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とある研究者の話  作者: ムシコロリ
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ビデオレポートその1

 近未来を舞台にしたお話です。

このお話は起承転結で言う「起」の段階で、まだまだ続きます


全体で15000文字程度の短編になる予定です

 あ、あーーー、マイクテス、テス。


 うむ! ンンッ!


 私は、財前(ざいぜん) 真教(まさのり)。天才である。

 そして、人類史上最高の3Dスキャナを発明した最高の科学者である。今までの3Dスキャナでは、表面的なものしかスキャンができなかったが……しかし。 私の開発した3Dスキャナは、モノの外見だけでなく内容物まで読み取ることが可能だ。まあ、わかりやすくヒトで例えるならば、外見だけでなく内臓や血液・脳細胞や電気信号まで瞬時に読み取れるといったところか。

そして今回の発明したものの最大の利点は、生物をスキャンした場合、スキャンデータはスキャナ対象の記憶をも引き継ぐことが可能なことである。まさに天才的。


 実用例を挙げるならば、私のような数百年に一度の天才をスキャンすることで、その記憶と能力をPC上で再現し、本人が亡くなった後にも天才から頭脳面でのサポートを受けられる、というのが容易に思いつく。他にも絶滅危惧種の保存など様々な用途があるだろう。


 さらに、この3Dプリンタはデータをスキャンするだけではなく、専用の天才的なプログラミング技術で造られたソフトを使用することで、大きく分けて三つの大きな利点を享受できる。


 まず一つ目は、スキャンデータの記憶の編集機能。何故記憶の編集機能を採用したかというと、日常会話中に地雷を踏んで天才の機嫌を損ねてしまっても、地雷を踏んだログを消してしまえば次からは何事もなく話すことが可能になるためである。まさに天才的。


 そして二つ目は、スキャンデータ専用の仮想居住空間を用意し、他スキャンデータとの共同生活もさせることができる点である。人類は物理的、精神的コミュニケーションを行うことで進化してきた。ならば、私のような天才同士のコミュニケーションならばどうか。考えるだけで垂涎ものである。そう、仮想空間のみで実現できる、天才同士の運命的な出会いを見ることができるのだ。


 最後に三つ目。それは、人体データの改造による見た目のエディット機能である。恥ずかしながら、これは私の趣味で採用した機能だ。例えばオイラーの頭脳を持った美少女やスレンダーな美女のピカソを再現できる。頭脳に関してはもちろん本人のスキャンデータを取る必要があるが。故人の記憶や能力を再現することは現在の技術では不可能なのが惜しい。だが、革命的だ……。


 そして今私は、最後の検証実験として自分と助手、愛猫のスキャンデータを取り、私のスゥパァマスィイン内に作成した『理想の研究環境(アヴァロン)』に置き、好きなように研究させることにした。なお、アヴァロン内は現実と同様の物理法則で成り立っており、スキャンデータ達は現実で生きているのと変わらず生活を送ることができる。仮想世界内の私と助手はさぞ幸せなことだろう。なぜなら、愛する者と半永久的に大好きな研究ができるのだから……。


 え? 違う? あくまで私はあなたの助手だ? まあ、そう顔を赤くするな助手。

 

 それでは、実験の準備にとりかかる。実験の成否判定基準は至ってシンプル。スキャンが完了しスキャンデータが仮想居住空間に移動したのを確認したら、スキャンデータは頭の上に腕で大きな丸を作るというものである。決して、焼酎のコマーシャルを見てパクったのではない。


 助手、スキャンを始めるぞ。もう一度言うが、3Dスキャンの方法はスイッチを入れて対象物に触れるだけだ。人程度の大きさなら2秒で終わるから決して難しい作業じゃない。間違って建物に触れるなよ、建物全体がスキャンされてせっかく作ったアヴァロンがぶち壊しになるからな。

 ……さて、私のスキャンが完了したところで、スゥパァマスィインのディスプレイを見てみよう。

 おお! アヴァロンにいるのはまさに私! 嬉しそうに丸を作っているではないか。


 成功だ。やはり私の理論は間違ってなどいなかった。これを学会で発表して、今まで見下してきたバーコードヘアスタイルボンクラ老害大学教授共を見返して追加研究費をガッポリもらってやる。学会で恥をかかせた恨みは絶対に忘れないか……って痛い! 助手、私の脇腹を肘で突くんじゃない! あ、早く自分も仮想空間に入れろと言うのか。わかったわかった。それではスキャナを貸してくれ。


 ……これでいいだろう。ついでに、うちのにゃんにゃんであるにゃん蔵もスキャンしておこう。猫の力は研究に必要だからな。研究費不足で猫の手も借りたいってか。ハッハッハ! それでは助手とニャン蔵についても3Dデータを確認してみようではないか。

 ……うむ、成功だ。助手とにゃん蔵もアヴァロンへの転送が完了した。見事に両手で丸を作っている。にゃん蔵は驚いた眼をしているな。だがしかし、助手よ。向こうにいる助手が泣いているようだがこれは、痛い痛い痛い! 脇腹をつねらないでくださいお願いいたします痛いです許してください! というか、なんでアヴァロンの私も首元に蹴りを入れられているのだこの乱暴者!

 

 とにかく、実験は成功だ。このビデオレポートはしかる時まで保存しておく。普段のログは常にとっておくが、目立つ進捗があったら同様にビデオレポートに記録する! 以上!

痛い痛いほんとごめんなさ


ブツッ

続き

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