が・・・するんだよね」

          京香が幸村を見ると、笑顔で京香に微笑みかける。

京香       「・・・」


S# 045 神社前

          京香が歩いている。

京香       「神主さんに何したの?」

幸村       「何も・・・」

京香       「・・・もう、いい他の所に行くから!」

幸村       「無駄なことを・・・我らの絆は切れん・・・」

京香       「うそ!だって少し嫌がってるじゃん」

幸村       「・・・ならば、気が済むまでやってみればよかろう」


S# 046 商店街(夕)

          京香が買い物袋を持ちながら、ふわふわ饅頭を買ってい

          ると、テレビでSHINTOUのコマーシャル番組がや

          っている。

京香       「今日は・・・もう遅いから帰るけど・・・明日は必ず成

          仏してもらうからね!」

幸村       「京香」

          京香がコマーシャルに出ている荒城の顔を見ると、荒木

          と家康の顔がかぶる。荒城の周りから立ち上る邪気が見

          え、周りを囲む笑顔の信者達からも邪気が見える。

京香       「・・・」

幸村       「・・・見えんか?奴らの邪気が・・・見えるだろう」

          京香が目をこすって、真剣に見ている。

主人       「・・・どうしたの京ちゃん?・・・ああ、これね・・・

          今すごいよね・・・お客さんの中にもけっこう信じてい

          る人多いみたいだね・・・」

おばさん     「でも・・私は嫌いだわ・・・なんか気味悪い」

京香       「・・・」


S# 047 上田家リビング(夜)

          辰巳と景子が京香の誕生日を祝っている。

景子       「京ちゃん。おめでとう」

辰巳       「ほら、誕生日プレゼント」

京香       「うん。ありがと・・・」

          不機嫌な様子の京香。幸村も笑顔でその光景を眺めてい

          る。

景子       「どうしたの?どこか体調でも悪いの?」

京香       「ううん。大丈夫」

辰巳       「勉強も大切だが、体が一番なんだからな。無理をしない

          ようにな・・・」

          京香が誕生日プレゼントを開けると、ムーンストーンが

          生みこまれたヘアピンが入っている。

京香       「うわ~きれい・・・この石ってなに?」

辰巳       「・・・それは京香の誕生月・・・6月の誕生石ムースト

          ーン・・・」

景子       「その石はね・・・昔から悪霊を祓う石って呼ばれてて・

          ・・ストレスを和らげ愛をもたらす石なのよ」

辰巳       「受験でストレスがたまる京香にはぴったりだろ?」

京香       「ありがとう・・大事にするね」

          辰巳がもう一つプレゼントを出し、京一の仏壇に置く。

辰巳       「京一・・・・ちゃんとお前の分もあるぞ」

          辰巳がプレゼントの箱を開けると、ムーンストーンに入          

ったネックレスが入っている。

          少し暗くなる一同。

辰巳       「京一も生きていれば、18か・・・一緒に酒を酌み交わ

          せたのにな」

京香       「お酒もタバコも二十歳からでしょ」

景子       「もう、パパったら・・・」

          しんみりしている家族。


S# 048 上田家玄関(夜)

          辰巳と景子が外に出ようとしてる。

景子       「京ちゃんも今日ぐらいはいいじゃない?」

京香       「受験生だもん。勉強しないと・それに調べ物したいし」

辰巳&景子    「・・・」

京香       「ほら、私に遠慮しないで、二人で楽しんできて。パパも

          ママもたまにはストレス発散しないと!ほらほら!」

辰巳       「それじゃあ、行って来る。でも無理すんじゃないぞ。ち

          ゃんと鍵をかけるだんぞ。最近この辺りも不審者がでる

          ようだから」

京香       「はいはい!いってらっしゃい」

          辰巳と景子が出て行く。京香が鍵をかける。

京香       「はあ・・・鍵かえても・・・もういるんだよね」

          京香が笑顔の幸村を見て、つぶやく。


S# 049 京香の部屋(夜)

          京香が幸村にムーンストーンのヘアピンを突きつけてい

          る。

幸村       「何のまねだ?」

京香       「悪霊退散!!」

幸村       「無駄だ」

京香       「なんでよ!」

幸村       「悪霊ではないからだ!」

京香       「・・・もういい!明日までの辛抱・・・」

          京香が勉強を始める。鏡に瞑想をしている幸村の姿が写

          っている。

京香       「・・・・・」

          京香がパソコンを開き、ネットでSHINTOUを検索

          している。SHINTOUが起こしたと言われる殺人事

          件や荒城の予言など、いろいろ書かれている。

          SHINTOUのホームページには「迷いのない世界へ

          ・・・統一」と書かれている。

京香       「荒城が・・・徳川家康・・・本当なの・・・?」

          荒城と家康を検索すると、SHNTOUの起こしたと思

          われる事件が書かれている。

京香       「・・・・」


S# 050 都内のビジネス街(夜)

          誰もいないビジネス街。右翼団体の看板がある。


S# 051 某右翼団体本部(夜)

          右翼団体員が仕事をしている。

          そこに信者達(覆面をしている)が入ってくる。

団体員A     「なんだ?貴様ら!」

          信者達がにやりと笑うと、目が真っ赤にそまる。

団体員B     「お前ら・・・」

          団体員がひるむ。


S# 052 風呂場(夜)

          京香が風呂場にいる。シャワーを浴びようとすると、熱

          いお湯が出てくる。

京香       「きゃっ!」

幸村       「どうした!?敵か!!」

          幸村が壁から顔を出す。

京香       「・・・」

幸村       「・・・これは・・・失礼した」

          京香の顔が見る見る赤くなっていく。

幸村       「おい・・・これは誤解だ」

          京香の叫び声。


S# 053 某右翼団体会長室(夜)

          叫び声が聞こえる。

会長       「何事だ?」

          会長と団体員が銃を取り出す。

          叫び声が止む。

会長・団体員   「・・・」

          扉が開くと、血しぶきを浴びた状態の信者達がいる。

団体員C     「貴様ら!!」

          団体員Cが銃で一番先頭の信者(本山)を撃つ。

          しかし銃弾を槍ではじく。

団体員D     「なんだ!てめえら!!」

          団体員Dがゴルフクラブで本山を叩くが、逆にゴルフク

          ラブが曲がってしまう。

団体員D     「無駄なこと・・我が肉外に痛みなし」

          本山が槍を軽く振るうと、団体員が全員殺される。

会長       「・・・助けてくれ!おい!頼む!金が欲しいなら・」

本山       「不快だ・・・散れ」

          本山により、会長も切り殺される。

本山       「・・・」

          信者達が火をつける。

          本山が会長室にあった右翼団体の機関紙を手に取る。

          そこにSHINTOUの批判記事が書かれている。

          本山がそれを握りつぶす。


S# 054 京香の部屋(夜)

          京香が不機嫌な感じで髪を乾かしている。幸村が申し訳

          なさそうにしている。

幸村       「・・・あのな」

京香       「今度、やったらもう絶対許さないからね」

          幸村がしゅんとしている。


S# 055 上田家リビング

          辰巳が京一の仏壇を拝んでいる。

          京香が参考書を読みながら、食事をしている。

辰巳       「・・・」

京香       「うん!」

          辰巳が新聞を読んでいる。記事には昨日の右翼団体襲撃

          事件がのっていて、SHNTOUが関わっているような

          記事。京香がそれを見て険しい顔をする。

景子       「まあ、二人とも食事中に」

          辰巳が申し訳なさそうに新聞をしまう。京香がその新聞

          を見る。

京香       「・・・」

幸村       「・・・」


S# 056 道路(朝)

