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1 初心者講習

 通路全体が薄ぼんやりと発光する不思議な洞窟の中に、1人の少年が歩いていた。

 少年は丈の長い黒いローブで体を覆い隠し、手に持った杖で少し先の地面をつきながら歩く。

 足元を警戒しているようで、歩く速度はゆっくりとしている。


「·····ふぅ。3層まで1人で来れるようになりました」


 少年は今、洞窟の更に下に行く階段の前に立っていた。

 ここはダンジョン。

 冒険者ギルドの本部がある王都ローガニア。

 その隣の村、レイガムにダンジョンはあった。

 ローガニアのギルドでは、新人冒険者を養成するための講習を無料で行っていた。

 基本的にはパーティーを受講者で組ませ、戦いの基礎から初級の魔法まで教えてくれる。

 しかしこの世界の冒険者は、冒険者登録の際に魔道具によって適正ジョブが選定されている。

 あまり特殊なジョブにはならないが、その多様性から指導者が少ない場合がある。

 少年もそのうちの1人だった。


「この杖、先週買ったばかりなのにもうボロボロです。今日は遅くなるでしょうし、明日買いに行かないといけませんね」


 少年は階段を下りながら杖の調子を確認する。

 特に警戒していないのは、ダンジョンの階層をつなぐ階段には罠の類が無いことにあるだろう。

 だからこそ、その助けを求める声に気付くのが遅くなった。



「·····くっ! このっ!」


 女は戦っていた。

 腰の高さほどの緑の肌持つ魔物、ゴブリンである。

 ゴブリンは4体で女を取り囲み、杖を持った1体が包囲の外から初級魔法を撃ち込んでくる。

 何故か3層のゴブリンは棍棒ではなく金属製の武器──剣や槍等を持って襲ってくる。

 女の正面の1体が剣、他の3体が槍を持ち、ジリジリと包囲を狭められている。

 女はまだ冒険者になりたての下級冒険者だった。

 魔物ではあるが、生物を殺すことにまだ慣れていない。

 それが初心者相手に丁度いいゴブリンであっても、人型というだけで剣に迷いが出る程だった。

 だからこそ女は焦って、初心者講習が休みの日に1人で3層にまで潜っていた。


「何でこんなことに! ·····きゃあ!」


 思わず悪態をついたその時、初級魔法ファイヤーボールが足元に着弾した。

 大した威力はないが、爆風によって巻き上げられた小石が邪魔をする。

 反射的に目を閉じてしまってから己の失策を悟った。

 錆びていて防具を貫くことができない槍が、何度も突き込まれる。

 時折防具の無い部分にいくつか掠めて擦り傷を負い、慌てて目を開けば剣が切り上げられようとしていた。

 女は咄嗟に剣を持った片手で受けるが、魔物の膂力は見た目通りではない。

 小さな子どものような体躯から繰り出された一撃は、女が構えた剣を弾き飛ばした。

 初心者講習を受けて日が浅い女は、剣を一振りしか用意していなかった。

 加えて魔法も習う前である。

 つまり対抗手段が無くなってしまっていた。

 ゴブリンは他種族の女性を苗床にして繁殖する。

 人以外で確認されたことは無いが、女は確実に苗床にされるだろう。

 どう考えても絶体絶命だった。


「あぁ、·····やだっ。誰かっ! 誰か助けてっ!」


 口をついて出た助けを求める言葉。

 2層の階段の近くとは言え、タイミングよく人が通るとは思えない。

 それでも言わずにはいられなかった。

 捕まえるために武器で牽制しつつ接近してくるゴブリン。

 女が抵抗しないため包囲は徐々に狭まり、すぐに手が触れる距離まで来てしまった。

 前ばかり警戒していた女の後ろ、1体のゴブリンが脚に触れた時、もう1度気持ちが爆発した。


「誰かっ·····助けてぇぇぇ!」


 そして最後の足掻きは実を結んだ。


「申し訳ありません! 遅くなりました!」


 願いは見知らぬ誰かに聞き届けられていた。

 力強く返事した声は、いつの間にか杖を持ったゴブリンの心臓を貫いていた。

 槍のような鋭く尖ったものが、ゴブリンの胸元から生えている。

 殺すことを全くためらわない様子から、手練の冒険者が助けに来てくれたと女は思っていた。

 けれど徐々に近づいてきた声の主を見ると不安が再燃した。

 女より明らかに若く、ローブを着た少年。

 恐らく魔術師のはずだが、何故か杖で攻撃している。

 ここまで来るのに魔力を使い切ってしまったのだろうか。

 魔法使い職が接近戦をするのは明らかに異常である。

 女はまだ助かっていない、そう思った。


「魔力よ廻れ──速く鋭く駆け回れ──肉体の限界を突破せよ──ブースト!」


 女はその魔法に聞き覚えがあった。

 初級で習うはずの身体強化の基礎魔法。

 女はまだ習ってはいないが、とても有名な魔法である。

 魔法の適性がほとんど無い、戦闘職でも使える者がいるメジャーな魔法と言われている。

 しかし少年の奇行に女は首を傾げることになる。


「ブースト!」


 少年は魔法陣の消滅を待つ状態で、魔法名をもう1度叫んだ。

 魔法とは、魔法陣の展開、詠唱、魔法名、魔法陣の消滅で効果が発動される。

 魔法陣が消える前に魔法名を複数回唱えることに意味は無いはずだった。

 

