透明人間存在証明
透明人間存在証明
小林仙太郎、大学2年 男 コバセン
桐原信 大学2年 男 キリシン
島原涼子 大学一年 女
三池裕子 大学一年 女
小林
「皆さん初めまして、私は小林仙太郎……透明人間である、私が透明人間だというのは姿が見えないことで証明されるだろう……私は君達が見えない所で君達と同じように暮らしている……透明人間の生活につい──」
桐原
「いやいや無理無理!」
小林
「んだよ、信、黙ってろって言ったろ!よし、もう一回な、皆さん初めまして私は小林仙太郎、透明人間で──」
桐原
「だからよぉ!」
小林
「なんだよ!何がいけないってんだよ!」
桐原
「見えてっから!」
小林
「見えてる?俺の事が……もしかしてお前!?」
桐原
「そう、俺も透明人間、声が聞こえてるだけのコイツらには姿は見えやしない」
小林
「なるほど、透明人間同士は見えると聞いたけど本当だったのか」
桐原
「そうだ、同族はお互い認識出来ないと困るからなとはならないからな?」
小林
「え?」
桐原
「え?じゃねえよ、なんだよ急にさ黙ってろって言ってさ、変なこと初めて」
小林
「いやなシン、透明人間って見えないじゃん?」
桐原
「そうだなー透明だもんなー」
小林
「でも声が聞こえるとかいう設定あるじゃん?」
桐原
「まぁねーよくそんな書き方されるよね、でもさぁ、なんで透明人間なんて今更さ」
小林
「今更?今更だって?」
桐原
「うん」
小林
「夢だろ!浪漫だろ!男の!!俺は透明人間になってみたい!!そして見たい!」
桐原
「何を!?」
小林
「女湯!!」
桐原
「不純!すっごい不純!」
島原
「おつー」
桐原
「おつー、島原……と三池」
三池
「ども」
島原
「ちょっとごめんだけど、私がいいって言うまで黙っててくれる?」
小林
「了解〜」
桐原
「まさかこれは?」
島原
「みんな、初めましてだね、私は島原涼子、声しか聞こえないと思うけど、ちゃんと居るよ、私は透明人間」
桐原
「あーコイツもか」
島原
「見えない私は確かにここに居る……」
桐原
「三池姐さんよろしくお願いします」
三池
「あ、メガネ……」
小林
「あ……」
三池
「見えとるわボケェ!!」
島原
「何すんのよ、ゆうちゃん!」
三池
「あんたがアホな事抜かしとるからやろがい!この目ん玉でばーっちり見えとるわ、不透明人間やわ、透明?ちゃんちゃらおかしいわ、いてもうたるぞ」
桐原
「ありがとう、姐さん」
三池
「こらぁ〜……です、な、何するんですか!桐原君」
桐原
「まぁまぁ」
小林
「まぁまぁ」
島原
「まぁまぁ」
三池
「涼ちゃんまで!みんなひどい!」
島原
「あらあら……お可愛い事」
三池
「むぅ……」
小林
「まぁ三池が可愛いのは置いといて」
三池
「置いといて!?」
島原
「そうですね、コバセン」
小林
「コバセンはやめろ」
島原
「小林先輩って事ですよ?」
小林
「なるほど、いいだろう」
三池
「いいんだ」
桐原
「まぁそういう奴らだよ、諦めな」
三池
「はいですぅ」
小林
「さて諸君、オカルト研究会、本日のテーマだが!すばり!透明人間は居るのか!透明人間の存在証明にして議論しようと思う」
桐原
「それはいいけど例えば何を言えばいいんだ?」
小林
「先ず透明人間は居ると思うか?はい三池!」
三池
「えっ?あの、その……居ないと思います」
小林
「次、キリシン!」
桐原
「ん?それは俺か?」
小林
「エセクタ!」
桐原
「うるせ!えーと俺も居ないと思うな」
小林
「それは何故?」
桐原
「だって見た事ねえもん」
小林
「三池は?」
三池
「私もそうかな、見えないし」
桐原
「そういうこった、見えないもん信じても仕方ないってもんだろ?透明人間然り幽霊然り見えないじゃん、ポルターガイストやらなんやら物が勝手に動いたり、ラップ音みたいなのは、あんなんただの自然現象だろ?」
三池
「幽霊は居るよ?」
桐原