          京香が歩いている。幸村がついていく。

京香       「だから!何度言われてもお断り!そんな話し信じない!」

幸村       「・・・奴らは世に潜み、機会を狙っておる・・今、この

          時も・・・」

京香       「どうしたの?・・急にまじな顔しちゃって?」

          幸村が険しい顔をしている。

幸村       「京香!!」

京香       「えっ?!」

          京香が驚いて、お尻をつく。その時に黒い煙を帯びた矢

          が飛んでくる。

京香       「えっ!何?」

幸村       「東だ!気をつけろ!」

京香       「東!?ってどっち!?それに気を付けろって言ったって

          !どうしたら!」

          次々と矢が飛んでくる、矢が微妙に外れる。

京香       「きゃ!!」

          京香がしゃがみこみ、うずくまる。

幸村       「馬鹿か!うずくまっては、動けん」

          京香が震えながら、うずくまっている。

幸村       「已むを得んか・・・」

          幸村が京香に近づこうとした瞬間。敵の気配が消えた事

          に気づく幸村。

幸村       「おい!もう大丈夫だ!」

          京香がおそるおそる面を上げる。

京香       「なに、今の?」

幸村       「悪霊・・・ついに始まったか」

京香       「悪霊?!」

          京香が辺りを見回す。


S# 057 学校の正門

          数名の生徒達がSHINTOUのビラを配っている。

          先生達がビラ配りを止めさせようとするが、抵抗する生

          徒達。

京香       「・・・」


S# 058 教室

          京香がビラを読む。SHITNOUを賛美する内容の記

          事。武士(江戸時代)の精神も賛美している。SHIN

          TOU学生部発行とある。


S# 059 学校の廊下

          生徒達が部活に行ったり、帰宅していたり、掃除をして

          いる風景。


S# 060 女子トイレ

          京香が不機嫌そうにモップで掃除をしている。

幸村       「・・・おい、どうした?」

京香       「どうしたって!さっきの何よ?!」

幸村       「何度もいっておろう・・・」

京香       「悪霊とか言うつもり?」

幸村       「さよう・・・我々を狙ったのだろう」」

京香       「・・・ばっかじゃないの!」

          また幸村の顔が険しくなる。

京香       「な・・何?」

          京香が首に痛みを感じ、手で触れると、首に血がついて

          いる。

京香       「血?」

幸村       「・・・」

          京香がきょろきょろする。すると洗面所に、見なれない

          ブレザーを着た西尾がうつむきながら立っている。

京香       「(おそるおそる感じで)・・ここ女子トイレだけど」

幸村       「近づくな!京香!!」

京香       「えっ!」

          高校生がカッターの刃を伸ばしている。カッターが黒い

          煙を帯びている。

京香       「!?」

西尾       「・・・真田信繁・・・出て来い。忘れたわけではなかろ

          う・・・・」

京香       「えっ!えっ?」

幸村       「・・・」

西尾       「身を隠し続けるつもりか?ならば、その女子の首を落と

          す・・・」

          高校生が京香に襲いかかる。京香が叫び声を上げながら

          何とかよける。

幸村       「已むをえん」

          幸村が苦悶の表情で、京香の身体に近づき、京香の身体

          に入る。その瞬間、京香(霊体)が京香の身体から、飛

          び出る。

京香(霊)    「えっ?!私?」

          京香(幸)がモップで刀を防ぐ。

西尾       「真田・・・信繁・・・」

          京香(幸)が華麗にモップを回す。

京香(幸)    「・・・」

西尾       「待っていたぞ・・・お前を討ち取らねば・・・完全なお

          前を討ち取らねば・・・完全な時の」

京香(幸)    「・・・」

京香(霊)    「・・・えっ!えっ!!えっ~」

          京香が頭を押さえる。


S# 061 安居神社(回想)

          幸村が西尾に首を切られるところ。


S# 062 女子トイレ(回想終わり)

          京香(幸)と西尾が対峙している。

          その光景を京香(霊)がぼんやりと見ている。

京香(霊)    「・・・にしお・・」

京香(幸)    「・・・・」

西尾       「再び・・・首・・・いや魂を頂きに参上した」

京香(幸)    「・・・魂までは、お前にやった覚えはないがな」

西尾       「どちらも頂くぞ!」

京香(幸)    「・・・一つ・・・お前に聞きたい事がある」

西尾       「???」

京香(幸)    「奴は某の復活を知っているのか?」

西尾       「・・・」

京香(幸)    「・・・」

西尾       「まだ・・・お前の復活は私以外は知らん」

京香(幸)    「・・・」

西尾       「ただすぐ知れ渡る。完全な時の・・・お前の首を持ち帰

          りな!」

          西尾が襲い掛かってくる。

京香(幸)    「さようか・・・まだ知られるわけにゆかん・・・ここで

          お前を消そう」

          京香(幸)が睨み付けると西尾がその迫力にびびる。

          京香(霊)が意識を取り戻す。

京香(霊)    「私?!なんで?!私が」

          京香(幸)を見ている。

京香(幸)    「そなたの体・・・借りているぞ・・・」

西尾       「真田信繁!よこせ!!お前の魂!」

          西尾が恐怖を振り払うように、京香(幸)にナイフを振

          るうが、京香(幸)が簡単に交わしている。

京香(幸)    「愚かな・・・迷える魂よ・・」

西尾       「よこせ!完全なときのお前の首を!魂を!!」

          京香(幸)が光を帯びたモップを西尾に振り下ろす。

          西尾が何とか交わすが、肌が切れ、血ではなく、黒い煙          

のようなものが出る。

西尾       「くっ!」

          西尾がトイレの窓から飛び降りる(4階)。無傷で逃げ

          出す。京香(幸)も飛び降りる。

京香(霊)    「ちょっと!!ここ4階~~」

          京香(幸)が飛び降りる。京香(霊)が引っ張られるよ

          うに京香(幸)に吸い寄せられる。

京香(霊)    「きゃ~~~」


S# 063 学校の裏庭

          京香(幸)が見事に着地し、逃げる西尾を追う。強制的

          に引っ張られ、ついていく京香(霊)。

京香(霊)    「ちょっ・・・まって!」

          すごいスピードで追いかける京香(霊)


S# 064 川原 

          西尾が息を切らしている

          京香(幸)と京香(霊)がいる。

京香(幸)    「・・・」

西尾       「くそっ!くそっ!」

          西尾が京香(幸)に何度も振りかかる。その攻撃を簡単

          にかわし続ける京香(幸)

          京香(幸)がモップで西尾を切る。

西尾       「(狂乱気味に)・・・我は真田信繁を討ち取った男ぞ!

          旗本どもを総崩れにさせた。あの真田を!なにゆえ・・

          それがしを笑う!!」

京香(幸)    「迷える魂よ・・・在るべき所へ・・・帰れ!」

          西尾の身体から黒い煙が浮かび、消えていく。

京香(幸)    「・・・」

          京香の身体から幸村が出てくると同時に、京香(霊)が

          京香の身体に戻る。京香が確かめるように自分の身体を

          触れる。

京香       「これ。私?だよね?」

幸村       「ああ。そなただ」

          京香が幸村を見る。

京香       「さっきの何?」

幸村       「・・・肉体を借りた・・・」

京香       「借りた?って」

          気を失った西尾が怪我をしている。うなされている。

          京香が西尾に駆け寄り、介護している。

京香       「大丈夫?」

幸村       「案ずるな・・・悪霊は封印した」

京香       「そんなことじゃなく!怪我してるってこと!」

          幸村に切りつけられ怪我している部分に京香がハンカチ

          を巻いてあげている。

京香       「ねえ。大丈夫?」

          西尾が目を覚ます。

西尾       「おれ・・・こんなとこで何してるんだ・・・」

京香       「良かった・・・

幸村       「・・・」


S# 065 トイレ

          京香と幸村が帰ってくる。

          仁王立ちの先生が立っている。

先生       「・・・掃除サボって、どこ行ってた!」

京香       「・・・どこって・・・川原・・・です」

先生       「川原?!そうか・・・今は気持ちの良い季節だもんな!

