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衝撃の事実。(´Д⊂ヽ

 金持ち学校の入学式は、やはりただの入学式ではない。先生に促されてホールへ向かうと、そこはティーパーティの会場だった。(◎_◎;)


 煌めくシャンデリアがあちらこちらに吊り下げられ、結婚式場で見るような長いテーブルクロスのかかった丸テーブルが、これでもかと並べられている。テーブルの上には、ティーカップと軽食が乗っている。


 これはあれか、大英帝国で名高い噂の『イレブンジズティー(11時のお茶)』ってやつか!


 あんぐり口を開けている私の手を引き、実南がずんずんと会場を進んでいく。ここでも席は決まっていないようで、実南お気に入りの席に座らされた。檀上の正面やや前方で、右側の位置だった。


 壇上に目を向けると、入学式の準備をしている風紀委員長、祐兄と副委員長の玲菜ちゃんがせっせと働いていた。あ、玲菜ちゃんが気づいて手を振っている。


「ここからだと、お姉さまたちが良く見えるのよ」


 大きく手を振り返す実南。私もつられて両手を振ると、祐兄が苦笑していた。人のことは言えないけど、実南も大概シスコンだよね。


「ところでさ、さっき何で佐野先生のこと睨んでたの?」


 席に着き、お茶の給仕を受けながら実南に小声で聞いた。


「ええ?!……ああ、あれは佐野先生じゃなくてアイツよ、御崎愛璃みさき らぶり


 同級生を早くも呼び捨てですか。それとも以前から面識があったのか尋ねると、実南が呆れて首を振った。


「私は幼稚舎から、ここにいるのよ?!のこのこ入って来た外部生を知ってるわけないじゃない!!」

「のこのこ入って来た私のことは知ってるわよね?!あんた、ケンカ売ってるの?!」


 やんなら表に出ろやぁ!的な凄みをきかせて尋ねると、実南も気付いたのか、まあまあと両手を挙げて降参のポーズをとった。


「愛里は、のこのこって言うよりズカズカッて感じだから外部生だって忘れてたわ」


 ケロリとしてアハハと笑う実南の言葉に憤慨してみせたが、風紀委員長(祐兄)を邪険にして、副委員長(玲菜ちゃん)に抱き付いたんだから十分に態度デカいでしょ、と揶揄された。


「ちょっと、見てたなら声かけてくれれば良いのに!」

「実際に見た訳じゃないわよ。まあ、色々ツテがあるとだけ言っておくわ」


 思わずムンクの叫びが発動されたのは仕方がないと思う。どんなツテがあるんだよ、ってか急に実南が恐ろしく見えてきた。実南もリップ不要な紅い唇でニンマリ笑う。魔女だ、魔女がここに居る~っ!(;゜Д゜)


「でね、あの御崎愛璃だけど、コサージュを受け取る時、全部の受付をまわって自己紹介したそうよ」


 私の言葉を綺麗に無視した実南は、魔女の顔のまま本題に突入した。


 自己紹介ってことは、あれだよね、ゲームで攻略対象者を見定めるってやつだよね。やっぱり記憶持ち決定かな。それにしても、現実世界でやるなんて勇気あるというかイタイかも。


「愛里は知らないだろうけど、今回の受付は生徒会の名立たるメンバーたちだったのよ。それぞれ初等部からの親衛隊がいるくらいのね。おかげで、2年3年の先輩方はお冠よ」

「ええ~?!祐兄も?!」


 親友の実南にも前世の記憶があることは話していない。ましてや、ここが乙女ゲームの世界であることも。私自身、未だに信じられないしね。


 そんなことより、中等部から入った祐兄には流石にいないだろうと思ったが、影でひっそり結成している親衛隊がいるらしい。その名も『祐輔さまと玲菜さまの愛を見守る会』。なに、その恥ずかしいネーミングセンス!


 思わず口から出た言葉に、実南の絶対零度の視線が突き刺さる。


「私が会長だけど、文句ある?!」

「……いえ、ありません」

「そうそう!愛里も会員になってるからヨロシクね!」


 実南はどこからか小さな手提げ袋を取り出し、私の手に押し付けた。


 思わず中身を確かめると、皮のケースに入った私の名前の会員証(役職が特別顧問になってる!)とハンカチ(2人のイニシャルが刺繍されてるよ!)、そして仲好さげに微笑みあう2人の中等部からのアルバム(これって望遠レンズを使った隠し撮りじゃね?!)が入っていた。


 実南いわく、早々に2人の親衛隊を作っておけば、祐兄だけの親衛隊が後から出てきても抑え込めるとのこと。実際、何度か出来かけて、玲菜ちゃんとの仲を邪魔しようとしたことがあったらしい。


 実南率いる『祐輔さまと玲菜さまの愛を見守る会』は、早期発見の上、2人の愛が如何に素晴らしいものか洗脳し、自らの会に取り込んだのだとか。


「お姉さまを苦しめるなんて許さなくてよ」


 オーホホホホと高笑いする実南に、ただのシスコンじゃなくてシスコンの女王、いや魔女だと認識を新たにした。


「それで、御崎、さんは、誰からコサージュをもらったの?」


 実南からぎろりと睨まれたが、いや、面識ない人をさすがに呼び捨てできないでしょ。勘弁してよと言い訳すると、実南も「ま、いいでしょ」と頷き、話を続けた。


「生徒会長の早乙女貴教さおとめ たかのりさまよ」


 てっきり佐野先生からもらったんだと思っていたが、生徒会長ルート?!っていうか、やってることがメチャクチャだなぁ。学期末で言うセリフを入学式で言っちゃうし。もしかして、転生者じゃないのかな。


衝撃の事実って言うのは、祐兄と玲菜ちゃんの親衛隊のこととか、実南が会長になっている親衛隊のこととか、自分が知らない所で特別顧問になっている親衛隊のこととかです。(笑)

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