「そこのお嬢さん! 魔法陣が消えたらあなたと私にブーストがかかります! 一緒に倒しましょう!」


 少年はそう言うと魔法陣が消える前に走り出す。

 女は予想以上の速さに驚いた。

 明らかに自分よりも若い、体格も普通の少年が出せるような速度ではない。

 ·····それこそ魔法でもかけていない限り。



 少年は駆ける。

 魔法が発動する前にゴブリンが動き出すとわかっていたから。

 杖を持ったゴブリン──ゴブリンメイジは不意をついたから杖でも殺せた。

 しかし金属製の武器を持ったゴブリン相手では、ガタがきている木製の杖では荷が重い。

 正面から打ち合えば杖はすぐに壊れるだろう。

 効率良くゴブリン達を倒す必要があった。

 装備から剣を持ったゴブリンを先に倒せば危険度が下がると考え、杖を構えて突っ込んだ。

 事前にかけておいたブーストがまだ残っていたため、かなりの速度で接近する。

 確かに速い、でもそれは速いと認識できる速度。

 剣と打ち合わずにゴブリンを殺すためには、まだまだ足りていなかった。

 そこで少年は剣のゴブリンの顔面を思い切り殴りつけた。

 少年よりもさらに小さいゴブリンは、ブーストで強化されている拳に殴り飛ばされる。

 その事に動揺した残りのゴブリンは、1体が杖に心臓を貫かれたことに気が付くのが遅れた。


「グギャガァ!」

「ガグギャギ!」

「·····グガ! ギャギ!」


 怒った槍のゴブリン二匹と、殴られたダメージから復帰したゴブリンは、叫びあっている。

 今更連携でもとろうというのだろう。

 しかしもう遅い。

 ブーストの魔法陣はとっくに消えている。

 元からかかっていたブーストに重複してブーストがかかったのだ。


 本来支援系魔法は1人に対して同じ系統の魔法をかけることはできない。

 強化魔法だけを見ても、全体的身体強化以外に攻撃や防御、魔法や精神力と様々な部分強化と呼ばれる魔法が存在する。

 部分強化は全体強化を1点に集中したものだと言え、その効果はかなり高い。

 しかしその大元が強化魔法であるから、複数の部分強化ができないのだ。

 にも関わらず少年は何故か2回全身にブーストをかけ、飛躍的な身体能力の向上が実現していた。

 だからこそ槍のゴブリンは気付かぬうちに心臓を貫かれたのだ。


 そして今までは獲物だった女も動き出している。

 少年が殺したゴブリンの持っていた槍を拾い、大上段に構えて力一杯振り下ろす。

 そこに先程までの躊躇いはなく、魔物を殺すという意思がハッキリと見て取れる。

 少年は女が狙うゴブリンとは別のもう1体を、正面から心臓に杖を突き刺して殺す。

 これで後は女の戦うゴブリンと剣のゴブリンの2体になった。

 けれど少年は悔しげな顔をする。


「杖が使い物にならなくなりましたか。精進が足りませんね。·····仕方ありません、この槍をお借りしましょう」


 心臓を貫く際に肋骨に打ち付け、杖に想定外の不可がかかったのだ。

 いくら武器と打ち合わなくても、2体の心臓を貫けばこうなるのも当然だった。


 魔法は杖が無くとも、適性があって詠唱さえ知っていれば発動できる。

 冒険者には詠唱せずに魔法を使う者が居るが、杖を使わない者はほとんど居ない。

 魔法使いが杖を使うのは、魔法発動を補助するための道具として、有ると無いでは消費魔力や魔法精度に大きな差が出るのだ。

 だからこそ少年は杖を壊したことを悔しく感じていた。

 