          ・・・掃除をサボってか!!!」

          京香が困った様子で幸村を見るが、目を合わせようとし

          ない。

先生       「どこ見てる!!」

京香       「いえ・・・すいません!!」


S# 066 焼却炉

          京香が焼却炉で大きなごみをふらふらしながら、捨てて

          いる。

京香       「どうするのよ?!これ」

          山ほどのごみがある。

京香       「今日・・・授業なのに・・・こんなの全部捨ててたら、

          遅れちゃうじゃん!」

          幸村が知らん顔をしている。


S# 067 道(夕)

          京香が時計を見ながら必死に走っている。

京香       「絶対間に合わない・・・」

          京香が息を切らして歩き出す。

京香       「そうだ!ねえ?」

幸村       「うむ?」

京香       「さっきみたいに・・・ぴゅっーと走って予備校まで行っ

          てよ!」

幸村       「かような事には使えん」

京香       「さっきしたじゃん!」

幸村       「無駄なことには使えん!某はそなたの身体に10分以上

          いられん」

京香       「もう!ケチ!」

          京香がへとへとになりながら、走る。


S# 068 予備校教室(夜)

          京香が授業を受けている。京香が退屈そうにしている幸

          村を見ている。


S# 069 女子トイレ(回想)

高校生      「身を隠し続けるつもりか?ならば、その女子の首を落と

          す・・・」

          高校生が京香に襲いかかる。京香が叫び声を上げながら

          何とかよける。

          幸村が苦悶の表情で、京香の身体に近づき、京香の身体

          に入る。その瞬間、京香(霊体)が京香の身体から、飛

          び出る。


S# 070 女子トイレ(回想)

京香(霊)    「私?!なんで?!私が」

          京香(幸)を見ている。

京香(幸)    「そなたの身体・・・借りているぞ・・・」

高校生      「うぉー!!」

          高校生が恐怖を振り払うように、京香(幸)にナイフを

          振るうが、京香(幸)が簡単に交わしている。


S# 071 予備校教室(夜)(回想終わり)

          京香がぼんやりとしている。

京香       「・・・」

先生       「写し終ったか?消すぞ」

          黒板を消し始める。京香が必死に写し始める。


S# 072 駅(夜)

          京香が駅から出てくる。

          SHINTOUの信者達が候補者の選挙協力をしている。

政治家      「私は迷いのない世界を・・・みなさんへ」

          京香が去っていく。


S# 073 道路(夜)

          京香と幸村が歩いている。

京香       「・・・・・ねえ?」

幸村       「なにようだ?」

京香       「さっき・・・私の身体に入ったでしょ?」

幸村       「已むを得ないからな・・」

京香       「・・もしかして、私に自由に取り憑いたりできるの?」

幸村       「自由か・・・できなくもない」

京香       「えっ!」

幸村       「ただ某とそなたは、奴らとは違い肉体と魂の絆の強さが

          違いすぎる・・・」

京香       「肉体と魂の絆の強さ?」

幸村       「さよう・・・十分も、そなたの肉体にいては、私がそな

          たの肉体の魂となり、そなたの魂は戻るべきところを失

          う」

京香       「戻るべきところを失う??」

幸村       「ああ、そなたの魂は戻れる肉体もなく、この世をさ迷い

          続ける・・・」

京香       「・・・・・もし・私がずっと拒否ってたら・・・するつ

          もり?」

幸村       「・・・・・看護師だったな。そなたの夢は・・・」

京香       「・・・」

幸村       「そなたは某の過去を知っている。某もそなたの過去を知

          っておる」

京香       「・・・」

幸村       「誰よりもそなたの思いは知っているつもりだ・・・我々

          の時は止まっていても。そなたの時はこれから・・・奪

          うわけにはゆかん」

京香       「・・・」

幸村       「・・・」

京香       「・・・・お化けなのに・・・やさしいんだね」

幸村       「やさしい?

京香       「照れてる?」

幸村       「照れてなどない!」

京香       「ふ~ん。まあいいや!でもユッキーはけっこう良い奴な

          んだね!」

幸村       「ユッキー?」

京香       「そう、名前、幸村なんでしょ!だからユッキー!なんか

          カワイイ!」

幸村       「へんな呼び方をするな!某は」

京香       「ユッキーはユッキー!!」

幸村       「おい!まて!そのような呼び名認めん・おい」

京香       「はいはい。聞いてるよ。ユッキー!」

幸村       「おい!待て!」

          京香が幸村の呼びかけを無視して歩いていく。

京香       「ねえ・・・ユッキー。少しだけ協力してあげる」

幸村       「まことか?!」

京香       「ただし・・・条件があるよ!」

幸村       「条件?」

京香       「1つ目!受験勉強優先!受験生なんだから当然だよね。

          これは。2つ目が・・・普通の人は絶対に傷つけないこ

          と。さっきみたいな事はなし!」

幸村       「・・・」

京香       「守れる?」

幸村       「しばし待て!・・その受験勉強優先というのは?」

京香       「簡単に言うと・・・私の裁量しだいってこと」

幸村       「おい!それは」

京香       「守れる?守れない?どっち?」

幸村       「・・・それで構わん・・・」

京香       「あと1つ大切なことを忘れてた」

幸村       「?」

京香       「・・・私を必ず守ること・・・」

幸村       「・・・・・・必ず」

京香       「ユッキー・・・」

幸村       「・・・」

京香       「それじゃあ!これからよろしくね!ユッキー!」

幸村       「待て!さような呼び名は認めて・」

京香       「それなら!それも条件ね!」

幸村       「汚いぞ!」

          京香が幸村を無視して歩いていく。


S# 074 SHINTOUタワー正面(夜)

          雷が鳴っている。


S# 075 SHINTOUタワー大広間(夜)

          荒城聖家(38)と本山忠雪(33)と井川次高(34

          )が座っている。

          荒城の肩に真っ黒な鷹が止まっている。

井川       「西尾が消息を絶っております・・・」

荒城       「・・・蘇ったか?」

井川       「忍びどもに調べさせておりますが、まだ・・かような連

          絡は受けておりせぬ・・・ただ、現世の人間にやられる

          とは考えられませぬ・・・」

本山       「やつに違いなかろう・・西尾は奴とは特別因縁が深い・

          ・・今の世で引き合う力も強かろう」

井川       「・・・」

荒城       「・・・我々にしろ・・・やつにしろ。これは定められた

          運命・・・逃れられん」

本山・井川    「・・・」

荒城       「・・・まあ、今は奴の好きにさせておけ・・・今は第三

          計画を進めること」

          本山・井川が礼をして、部屋を出て行く。

          荒城が腹を押さえていた手を見ると、どす黒い血が手に

          ついている。

          鷹が鳴く。

荒城       「うづくわ・・・幸村よ・・・」


S# 076 京香の部屋(夜)

