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断罪星戦  作者: 余 疏涅
2/5

一章

1話

素敵な断頭台。

どうか毒蛇が怒り狂って羽石か西原へ反撃に出ます様に・・・

この奇行女かヒス担の面白い断末魔顔が拝め永久保存出来ます様に・・・


そして俺の祈りはかみに通じた!


顛末

音に激昂したのか蛇が教室へ飛び込んで来た。

羽石が蛇に咬まれた。

悲鳴に包まれる教室。

そこでようやく蛇体のどぎつい警戒色に気付き逃げ惑うカス共と失神するヒス担。

だが、やはりと言うべきかアニメのヒロインの如く自分は何箇所も咬まれながらも子供モモンガだけは死守し蛇をバケツに閉じ込める救出劇に成功した羽石。

本当に死ねば良かったのに・・・

そうすれば永久にオサラバ出来たのになぁ。

後で分かった事だがあれは確かにペットとして飼われていたものが逃げ出した外来種だったが無毒の蛇との事だった。

本当にガッカリだ。

バッチリ盗撮した映像も全部無駄になってしまった。

と言うか計画が全部ぶっ壊されつつある。

そして俺は今日も虚ろな目で登校している。

虚ろな目で勉学に励み体を鍛え部活を終えて教室で帰宅の準備をしようとしていた時だった。


「ねー覇星君、ちょっといいかな?」


そこに居たのは羽石優謝だった。

ああ、この前は大丈夫だった?

「うん、一応毒蛇じゃなかたみたい。」

そりゃあー良かった(知ってるよ)。


「あのね・・・私」


うん?


「覇星君を好・・・」


す?(勘弁して欲しい)


またもやコイツの偽善に俺の人生の楽しみは奪われたのだ。

今回の件で今迄の努力が水の泡になってしまいそうなのだ。

折角人を合法的に殺す為に今迄下準備をしてきたのに。

俺の夢はイジメによって人を合法的に死に追い遣る事だった。

良心の呵責とかは話には聞いた事はあるが感じた事が無い。

社会人になってからだと色々と不安要素があるが学生時代の今ならば「遊びのつもりだった」と言えば素晴らしい事に今のこの国の司法は甘い判断を下してくれるのだ。

どんなに運が悪くとも投獄され極刑が下る心配も無い。

忘れもしない、俺の夢を打ち砕いたのはこの転校生羽石優謝だった。

美人で人当たりが良く多弁で度胸も据わったコイツは悪夢の様に団結していき俺の恐怖による芸術的クラス支配を揺るがした。

だが、俺は諦めなかった。

今迄何人もの担任や生徒を不登校(戦闘不能)に追い込んで来た俺のプライドが許さなかった。

俺自身は友人のフリをしつつも裏から気の遠くなる様な羽石派への変人レッテルやネガキャン、分断工作、ガスライディングを延々と繰り返しやっと・・・やっとの思いで形勢逆転しつつあったのに。

あの糞モモンガ救出劇のおかげで羽石暗殺計画は完全に破綻しつつある。

俺の芸術的とも言える渾身の工作によって疑惑の変人からクラスのヒーローへと傾いた羽石へのイジメを継続する事は相当に無謀だろう。

何とかこれは羽石の自作自演だったというデマを流して攪乱したい所だが蛇の所有者が既に名乗り出ているのでこの作戦も絶望的。


「覇星君を人として好きになりたい。だからもうイジメは止めるって約束して。」


(訳)無条件降伏しろ。


「悪意を持って人を操る事も止めて。覇星くんは良い頭をそんな事に使っちゃダメなんだ!もっと優しい人間になって!」


(俺が生まれてから一度も感じた事の無い感情なのにどうやってなりようがあるんだろうな?)


「ねぇ?覇星君、人の話を聞いてるの?」


(はぁ・・・俺はこれからこのカス共と友情ごっこしながら糞つまんねー学園生活を送らねばならないのか?ああ・・・コイツさえ居なければ・・・本当にコイツだけは殺したかったなぁ・・・羽石を・・・心の底から殺したかったんだ・・・俺はぁぁぁ!)


ボシュッ


(何かが弾け飛ぶ様な音がした。)


ん?何の音だ?


「こぽぉ・・・ぷ」


顔を上げて凝視してみると羽石は口から大量の血を吐いていた。


ジュル・・・ドサッ


嫌な音を立てながら羽石の上半身だけが変な方向に折れ曲がりそのまま千切れて地面に落ちた。

同時にバケツをひっくり返したが如く血だまりが地面に広がっていき強烈に鉄臭い死臭が周囲に立ち込めた。


「うわッ!どうした羽石!?どうした!?」


驚き問い掛けるが既に絶命しているのか羽石の返事は無かった。

こんな場面誰かに見られでもしたらどうなる?

勝手に人間が真っ二つに分断されて死んだなんて言って誰が信じてくれる?

大方、校舎からの飛び降り自殺現場に居合わせて気が狂ったと言われるに違い無い。

いや、どのみちこの場に留まるのは得策では無い。

この状況だと目の前で飛び降り自殺して俺のイジメに抗議した様にしか見えないだろう。

早く逃げなくては・・・クソッ!それにしてもその後はどうやって誤魔化す?

