序章
見覚えのある世界だった。
気づいたらわたしはそこに立っていた。
太陽は優しい光で世界を照らしていた。
一面緑で覆われていて、草木はそよ風に揺れている。
蝶や鳥もたくさん飛んでいて、よく見ればうさぎも走っている。
空は雲ひとつない晴天だった。
どこまでも続く地平線。
この世界はどこまで続いているのだろう
1歩を踏み出そうとした時、目の前に咲くひとつの花に気づいた。
スノードロップだった。
わたしはその花を知っている
その花の香りを嗅ぐと、どこか懐かしく安心した。
ーここにいてもいいんだよー
誰かにそう言われた気がした。
後ろを振り返ると、人のような動物のような、あの世界には居ないような人達が立ってこちらを見ていた。
1人は耳のとがった綺麗な顔をした男の子だった。
1人はとても小さいけど顔立ちは成人男性のようだった。
1人はとても大きくとてもここからじゃ顔が見えない。
2人は人と呼んでいいのかな。羽が生えて空を飛んでる、顔が似ている可愛い女の子。
もう1人は、多分人ではない。猫のような見た目をしていた。
6人は何も言わずにこちらを見ている。
ただ優しく微笑んでわたしを見ている。
「おかえり。ずっと待ってたよ。」
何故だか涙が溢れ出てきた。
ただいま
わたしはやっと喋れた。