          雷雨の音がする。

          京香と幸村が互いに1歩も引かないといった表情で睨み

          あっている。

幸村       「・・・3時間」

          京香が首をふる。

幸村       「そなたは事の重大さを承知しているのか?」

京香       「それとこれは別!」

幸村       「別だと!かような奴らがお前の首を狙っているのだぞ」

京香       「・・・だから!別問題!」

幸村       「・・・別問題だと?!」

京香       「ユッキーって頭固いよね?」

幸村       「頭が固い!」

京香       「一日、どんながんばっても5時間しかないのよ!そのう

          ちの半分以上も修行?使えるわけないでしょ!」

          日程表を幸村が見て、

幸村       「何ゆえ、風呂が1時間半?!こんなの要らん。風呂など

          につからなくても、死なん!」

京香       「今の女の子は死んじゃうの!!」

幸村       「・・・」

          京香がふてくされた様子で、そっぽを向く。困った表情

          の幸村。

幸村       「承知した・・・ならば2時間。これ以上は譲れん」

          幸村が腕組をして言う。

京香       「・・・」

幸村       「そなたを一から鍛えねばならんのだ。時はいくらあって

          も足りん」

京香       「前世が悪いせいでしょ」

幸村       「何!?某のせいだと!」

京香       「そうよ!」

          睨み合う二人。

幸村       「・・・ならば・・・1時間45分どうだ!」

京香       「・・・」

幸村       「・・これで手をうとうではないか?」

京香       「・・・初めから、素直に頼めば良いの!」

          幸村が悔しそうな顔をしている。

京香       「不満?」

幸村       「・・・いや。不満で・・・ないです」

京香       「じゃあ1時間ね」

幸村       「満足だ・・・1時間45分で・・頼む・・」

京香       「決定~!」

          京香が大きな紙に1時間45分と達筆な字で書く。


S# 077 河原(夜)

          京香が釣竿を持って立っている。

京香       「今日からやるの?明日からでいいじゃん?」

幸村       「先ほども言ったであろう。時間が足らんとな・・・」

京香       「っていうか・・・こんな時間に釣りでもするの?」

幸村       「・・・」

幸村       「借りるぞ」

京香       「えっ・・・うん」

          幸村が京香の肉体に入る。京香(霊)。

京香(霊)    「なんか・・・不思議・・・今、私幽霊なんだよね・・・

          エイッ!やっぱ触れないんだ」」

          京香(霊)が物にふれようとするが、触れることはでき

          ない。

京香(幸)    「・・・遊ぶな。見ておれ」

          京香(幸)がゆっくり目を瞑り、京香(幸)が槍を振る

          ようにキャストをすると、一瞬で魚がつれる。

京香(霊)    「うそ・・・」

京香(幸)    「・・・そなたの番だ」

          幸村が京香の体から離れる。

京香       「できるわけないでしょ!」

幸村       「つべこべ言わずやってみろ」

          京香がキャストをするが何もかからない。

京香       「絶対!無理!これ何の意味あるの?」

幸村       「己の感覚を磨く・・・」

京香       「こんなので感覚を磨けるなら、パパなんかすごい才能の

          持ち主だよ・・・」

          京香がキャストをするが何もかからない。

幸村       「闇雲に投げるな!感覚を研ぎ澄ぎす・・・」

          京香が疑いながらも目を閉じて、神経を集中する。

幸村       「そう・・・投げてみろ」

          京香が深呼吸をしてから、キャストをする。

          仕掛けに何かがかかる。

京香       「かかった!!」

幸村       「・・・」

          京香が思いっきり、引き上げてみると、空き缶が飛んで

          きて、京香の頭に当たる。

京香       「無理!こんなの無理に決まってるじゃん!」

幸村       「(やれやれといった表情)・・・」


S# 078 高校の校庭(夜)

          京香が怯えながら、歩いている。

京香       「幽霊でたら、どうするの?」

幸村       「案ずるな・・・ここはいない」

京香       「ここは?」

幸村       「いや・・・さっきの川原、白装束を着た女がこちらを見

          ておった」

          京香が倒れそうになる。

幸村       「・・・おい」

京香       「もう!明日からあの川原絶対行かないから!!」


S# 079 校庭にある体育倉庫

          京香がヘアピンで鍵穴をいじっている。

京香       「誰かに見られたら完璧に泥棒じゃん・・・」

幸村       「そうではない・・・そこではないと言ってるだろう」

          京香が必死に鍵を開けようとしている。

幸村       「違う。そうではない・・・にぶいな。そなた・・・」

京香       「じゃあユッキーやってよ!」

幸村       「これも修行・・・手先を鍛える・・・」

京香       「うそ・・・ぜったい。今考えたよ」

幸村       「・・・まあ、うそだが・・・」

京香       「もう!」


S# 080 校庭(夜)

          京香がピッチングマシーンを引きずってくる。

京香       「重い・・・っていうか見つかったらどうするのよ」

幸村       「已むを得ん」

京香       「已むを得んじゃないわよ・・・ほんとに」

          京香がピッチングマシーンを準備する。

京香       「まさかボールを避けるとか言わないよね?」

幸村       「・・・・・借りるぞ」

          京香(幸)がピッチングマシーンの前に立つ。

          まっくらな校庭で、京香(幸)がピッチングマシーンか

          ら飛んでくるボールを避ける。

京香(霊)    「うそ・・・」

          京香(霊)が目を瞑りかわしている。そしてそのボール

          を手で掴み、ボール入れに入れていく。

          幸村が京香の身体から離れる。

幸村       「さあ!」

京香       「何よ?さあって!」

          幸村が困った様子で、

幸村       「わがままなやつ・・・」

          京香が知らん振りをしている。


S# 081 学校の前景(夜)

          学校の前景


S# 082 校庭(夜)

          京香がキャッチャーの防具をしている。ゴムボールがお

          いてある。

幸村       「始めは目を開けてもかまわん」

          京香がおびえながら、

京香       「目を開けても、ぜんぜん見えないよ」

          京香が機械の音に反応して、かわそうとするが、当たる。

          何度やっても必ず当たる。

幸村       「・・・これはこれであり得ん」

          京香がつかれきった様子で座り込んでいる。


S# 083 校庭(夜)

          小さい紙がたくさんある。

京香(霊)    「こんなのどうするの?」

京香(幸)    「こうする」

          小さい紙を上空にばらまく。

京香(霊)    「?」

          京香(幸)が真剣白刃取りのように次々と紙を掴んでい

          く。

          京香が同じようにやってみる。

幸村       「紙だからな。素早く、そして確実に掴む・・・」

          京香が意外とうまく簡単に掴んでいる。

幸村       「おお・・・」

京香       「ユッキー!私これ得意みたい?!」

幸村       「・・・まだまだだが、まあ、今までのもの比べたら筋は

          良い・・・」

京香       「でも、これなんか意味あんの?」

幸村       「素早く、確実にものを掴み取れるようになる・・・」

京香       「ふ~ん・・」

          京香がうまく紙を掴み続ける。


S# 084 道路(夜)

          京香が疲れきった様子で歩いている。

京香       「うで痛い。腰痛い。体中痛い!!」

幸村       「おい、布を」

          京香がハンカチを出す。

京香       「ハンカチ?」

京香       「まだやるの?もう約束の時間」

幸村       「・・・まだ、7分ほどあるはず」

京香       「意外としっかりしてるのね。で、何?」

幸村       「目を覆え」

京香       「これで、家に帰ろとか言わないよね」

幸村       「さよう」

京香       「無理!」

幸村       「早うしろ!時間がもったいない」

          京香がいやいやながらも目隠しをして歩く。電柱とかに

          ぶつかりながら歩いていく。


S# 085 SHINTOUタワー本部の部屋前(夜)

          政治家と秘書の坂部蔵介(32)部部に入ってくる。


S# 086 SHINTOUタワー本部の部屋(夜)

          井川が座っている。政治家が頭を下げている。

政治家      「是非、次の選挙では選挙協力を・・・」

井川       「そうですか・・それでは共に日本を変えましょう」

          井川が微笑んでいる。坂部もにやりと笑う。


S# 000 SHINTOUタワーエレベーター(夜)

          政治家と坂部が話している。

坂部       「お疲れ様でした」

政治家      「・・・いや、お前もよく話を付けといてくれた。坂部」

坂部       「いえ・・・」

政治家      「これで、次の選挙は勝てるな・・・」

坂部       「・・・」

政治家      「心配か?」

坂部       「いえ・・・」

政治家      「安心しろ。我々も奴らを信用したわけではない・・・信用している

のは奴らの集票率だけだ・・・」

坂部       「・・・」

政治家      「・・・奴らにとってもの利益の或る話だ・・・我々与党と手を結べ

るんだからな」

坂部       「・・・」

政治家      「たぬきの化かしあいは我々の得意とするところだ」


S# 087 SHITNOUタワー本部の荒城の部屋(夜)