「一月で5本もダメにしてしまいました」


 今の1本で、少年が杖を壊したのは今月に入って5本目になった。

 原因は少年が杖を接近戦に用いるところにある。

 戦い始めて日が浅く未熟な攻撃であること、装備がただの杖であることから何本も杖を壊してしまっていたのだ。

 初心者講習の稼ぎもほとんどが杖に消えている。

 今日ダンジョンに来ていたのも、純粋な腕試しとは別に杖を買って減ってしまった生活費を稼ぐためだった。

 少年にとっては情けない理由かもしれないが、女にとっては脆い杖に感謝だった。


「今日ばかりは未熟な自分を褒めておきましょう」


 未熟だったおかげで女を助けられるのだから。



「ハァァァ!」


 女が体格差を活かして、槍を持つゴブリンに細かい手傷を追わせている。

 最初の一撃は大振り過ぎて難なくよけられてしまった。

 使い慣れていない武器だからと攻め続けているが、突きに威力が乗らず力が入っていないために正確な攻撃もできない。


「はぁ、はぁ。こんな事になるなら槍も習っておけばよかった」


 小さい傷ばかり増えるゴブリンは、嬲られているのだと思ってさらに怒りを増している。


「グギャギャ! ガゴォ!」


 ゴブリンが発している明確な殺意は、女をたじろがせた。

 狙っていたのかはわからないが、その隙をついてゴブリンは槍を心臓めがけて突き出してきた。


「くぅぅぅ! 重いっ!」


 驚いた女は何とか槍を滑り込ませることに成功したが、弾くまでには力が足りず、左腕を切られてしまった。

 流れ出す血を見るに浅い傷ではない。

 早急に治療しなければ、動きに支障が出るほどの出血だった。

 ゴブリンは当たったことに気を良くしたのか、先程の女のように特に狙いなく槍を突き出す。

 女とは違って慣れた動きで突き出される槍は、一度当たれば大怪我をするだろう。

 ブーストをかけられていてこれでは、流石に自信をなくす。

 女は戦いながらも、心のどこかで諦めを感じていた。


「お嬢さん! もう少し持ちこたえてください!」


 そんなことを考えていたタイミングで突然声をかけられ、女は槍を取り落としそうになった。

 そこにゴブリンが放った横薙ぎの一撃を、槍を握りしめることでなんとか堪えた。

 女は少年の様子を見る余裕がなかったが、ブーストがまるで少年に支えてくれているような感覚になっていた。

 弱った心を支えるようにかけられた言葉がそう感じさせたのだろう。

 それは女の活力となり、戦う力に変わる。

 痛みを堪えて槍を大きくフルスイングし、ゴブリンを吹き飛ばす。

 同時にバックステップして距離をとり、精神を落ち着ける。


「焦り過ぎない。ブーストがかかっている事を思い出して。私の体はいつもとは違う。常識に囚われるな!」


 最後の言葉を叫んだ女は、ゴブリンの持つ槍をめがけて攻撃する。

 槍を槍として使うことをやめ、棍棒と同じように打ち付ける武器として使おうとしていた。

 それもブーストの効果を信じて、いつもより大胆に無理をして。


「速い! そして強い!」


 女はやっと視野が狭くなっていたことに気付けた。

 駆ける速度は普段よりもかなり速く、振るう槍は普段の剣速よりも速い。

 一撃でゴブリンを弾き飛ばし、ステップすればかなり距離を移動する。

 女はやっとブーストの力を実感し始めていた。

 