「は?」
島原
「そう言えば三池ちゃんちって……」
小林
「先祖代々伝わる由緒正しき霊媒師の家系だねー」
三池
「ほら桐原君、そこ」
桐原
「ひっ!」
三池
「大丈夫、あなたのおばあちゃんだよ?護ってくれてる」
桐原
「ああ、そっか……ありがとう婆ちゃん」
小林
「おいおい見えないもんは信じないんじゃないのか?」
桐原
「いいの!幽霊は信じたの!」
島原
「何で都合のいい……まぁでもさ、見えないから信じないはわかる、コバセン、なんで透明人間は居ると思う?」
小林
「見た事ないから信じない、それはそうだ、ただ、その存在を無いものと証明するには決め手が欠ける……見えない人間は透明人間、じゃあ見える人間のことをなんて言う?」
三池
「んーなんだろ?可視人間?」
小林
「間違ってはないな」
島原
「逆……非……あ、不透明人間?」
小林
「エセクタ!」
桐原
「それやめろって、つまんねーから」
小林
「うぐっ!まぁ不透明人間や非透明人間が合ってるな、よしこれで透明人間は居る事になる」
島原
「あーなるほどね」
三池
「え?どゆこと?」
島原
「説明しよう!頭悪い桐原先輩はノート取ってもいいすよ?」
桐原
「んだとぉ!」
島原
「コバセンが言いたいのは私達が非透明人間もしくは不透明人間とするなら、その反対の存在の事を証明するということになる……ということだ」
小林
「その通りだ」
桐原
「あ、やめた」
島原
「打ち消しの言葉はその存在があって初めて成立する」
三池
「そっか透明人間が居ないと私達の証明ができないんだ」
桐原
「いやいや人間は人間でいいだろ?」
小林
「人間は透明か?」
桐原
「透明じゃねぇよ、そんなん当たり前じゃん、見えるもん」
小林
「なら俺たちは不透明ってことだな」
桐原
「ああ、そうだな!ん?」
小林
「なら俺たちは不透明人間か?」
桐原
「まぁそうなっちゃうなぁ」
島原
「はい、透明人間の存在が証明された」
桐原
「なんで?」
三池
「不透明人間を認めたということはそういう」
桐原
「いやいや言葉の上だとそうかもだけど、現実的によ?考えてみ?現実的に、透明ぞ?見えないんぞ?そんな人間居ないって」
三池
「それはそう」
島原
「でもねー私は居ると思うんだ」
三池
「何でそう思うの?」
島原
「そりゃ夢だろ!!女の!!浪漫だろ!!私は見たい!銭湯ではないトレーニングジムのシャワールームを!マッチョの裸体を透明になって味わうスリリングな観察を!!」
桐原
「三池姐さん出番です、スッとな」
三池
「キモいねんお前!!なぁに、いけしゃあしゃあとどぎつい変態妄想かましとんねん!現行犯より前に通報して捕まえてもらおうかしら、ホンマ!大体なぁ──」
桐原
「スチャっと……お疲れ様です、姐さん」
三池
「ふみゅう」
島原
「だからね、私は思うの」
桐原
「すごい!めげない!」
島原
「透明人間は心の中に居る限り、存在するのではないかって」
小林
「ああ、そうだとも……透明人間は存在する、俺たちが信じる限り」
小林
「島原」
島原
「コバセン」
桐原
「あー……ほっとく?」
三池
「はい」
桐原
「飯でも行く?」
三池
「そうですね〜……あ、先輩……私達の声だけ聞こえてる方々が居るみたいですよ?」
桐原
「へ?」
三池
「その人達からすれば私達透明人間ですね」
桐原
「お、おう」
小林
「三池!それは本当か!?」
三池
「ええ、聞いた話からすると私達の姿は見えないそうで、逆に私達も相手が見えないとのことで……まぁそんな感じです」
桐原
「つまり俺らは透明人間?」
三池
「そうなりますね、透明人間であり、透明人間でないとなりますかね?」
桐原
「透明で不透明ってこと?」
三池
「ですね、見え方の違いですねー」
島原
「じゃあ、透明人間は証明されたけどなんかとても……」
桐原
「灯台下暗し的で今までの話は大分不毛だな」
小林
「ああ、不透明な会話だ……」