          このエレベーターの光景がモニターに写っている。

          荒城が薬剤を調合している。

井川       「・・・・たぬきめ・・・失礼しました」

荒城       「構わん・・・しかしうまくやっているようだな」

井川       「はっ。計画通りに事は進んでおります」

          携帯電話が鳴る。

井川       「・・・申し訳ございません。アメリカ支部からの定期連

          絡で・・・」

荒城       「構わん・・・」

          井川が英語で電話をしている。

井川       「・・・・申し訳ございません・・・」

          荒城が薬を飲む。

荒城       「・・・堀は埋めろ・・・跡形も無くな」

井川       「はっ」


S# 088 学校教室

          京香が授業を受けている。幸村が外を眺めている。


S# 089 学校の屋上

          京香がパンを食べている。幸村が遠くに見えるビル群を

          眺めている。

京香       「昔と全然違うでしょ?」

幸村       「ああ・・・そなたの記憶が無ければ・・・このような世

          になるとは・・・信じられなかったな」

京香       「・・・私だって、ユッキーの記憶が無ければ信じられな

          いよ」

幸村       「互いに信じられんか・・・」

京香       「そうだよ!今だって、さあ、正直信じられないよ・・・

          お化けプラス自分の前世と話をするなんてさ?ユッキー

          が私の立場なら信じられる?」

幸村       「・・・信じられんかもな」

京香       「でしょ?」


S# 090 予備校教室(夜)

          京香が授業を受けている。幸村が瞑想をしている。


S# 091 川原(夜)

          京香が愚痴を言いつつ、一生懸命修行をしている。


S# 092 京香の部屋(夜)

          京香が古典の問題を解いている。

京香       「えっと・・・これなんだっけ」

          幸村が覗いている。

京香       「ユッキー邪魔」

幸村       「問い五・・・それはイ。"さくら"」

京香       「・・・」

幸村       「花と指せばさくら・・・」

京香       「へえ・・・」


S# 093 校庭(夜)

         京香が修行に少しずつ慣れてきている。


S# 094 学校教室

          京香が体操着に着替えて出てくる。気が重そう。

          手足があざだらけ。

京香       「・・・もう・・あざ・あざ。どこもあざ」

          幸村が廊下で待っている。

幸村       「何のんびりしておる。みな先に行っているぞ」

京香       「知ってるよ・・・はあ~」


S# 095 体育館

          体育の授業中。生徒達がバスケをしている。

          京香がため息をつく。

幸村       「・・・」

京香       「はあ・・・やだな」

幸村       「?」

京香       「・・・次、私の番・・・それに・・・あっ!」

          青のチームと赤チームが同点になる。

京香       「最悪・・・」

幸村       「?」 

京香       「だって・・・私のミスで負けたりしたら・・」

          先生が笛を吹く。

先生       「じゃあ!次!」

          生徒達が入れ替わり、京香も中に入る。

生徒A      「はい!京香。がんばってね・・・」

京香       「うん・・・」

          京香が嫌そうにコートに入る。

幸村       「その球を入れれば良いだけであろう」

京香       「だからそれができないの」

          バスケの試合がはじめる。京香がうろうろしているとパ

          スが回ってくる。京香が味方にすぐパスをしてしまう。

幸村       「おい!なぜ行かん?」

京香       「うるさいなあ・・・黙っててよ」

          京香の元にパスがくるが、幸村に気を取られていて、パ

          スが取れない。

京香       「あっ!ごめん・・・・」

          京香のミスから得点が取られる。

京香       「もう・・・なんで話しかけるの?!点取られちゃったじ

          ゅない?!」

幸村       「取り戻せば良いではないか?」

京香       「それができないから困ってるの!」

          京香ががんばってるが、明らかに下手くそ。

幸村       「おい!真剣にやっているのか」

京香       「・・・真剣に決まってるでしょ!」

幸村       「・・・肩を見るんだ。球ではない」

京香       「肩?」

幸村       「ああ・・・肩の動きと自分の呼吸を合わせろ」

京香       「・・・」

          京香が敵チームのプレーヤーと対峙する。京香が相手の

          肩をしっかり見ているが、その隙に抜かれてしまう。

幸村       「・・・あせるな」

          また京香が対峙する。京香がゆっくり相手に合わせる。

幸村       「そう・・相手の呼吸を・・・よし、今だ」

          京香が見事にボールを取る。京香がパスしようとするが、

          周りに誰もいない。時間があと、20秒ぐらい。

京香       「どうしよう・・・どうしよう」

幸村       「ゆけ!ゆくんだ!」

          京香が遅いながらも進む。しかし3人に囲まれる。

幸村       「打て!」

京香       「え・・・・」

幸村       「・・・何ゆえ迷う・・すべきことは一つであろう」

          京香がゴールを見て、思いっきり投げる。

幸村       「あっ!」

          投げたボールがすごいスピードでゴール板に当たって跳

          ね返る。

京香       「えっ・・」

          そのボールが自分のゴールに入ってしまう。

          あっけに取られている生徒と先生。


S# 096 体育館の水飲み場

          京香が水を飲んでいる。

友達       「京香!さっきのなに?すごかったじゃん!」

京香       「えっと・・・たまたま。偶然・・・」

友達       「・・・へえ・・・偶然?偶然か・・・」

京香       「(困った様子で)うん・・・偶然」

          チャイムが鳴る。

友達       「やばっ。早く教室行こうよ」

京香       「先行ってて・・・」

友達       「そう、京香も早く来なよ・・・」

          友達が去る。

京香       「なによ。あれ!みんなからすごい白い目で見られたじゃ

          ない!」

幸村       「・・・京香」

京香       「何?」

幸村       「その球を力一杯・・・壁にぶつけてみろ」

京香       「これ?」

          京香がバレーボールを取り上げる。」

          京香が渋々と思いっきり投げつける。

京香       「えいっ」

          壁に当たったボールが破裂する。

京香       「(あっけに取られている)・・・何これ・・・」

幸村       「・・・」

          京香が自分の手をまじまじと見ている。


S# 097 予備校(夜)

          京香が日本史の授業を受けているが、少しうわの空で自

          分の手を見ている。

          シャーペンをぎゅっと握ると、シャーペンが折れる。

先生       「1936年に起こった2・26事件は・・・青年将校に

          よる・・・わが国、近代史でもまれに見るクーデター事

          であり・・・」

          京香が慌てて、シャーペンを隠すが、周りは気づいてい

          ない。

幸村       「・・・某と一体になったことで身体が目覚めてきている

          のであろう」

京香       「目覚め?」

幸村       「さよう・・・」

          京香がぼんやりと授業を聞いている。


S# 098 SHNTOUタワー本部(夜)

          たくさんの信者が眠っている。

荒城       「・・・・」

          天波が現れ、術を唱え始めると、寝ている信者がうなさ

          れる。地面から伸びる無数の手が彼ら身体を取り合って

          いる。

          鷹が飛んでくる。

天波       「これはこれは・・・」

荒城       「かまわん。つづけろ」

          荒城の肩に鷹が止まる。

          天波が術を唱え続ける。信者達が真っ赤な目をして立ち

          上がる。

荒城       「・・・まだ足らんな」

天波       「ご安心を・・・奴ら一人が十を集め、ぞの十が百を集め

          ます・・そう遠くない日に世界は我々で埋まります」

          荒城が地上を見下ろす。

荒城       「醜い世じゃ・・・」

天波       「・・・」

荒城       「白にもなれず・・・黒にもならず・・・全てが混沌とし

          ている・・・」

天波       「まもなく一つになるでしょう・・・」

荒城       「そうだな・70年前の・・あのような事は繰り返さん」

天波       「・・・」


S# 099 京香の部屋(夜)