「いける! 今なら殺れる!」


 女はまた攻撃を始める。

 先程とは違い、明確な目的を持った攻撃。

 槍を狙い、丸腰にしてから確実にとどめを刺す。

 そんな様子が戦いから見て取れた。


「お嬢さんもなかなかやりますね。これは見守っていた方がいいかもしれません」


 少年はいつの間にか剣のゴブリンを殺し、少し離れたところから女を見ていた。

 その手の中に薄緑に輝く魔法陣が展開されていく。

 女が着々とゴブリンを追い詰める横で、少年は詠唱を始める。


「治癒の奇跡をここに──我が魔力を糧として──彼の者に癒しを与えん──ヒール·····ヒール」


 ヒールを2回唱える。

 それは回復の魔法を女に向かって2度放つ事を意味していた。

 戦う女の腕の傷を見た少年は「1度のヒールでは傷跡が残るかもしれませんね」と、完全治癒を目的として2回分発動させていた。

 そして女が大きく距離をとったタイミングで、ヒールの効果が発揮された。

 女は突然治り始めた怪我に驚くも、痛みの鬱陶しさから開放されたおかげでキレのある動きに変わる。


「これで·····終わりよ!」


 そしてすぐに決着はついた。

 突撃した女めがけて放たれた槍を右に1歩移動して躱し、左手で掴み取った。

 掴んだ槍をそのまま思い切り引っ張り、体勢を崩したゴブリンは槍を手放し地面に転がった。

 駆け寄った女は倒れているゴブリンの頭を踏みつけ、手にした槍で心臓を一突きにした。

 痛みで少しもがいたが、時期にゴブリンは動かなくなった。


「·····やった! 魔物を自分で倒した!」


 女は初めて魔物を倒したかのごとく喜んだ。

 ガッツポーズをして飛び跳ねている。

 そのうち実感が湧いてきたのか、手を開いたり閉じたりして感触を確かめている。

 魔物を倒した事で体に違和感が生じているのだ。

 この世界では魔物を倒すと何らかの力が得られるとされている。

 諸説あるが最も信じられているのは、魔物を倒すと魔素が体内に取り込まれ、それが討伐者を強化するというものだ。

 その説によれば討伐者の近くにいる者も1割程の恩恵を受けるらしく、女はゴブリン1体の経験値と少年が倒した4体の経験値の1割を得ていることになる。

 つまり女はレベルアップに伴う身体能力の祖語に違和感を覚えていたのだ。

 3層のゴブリンは脅威度が増すおかげで、経験値も棍棒を持ったゴブリンより多い。

 あの様子では3レベル以上は上がっていてもおかしくなかった。


「失礼します、お嬢さん。お疲れになったでしょう? 1度ダンジョンから出ませんか? 喜ぶにしてもここでは魔物を呼び寄せてしまいますので」


 そう言う少年は、消滅したゴブリンの遺体から現れた魔石を回収し終えている。

 剣のゴブリンは倒した冒険者の武器を使っていたのか、死んだ後も消えることがなく、ドロップアイテム扱いとしてしっかりと回収していた。

 女は声をかけられてやっと手に持っていた槍が消えている事に気付き、自分の倒したゴブリンの魔石を拾った。

 そして弾き飛ばされていた剣を拾って鞘に収めると、魔石を掌に乗せてその手を少年の方へ向けた。


「危ないところをありがとうございました。私はノイリア・シュードルと申します。このゴブリンはあなたの助けがあってこそ倒せました。お礼と言うには図々しいですが、受け取って頂けると·····」


