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攻略対象者との出会いは、最悪だった。(;゜Д゜)

 教室の中に入ると、大半の生徒が着席しているようだった。高天原学園では、特に席は決まっていないという実南の言葉に従って、空いている窓際の席へと座った。実南も私の隣へ座る。


 他愛もない雑談をしていると、突然、前方のドアが開き、担任らしい男性が入ってきた。言わずもがな、攻略対象者であり、生徒会顧問の教師である。長めの銀髪をぴっちりオールバックに撫でつけ、黒地に細いストライプの入ったスーツを身に着けている。細い銀縁のフレーム眼鏡の奥に、眼光鋭く黒い瞳が、きらり。


 見るからにインテリ教師という雰囲気だが、ゲームで明かされていた趣味は山登り。一見、ほっそりして見える体も『脱いだらスゴいんです』というヤツだ。フェロモンでも感じるのか、女子生徒たちは、うっとりと教師に見惚れている。


 もちろん、私は、彼の裏の性格が自信過剰のナルシストだと知っているので、特に思うことはない。


 強いて言えば、何故に体育会系男子は、足を肩幅に開いた上、腕組みをして立つんだろうと思うくらいだが、他人に迷惑をかけるワケじゃないから余計なお世話だろう。


 ふと、隣を見た。実南の眉間に、薄らシワが寄っている。うっとりどころか、何か思うところがあるらしい。小声で理由を尋ねようとした矢先、件の教師が出席簿を教壇に叩きつけた。


「早く席につけ!」


 鋭く響く叱咤に、立っていた生徒たちが慌てて着席する。


「今日から、カトレアクラスを受け持つことになった、佐野和仁さの かずひとだ」


 きゃ~っと密かに女生徒たちから歓声が沸き起こったが、佐野先生は、動じることなく生徒たちを諌める。


「私語は慎め」


 騒がしかった教室は、さっと静まり返った。生徒たちを一言で統率するとは、なかなかのやり手らしい、と感心したが、続く言葉に、早くも前言撤回することとなった。


「いいか、このカトレアクラスは我が学園の優秀な人材が集まっている。その自覚を常に忘れず、行動するように!特に、天野!」

「……え?」


 突然、名字を呼ばれたが、他にも同姓の生徒がいるかもしれない。返事を躊躇していると、今度はフルネームで呼ばれた。


「天野愛里!いないのかっ?!」

「私ですが……」


 恐る恐る手を挙げると、早く返事をしろとばかり睨み付けられた。そしてクラスメートたちに向かって声を張り上げた。


「いいか、天野は外部生だが、試験を満点で合格した。内部生の誰も真似できなかった快挙だ。しかも、今回の特待生ですら足元にも及ばない」


 揶揄するような教師の言葉に、生徒たちから強烈な殺気が向けられる。なんだ、この教師?!(;゜Д゜)


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