          京香がパソコンを開いて、SHINTOUのページを見

          ている。

京香       「これ修行時間で換算するからね・・・」

          幸村が真剣な様子でページを見ている。

幸村       「次にしろ」

京香       「もう・・・」

          京香がクリックする。

          ヤフーのホームに国民党とSHITOUが選挙協力そし

          て連立与党を組む記事が載っている。荒城と国民党党首

          が笑顔で握手をしている。好意的な記事が多い。

京香       「・・・荒城」

幸村       「・・・思った以上に早いな」

京香       「ユッキー」

幸村       「第三計画に入ったといってもよかろう」

京香       「第三計画?」

幸村       「ああ・・・奴らの計画・・・第一はSHINTOU結成。

          第二が認知。そして第三段階・・・常識・・・」

京香       「常識・・・でもなんでそんな事分かるの?」

幸村       「昔も・・・そうであったからな」

京香       「昔か・・・」

幸村       「存在を当然とする・・・やつらの思い通りに事は進んで

          いるということか」

京香       「順調ってことか・・・」


S# 100 川原(夜)

          京香がキャスティングをする。ごみばかりかかる。

京香       「・・・私のほうは・・・ごみばっかり」

          京香の後ろには大量のごみ。

幸村       「・・・」

          京香が必死にやっている。

幸村N      「これはこれで京香の力かもしれん」

          京香が必死にやっている。


S# 101 校庭にある体育倉庫(夜)

          京香が鍵を開けている。

幸村       「ほら。違う。そこではない」

京香       「ちょっと・・・黙ってよ」

幸村       「・・・」

京香       「OK!開いた!」

幸村       「・・・」


S# 102 校庭(夜)

         真っ暗な校庭。

         京香が目隠しをして、ピッチングマシーンから出るボール

         を取り投げ返している。何度か失敗しながらもできてきて

         いる。

幸村      「もっと早く!槍の極意は相手の攻撃を受けてからにある」


S# 103 校庭の隅(夜)