まったく・・・こんな形で夢が叶うなんて・・・


「何をやっているの覇星君?何かあったの?」


今日は最悪の日だった・・・

どうやって西原たんにんを誤魔化す?


「何か凄く鉄臭い臭いがしたから・・・何の臭いかしら?」


「先生実は・・・羽石さんが・・・大変です早く救急車を・・・」


「・・・・え?え?・・・きゃあああああああああああああああああああああああああああああ」


「どうしました西原先生?何かあっ・・・・とぅわあああああどうした!?まさか飛び降りたのか!?」


「何々?・・・・いやああああああああああ羽石さあああん!」


マズイな、人が集まってきやがった・・・


「貴方のせいよ。」


(ちッ・・・マズイ展開だ)


「貴方がッ!!!!貴方が羽石さんを追い詰めたのよ!」


「西原先生落ち着いて下さい!」


「落ち着けだぁ!?だって羽石さんずっと誰かにイジメられて苦しんでたもの!覇星君!貴方のせいだったのね!

きっと貴方が傷付けていたから!ずっとイジメ抜いていたんだ!ネチネチネチネチ何年も影からコソコソ・・・分かってるんだから!絶対に許さないんだから!」


「わ、私も・・・私も一度だけ覇星君が羽石さんのシューズにグリス塗りたくってぐちゃぐちゃにしてた現場見た事ある。」


「それをどうしてもっと早く言ってくれなかったのよォおおおおおおおお山田さあああああああああああん!」


「チッ(あの時の仕込みか、しくった)」


「それを今言って何になるんですか?兎に角山田さん!早く救急車と警察を呼んで来てくれ!私は西原先生を」


「はッ・・・はへッはひいい!わかっりまひんぐぉええええええええええええええええ」


盛大に嘔吐する山田


「大丈夫か?山田?もういい俺が行く西原先生!山田を保険室へ!」


「分かりました・・・覇星君!今すぐ職員室へ来なさい!」


糞ッ!完全にバレた・・・最悪の展開だ・・・後はイモズル式だ・・・クソッタレが!

今迄の努力が・・・畜生!殺す時はアイツに擦り付ける手筈だったのに・・・

こんないきなり死なれちゃ折角の計画も生かせない・・・

上手く誤魔化せ!何か・・・切り抜けられる何か・・・名案がある筈だ・・・

どうやって撹乱すればいい?問題は羽石の父兄か?オヤジのコネでPTAと教育委員会を抱き込むか?

俺のオヤジは元闘志の代議士だ、自由市民党や立憲人民党、日本急進党にも市民赤軍上がりのコネがある・・・いや、駄目だ!用心深いオヤジの事だから口封じに俺を消しかねない・・・そうやって蒸発したり事故死に見せ掛け消された議員や秘書を何人も知っている。

オヤジはそういう事を平気でやってのける奴だ。

クソッ糞!糞!俺はまだ絶対にこんな事で終わる訳にはいかないのに・・・


死臭立ち込める中再び俺は一人になった。

どうしても現実感が感じられず羽石の死体の方を振り返り凝視する。

するとこの前助け出したモモンガの子供が2匹羽石のポケットから出て来て羽石の顔に擦り寄り真っ黒いつぶらな瞳を潤ませながらペロペロと羽石の頬を舐めている。


クソッタレ!運命はどんだけ俺の心証を悪くすりゃ気が済むんだ?

念の為このモモンガ共もそこのレンガで頭潰して始末しとくか?

いや、余計な事はもうしない方がいいか・・・それより何かの誤魔化しに利用出来るか・・・

何か考えろ!プランBだ!プランBを考えろ・・・考えろ・・・!

・・・そうだ、モモンガの子供がカラスに驚いて窓から落ちそうになり助けようとした羽石が・・・

俺は窓から転落した羽石を受け止めようと走ったが間に合わなかった・・・よし、これで行こう!

上手く誤魔化せるか?いや、大丈夫だ!俺に勝った筈の羽石が自殺する理由が無いからな!

だって実際、自殺じゃなくていきなり真っ二つに体が分断されたんだからな・・・


「やあ、覇星君。ごきげんよう!」


気がつくと目の前に立って居たのは白石 靑罵だった。

白石は数週間前に俺のクラスに転校してきた。

ある種、俺のライバルの様なもので羽石とは別の意味で支配下に置けなかった男である。

独り言をどこまで聞かれていたかは分からない・・・


「どうしたんだい?顔色が悪いぞ覇星君?」


「・・・お前」


「ん?何か言った?」


「これは、お前の仕込みだったのか?」


「いんや違うよ?それは僕のせいでも君のせいでもない。僕では無い本当の僕がやった。」


「嘲りにでも来たか、不謹慎な奴だな。」


「いいや、今日は君に良いニュースがあるんだ。今君は最悪な気分だろ、だから最高の気分にしてあげようと思ってね?」


「はッ(悪趣味な野郎だ・・・)」


「今から君に僕の正体を見せてあげるよ」


!?

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