 女がそこまで言った時、遮るように少年が話し出す。


「こちらこそ申し訳ありませんでした。貴族の方とは存じ上げずお嬢さんなどと無礼な呼び方をしてしまいました。本来ならノイリア様の剣の音を聞いてすぐに駆けつけるべきでしたが、初めて3層に来れたことに浮かれ、警戒が疎かになり到着が遅れてしまいました」


 ダンジョンでは助け合いを推奨されているが、他人の戦闘に介入する事はタブーとされている。

 介入せずに近くに潜伏して経験値を稼ぐ奴もいるらしく、ダンジョンでは警戒を怠ること無く、常に万全を期して挑むものだった。

 その点剣の音が急に止み、不審に思って行動を始めた少年は優秀だろう。

 更にはその時点からブーストを発動していた事は流石と言える。

 そのおかげで届くかも怪しい、助けを求める声を聞き取ることができた。

 あの時ノイリアのあげた助けを求める声は、声量が全く足りていなかったのだ。

 それこそ一つ曲がったところにいた少年にも聞こえないくらいに。 

 つまりノイリアが助けられたのは、とてつもなく優秀なお人好しの少年の善意であって、決して少年が謝罪することは無かったのだ。

 だからノイリアは反論しようとした。

 しかし少年に先回られてしまう。


「今回襲われた事でノイリア様も余裕が無いでしょう? その魔石は大した額にはなりませんが、換金して装備の補填にでも使ってください。元よりその魔石はノイリア様がゴブリンを倒した事で手にしたものです。私が頂くのは筋違いと言うやつですよ」


 少年はノイリアの手に魔石を握らせ、その拳を押し返した。

 胸元に引いた拳を数秒眺めてから、ノイリアは顔を上げた。

 その顔はいたずらっ子のようになっている。


「そうですね、ではこの魔石は頂きます。しかしダンジョン内には換金所がありません。そして今持っているお金は今後の生活費のみ。もし護衛してくださる素敵な殿方がいらっしゃるのなら、この魔石を報酬として取引したいのですが·····いかがでしょう?」


 少年は初めて見た目相応の子どもの様に笑った。

 大きな声を上げている訳では無いが、お腹を抱えて目尻に涙を浮かべている。


「ノイリア様は口がお上手なようですね。そうですね、私が知る限りですと今紹介できるのは1人しかおりません。教養は一般程度で冒険者も見習いですが、それでも宜しければ私がノイリア様を地上までエスコートさせて頂きたく思います」


 少年は居住まいをただし、執事がする様な礼をしてみせる。

 ノイリアは謎多き少年に興味を抱いた。

 魔法や接近戦闘技術、丁寧な態度に冒険者見習い。

 様々な謎を持つ少年に、ノイリアは一つの質問をしていない事に気付いた。


「失礼ですが、貴方のお名前はなんと仰るのですか?」


 命の恩人で、これから地上までエスコートしてくれる少年。

 ノイリアはそんな相手の名前を知らないことに今更気づいたのだ。


「これは大変失礼いたしました。ノイリア様に名乗って頂いていたのに、失礼を致しました。私の名前はロンギルコード、ロコと呼ばれております。地上までの道中、よろしくお願い致します」


 ロンギルコード──ロコは、フードを取って名乗りを上げた。


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