         京香が休んでいる。ふわふわまんじゅうを食べている。幸

         村が京香を見ている。京香がふわふわまんじゅうの袋を小

         さく破り、それを上空に投げて、掴んでいる。

京香      「これは得意なんだよな・・・」

幸村      「・・・そろそろ先に進むか」

京香      「先?」

幸村      「ああ・・・そこの枝を取ってみろ」

         京香が小枝を手に取る。

京香      「???」

幸村      「奴らを倒す。封印するのに必要なもの・・それは霊力」

京香      「霊力?」

幸村      「・・・西尾を討った時・・・棒が輝いたのを覚えておるか

         ?」

京香      「うん・・・」

幸村      「悪霊を封印するには霊力の帯びたもので、相手を討たねば

         ならん」

京香      「・・・」

幸村      「前も言ったが、某はそなたの身体に長くいられん・・・一

         日、十分いられるかどうかだ・・・」

京香      「・・・」

幸村      「そなた自身で自由に操れんようでは戦いにならん」

京香      「・・・」

幸村      「やってみろ?」

京香      「やってみろって言われたって?霊力でしょ?私たぶん霊感

         ゼロだよ」

幸村      「霊感でない・・・心を・・・こめる・・・」

         幸村が京香の身体に入る。幸村がゆっくり目をつむると、

         小枝が光をおびる。

京香(幸)   「・・・」

         幸村が京香の身体からでる。

         京香が小枝を握り、目を瞑って力をこめるがまったく光ら

         ない。

幸村      「力ではない・思いをこめるのだ」

京香      「思いって?」

幸村      「例えば、忠義であったり、敬意・・・親愛・・・それこそ

         闇の事柄でなければ何ものでもかまわん」

京香      「・・・何でも良いって一番困るんだけどな・・・」

         京香が目を瞑り力をこめる。なんの変化もない小枝。

京香      「やっぱり・・・無理だよ・・」

幸村      「・・・」

         ふわふわ饅頭が光っている。

京香      「えっ!ユッキー光ってる!ふわふわ饅頭が!!」

幸村      「(ちょっと驚いた表情で)枝にこめろと・・・」

         京香がふて腐れた表情でいる

幸村N     「・・・まさか・離れたものに霊力を・・・それだけではな

         い・・・維持する力もあるのか・・」

         京香の手から離れても光り続ける饅頭。

京香      「これ、食べても大丈夫かな?おいしくなったりして」

         幸村があきれた表情で京香を見る。


S# 104 工場街

         寂れた工場が並んでいる。そして各所に自衛隊員が武器を

         持ち警備をしている。

         そこの工場の前に何台もの黒塗りの車とたくさんのSPが

         いる。

 一匹の鷹が空を飛んでいるが、何かを発見して急降下して

         いく。


S# 105 寂れた工場の廊下

         大臣とSPが歩いている。そしてある一室に入る。


S# 106 工場街

         警備をしている自衛隊員。

自衛隊員    「B地点異常なし・・・ぐっ」

シーバー    「B地点どうした?おい応答しろ

         自衛隊員が答えた瞬間。首を折られ殺されている。

         目が真っ赤な信者達がじわじわと工場を取り囲んでいる。

         辺りで銃声と悲鳴が鳴り始める。

         たくさんの自衛隊員やSPが倒れている。

         そしてしばらくすると起き上がる。目が真っ赤になってい

         る。


S# 107 寂れた工場の一室

         広くて近代的な部屋。高級官僚・経団連会長・マスコミ

         幹部・自衛隊の幹部・警察官僚・最高裁判事などが席に座

         っている。

マスコミ幹部  「・・・あの不正事件は隠しようがないですよ」

高級官僚    「他のネタを回すから、2週間ほどで、騒ぐのをやめてくれ

         ないか?」

         様々な団体の幹部達が話している。

         大臣が入場し、一斉に黙る。

大臣      「お待たせいたしました・・・」

         一同が一斉に振り向く。

大臣      「緊急に皆様お集まり頂いたのは・・・お察しどおり、SI

         NTOUについてです」

         一同の顔が、真剣になる。

大臣      「・・・官邸でも彼らに対し危惧を抱いています」

警察官僚    「・・我々も調査を進めていますが、正直ただの宗教団体と

         は思えない。幹部達の特に今現在の情報は固い・・・」

大臣      「公安の調査報告を・・・」

         大画面に荒城の生い立ちの情報などがでる。

大臣      「昭和○○年・・・出身は静岡県・・・地元で、名士として

         名高く資本家としても有名な荒城家の長男として生まれる。

         小中高と常に成績はトップ。弓道が得意で7段の持ち主。

         地元の進学校を卒業後・・・城南大学法学部にトップの成

         績で入学。大学在学中に司法試験に合格して、将来の夢は

         検事になることだった・・・」

         他の一同がその経歴を見ている。

大臣      「しかし・・・大学在学中、消息を絶つ。海外に渡ったとの

         情報もあるが、出国経歴はなし・・・。荒城失踪中に、荒

         城家の全ての者は何者かにより、惨殺・・・地元警察によ

         り強盗によるものと断定・・・その半年後、荒城はSHI

         NTOUのコアメンバーである井川・本山と共に地元に戻

         る。受け継いだ荒城家の全財産を使い、SHINTOUを

         立ち上げ、その後、18年近くで・・・信者総数130万人

・         ・・彼らを支持するもの約700万人・・・」

マスコミ幹部  「・・・先ほどの我々報道機関の調査でも総理に望む人物に

         荒城の名が入っている」

経団連会長   「しかし・・・18年近くで800万人にもの人間の支持を取り         

付けることなど普通できるか?!」

警察幹部    「・・・先ほどの右翼団体本部襲撃事件も彼らのものと思わ

         れる・・・彼らはSHINTOUを批判していた・・・そ

         のような組織をつぶす事で・・・」

経団連会長   「いや・・・批判を押さえ込むだけで・・・これほどの組織

         を作れるものではない・・・」

大臣      「我々もそこが気にかかっていた・・・不思議なことに以前

         はSHINTOUを反対していた者が・・・今は組織の中

         核にいる場合が多い」

最高裁判事   「なにか・・・精神コントロールのような事が行われている

         とでも?」

大臣      「我々もその辺りを公安に調査させたが、不明だ・・・潜入

         させた捜査員も連絡がつかない・・・」

マスコミ幹部  「・・・警察が弱腰なのだ!この間もSHINTOUを批判

         した解説者が自殺・・・いや殺された。これもあなた方が

         しっかりせんからだ」

警察官僚    「我々も動けんのだよ・・・財界はもちろん政界。我らの中

         にも彼らに同調するものがいる・・・」

         一同が黙る。

大臣      「・・・我が党も同じだ・・・今は彼らを面ってだって批判

         できん・・・」

一同      「・・・」

大臣      「だからこそ・議題に持ち込んだのだ・・・対応案を早急に

         考えねば・・・」

一同      「・・・」

大臣      「何か良い策はあるか?」

         急に鷹が一同の席に降り立つ。

警察官僚    「なんだ?!」

荒城      「・・・一つ策を進ぜよう」

大臣      「荒城か・・・なぜ、この場所に・・・」

         一同が振り返ると鷹が荒城と本山が中に入ってくる。

         荒城の肩に鷹が戻ってくる。

荒城      「・・・噂はかねがね聞いていたが、まさか本当にあったと

         はな・・・政界・財界・法曹・マスコミ・官僚・警察・自         

衛隊・・・の幹部が一同に集まり・・・日本のこれからを         

決める会が・・・」

一同      「・・・」

荒城      「国民が知ったら・・・大変な騒ぎになろう」

大臣      「おい・・・警備のものは?どうしたのだ?」

         大臣が呼び出すが、応答なし。

         大画面の画面が切り替わる。


S# 108 工場街(画面上)

         倒れていた自衛隊員やSPの目が真っ赤に染まっている。


S# 109 寂れた工場の一室

         この光景がモニターに流れている。

自衛隊幹部   「・・・なんだ・・・これは」

荒城      「・・・迷いのない世界・・・」

一同      「・・・」

荒城      「来たまえ!迷いの世界へ」

         警察幹部が銃で荒城を撃つが、銃弾を本山が槍で弾く。

本山      「・・・愚かな・・・飛び道具で討てる我ではないわ」

一同      「(怯える一同)・・・」

         荒城の肩にとまっていた鷹が警察幹部の目を突く。

         苦しがる警察幹部。一同が逃げようとする。

荒城      「何処へ行くのだ?行く場所は一つしかないのだよ」

一同      「・・・」


S# 110 工場街

         荒城と本山が各団体のトップが出てくる。トップ達の目も

         真っ赤に染まっている。

荒城      「よう、探し当てたな・・・ようやった。半蔵よ」

         荒城の肩に泊まっていた鷹が鳴く。

荒城      「この時を待っていた・・・第三計画への一歩だ」

本山      「恐れながら、奴を討たねば・・計画も何もありませぬ」

荒城      「・・忠勝よ・・お主の思いは分かるが・・・まあ、いい。今

宵は満月であったのう・・・奴の力を図るに絶好の日」

         荒城が空を見上げる。


S# 111 SHINTOUタワー本部(夜)

         満月が部屋を照らしている。

         荒城・井川・本山が座っている。

         天波が20名の真っ黒な装束を着た信者と共に入ってくる。

荒城      「はじめろ」

         20名の信者が一斉に術を唱える。

         天波の身体に邪気が集合していく。


S# 112 予備校の教室(夜)

          京香が授業を受けている。幸村が京香のノートを覗き込

          んでいる。

幸村       「・・・楽しいのか?これは?」

          京香が数学の問題を解いている。

京香       「(小声で)邪魔しないでよ」

先生       「ここは特に出るところだからな。必ずマスターするよう

          に・・・」

          先生が黒板に数列を書いている。

          京香が寒気を感じ、幸村を見ると険しい顔をしている。

京香       「ユッキー・・・」

幸村       「・・・なるほど、満月・・・」

          幸村が窓から満月を眺める。

          先生が黒板に書いている数列が滅茶苦茶になっている。

幸村       「油断するな・・・」

京香       「・・・えっ」

先生       「こ・れが・・・できいない奴は・・・生きる価値が、な

          い・・・」

          京香の周りにいた生徒達が一斉に立ち上がり、京香に振

          り向く。

京香       「・・・」

          生徒達が鉛筆・シャーペン・カッターを持ち、京香に襲

          い掛かる。

京香       「きゃー」

          京香が何とかかわす。

京香       「ユッキー!」

幸村       「術に操られている」

          幸村が動こうとしない。

          京香が何とかかわしている。

京香       「ユッキー!!」

幸村       「術に操られただけでただの人間・・・こやつら如き、そ

          なた一人で倒せ!」

京香       「えっ!」

幸村       「こ奴らを倒せんようでは、これから先、奴らと刃を重ね

          ることなどできん」

京香       「倒せ!って言ったって?!」

幸村       「我らの霊力に反応してるだけのこと・・・」

京香       「・・・だから!どうすれば良いの!」

幸村       「それは、ずっと・・・やってきたであろう」

京香       「・・・」

          京香がシャーペンを手に取る。そして力をこめると、シ

          ャーペンに光が宿る。

京香       「できた・・・ユッキー!ほら見て見て!!」

          京香が喜んでいると、後ろから先生が襲ってくる。

幸村       「馬鹿!後ろだ!」

京香       「えっ!」

          京香が何とかかわし、シャーペンを先生に刺そうとする

          が、止める。

幸村       「おい!京香。何ゆえ止めた?」

          京香が簡単な感じで先生や生徒の攻撃をかわしながら、

京香       「だって・・・もし当たったら危ないでしょ」

          京香が攻撃をかわしながら、自分の筆箱の中身を見てい

          る。

          幸村がハラハラした感じでその光景を見ているが、京香

          は結構余裕そう。

京香       「・・・これ・・・お気に入りだったんだけど・・」

          かわいいクマの形をした消しゴムを取り出し、それに霊

          力を込め、それを次々と生徒にぶつけると、生徒が気を

          失っていく。生徒にぶつかり、跳ね返った消しゴムを見

          事にキャッチして、それをぶつけ続ける。

          幸村が真剣な様子で京香の動きを見ている。

京香       「これで・・・ラスト!!」

          京香跳ね返った消しゴムをオーベーヘッドキックで蹴り、

          先生にぶつけると、術が解ける。

          周りの生徒達も術が解けて、倒れている。

幸村       「(感心したように)おまえ・・少しはできるように」

京香       「(幸村の言葉を聞いてない)ああ!私のお気にのクマさ

          ん・・・」

          クマの消しゴムの首が取れている。


S# 113 SHINTOUタワー本部(夜)

          信者が倒れている。鷹が鳴く。

天波       「破られました・・・」

本山       「人形ごときに破られる奴ではない・・・」

          本山がうれしそうに言う。

井川       「・・・しかし、これは厄介な事、奴の居場所は分からん

          のか?」

天波       「分かりませぬ・・奴の魂に反応させるだけのもの・・」

井川       「くそ・・・それでは、何の役にもたたん」

荒城       「・・・奴が今、存在し、確かな力をつけつつある・・・

          それだけ分かれば十分だ」

井川       「しかし、早めに手を打たねば・・・」

荒城       「待てばよい・・・どうせ近いうち現れるだろう・・我々

          のもとにな・・・今は計画を確実に進めることだ」

          荒城が満月を見る。


S# 114 SHINTOUタワー訓練室(夜)

          本山が精神を統一している。

          武器をもった信者達が本山を囲んでいる。

          本山が蜻蛉斬りの槍を取り出す。

          信者が本山に一斉に襲い掛かるが、本山が一瞬で全員を

          倒す。

本山       「足らん!こんなものでは足りん!我が心の渇きは・・」

          荒城がその光景を微笑み見ている。


S# 115 道路(夜)

          京香がびくびくしながら、歩いている。少しの音にも反

          応する京香。

幸村       「案ずるな・・・」

京香       「だって・・・また」

幸村       「月が欠けておる」

          満月が雲で隠れている。

京香       「・・・月?」

幸村       「・・・今宵の術は満月の力をかりたのだろう・・・月が          

欠けた今、もう使えん」

京香       「・・・」

幸村       「月の力を借りるにしても、魂を持つ人間を操ることは並

          大抵の力ではない・・・こちらも事を急がねばな」

京香       「事を急ぐ?」


S# 116 京香の部屋(夜)

          京香が釣竿を持ってくる。

幸村       「京香。今日は、それは使わん」

京香       「?」

幸村       「何か棒を・・・そうだな・そなたの頭1つ分長い棒を持

          ってまいれ」

京香       「?」


S# 117 SHINTOU支部道場(夜)

          京香が道場を見ている。

京香       「で・・・どうするの?」

幸村       「・・・・感じぬか。邪気を・・・」

          京香が道場を眺めると身震いを起こす。

京香       「いる・・・3人」

幸村       「いや・・・5人」

京香       「・・・分かってるよ!!」

幸村       「その5人をこれから狩る・・・行くぞ!」

京香       「行くぞって・・・ちょっと待ってよ。私が?」

幸村       「無論。そなただ・・・奴らは雑兵に過ぎん・・・」

          京香がプラスチックの棒を見る。

京香       「こんなので戦うの?」

幸村       「案ずるな。お前が力を込められれば、それはどんな名刀

          よりもそなたの力になろう」

京香       「それで・・・書かせたわけね」

          プラスチックに看護大学合格の文字。

幸村       「饅頭では話にならからな・・・その言葉がお前に力をく

          れるんだろう?」

京香       「合格・・合格・・・・合格」

          プラスチックの棒が光り輝く。

幸村       「よし、いくぞ」

京香       「ちょっと待ってよ!」

幸村       「今度は何だ?」

京香       「さっき、悪霊と術で操られた人間とはレベルが違うって

          いってなかった?」

幸村       「事は急がねばならん。行くぞ」

京香       「やだ!ぜったい行かない」

幸村       「いまさら、何を怖気づく・・そのために修行したのであ

          ろう」

京香       「怖気づくに決まってるでしょ!私は普通の高校生なの!

          今まで戦った事もないし、それに修行って言ってたって

          ・・・釣をしたり、ボールかわしただけじゃん!戦うな

          んて絶対無理!」

幸村       「案ずる必要はない。そなたの魂には槍の扱いが染み込ん          

でいる」

京香       「・・・・」

幸村       「今までの修行は感覚を思い出させ、研ぎ澄ますもの・・

          ・槍の扱いはすでに某の時に十分しておる」

京香       「前世でした修行なんてあてにならない!」

幸村       「・・・・万が一のときは某が出よう」

京香       「万が一じゃ嫌!」

幸村       「・・・ならば、そなたが呼んだら、某が出よう」

京香       「ほんと?ほんとの?ほんと」

幸村       「ああ・・・二言はない」

          京香がしぶしぶ行こうとするが、監視カメラがたくさん

          付いていることに気づく。

京香       「やっぱり無理!あんなに監視カメラがあるよ。ばれちゃ

          う!」

幸村       「遅かれ、早かればれること・・・止むをえん」

京香       「止むをえんって。ユッキーはよくても、最低でも受験を

          終えるまでは、静かに暮らしたいの!私は!!」

幸村       「・・・ならば、ばれんように顔を隠せ」

京香       「・・・」


S# 118 ドンキホーテ店内(夜)

          コスプレコーナーにいる京香。カップル達がいる。

京香       「・・・」

幸村       「どれでも良いから、早くいたせ・・・」

京香       「・・・」

幸村       「あれは、どうだ?」

          幸村がスクール水着を指す。

京香       「馬鹿じゃないの?!なんで水着なんかで戦わないといけ

          ないの?・・・あんな姿で街中歩いてたらただの変態じ

          ゃない?!」

幸村       「・・・・ならば・・・あれは?戦いやすそうだ」

          幸村がチャイナドレスを指す。

京香       「ユッキーに相談した私が馬鹿だった・・・」

          京香が辺りを見ている。

京香       「・・・あっ・・・これ?」

          「××高校の制服をそっくり再現!!」と書かれた制服

          がある。

幸村       「そなたのいつも着ている服と変わらんじゃないか?」

京香       「私、この学校の制服憧れてたんだよね」

幸村       「・・・」

京香       「・・・これにする!」


S# 119 ドンキホーテ店内試着室

          京香が着替えて出てくる。

京香       「じゃ~ん!どう?似合う」

          幸村が暇そうにうなづく。

京香       「何よ!レディが新しい服に着替えたのにその態度は?」

幸村       「ああ・・・はいはい」

京香       「本当に女心が分からないんだね。ユッキーは」

幸村       「早く行くぞ!」

京香       「・・・」

幸村       「京香!」

京香       「このまま行ったら顔が丸見えでしょ!」


S# 120 ドンキホーテ店内パーティーグッズコーナー

          京香がいろいろ覆面を見ている。

幸村       「これなら顔を隠せるだろう?」

          泥棒みたいなフルフェイスのマスクを指す。

京香       「ただの泥棒じゃない?!ホント美的センスゼロ!ユッキ

          ーは!」

幸村       「・・・勝手にしろ・・・」

          京香がお面をいろいろつけるが、不満そう。

京香       「・・・なんかイマイチ」

幸村       「・・・頼むから、早くせんか?」

          京香が幸村を睨みつける。

幸村       「・・・ゆっくり探すがよい・・・」


S# 121 SHINTOU支部道場

          京香が着替えを済ませ、可愛らしいハンカチで顔を覆っ

          た姿でいる。

京香       「まあ・・・しょうがないか」

幸村       「もう・・・満足か?・・・では、先ほど頼んどいたもの

          を?」

          京香がカッターを出す。

京香       「カッターなんか使わないよ!条件2!今の人を傷つけな

          い!」

幸村       「武器として使うのではない・・・それをまたげ」

京香       「?」

          京香がカッターをまたぐ

京香       「で?」

幸村       「次は上帯を切る・・・」

京香       「上帯って何?」

幸村       「よろいを結ぶ紐だ」

京香       「あるわけないでしょ」

幸村       「ならば・・・そのふわふわしたものでも、切れ」

京香       「リボン?」

幸村       「ああ・・・」

京香       「このリボン好きなのに・・・」

          京香が少しだけ切る。

京香       「で?この一連の意味不明な作業は何?」

幸村       「必勝の儀式・・・」

京香       「げん担ぎってこと?」

京香       「さよう・・・」

京香       「幽霊なのに縁起担いで意味あんの?」

幸村       「何を申す!刃をまたぐ事で・・攻撃が当たらん」

京香       「・・・こんな事で攻撃が当たらないなら・・・なんどま

          たいでもいいよ・・・」

幸村       「御仏の力をあなどってならん」

京香       「・・・神様でも何でもいいけど・・・」

幸村       「・・・」

京香       「危なくなったら、ユッキーの番だよ」

幸村       「案ずるな・・・某が必ず守る」

          京香がうなづき、槍を握る。光り輝く槍。

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