登場人物及び世界観
サングリアの人々編です
アジュ
銀の両手剣を持つ異世界人。薄緑色の髪の毛に、パンジーの花が咲いている愉快なお兄さん。
全ての文字が読める、年をとらない、よく似合う女装、ボケ被せなど、様々な特技があるが、謙虚なので褒められても自慢はしない。
アジュが元住んでいた世界は、ありとあらゆる敵を力を合わせて打ち倒してしまった、『ハッピーエンドを迎えた後のヒロイックサーガの世界』であるため、まじめに受け取るのがバカみたいな強さを誇る。チートというよりはカンスト。(もちろんアジュも元の世界に戻れば、中堅程度の実力なわけだが、そんなことはどうだっていいことである)
しかしネタ装備のネタ具合(彼女の強い希望でやっていた女装)には勝てず、うっかり召還された後、恋人をゲルダガンド人にさらわれ、以後はサングリアに拾ってもらい、スパイとして黒曜軍の主計兵として潜り込んでいた。
回りくどい手段が好きで、さわやかに策を練り、まずなにごとも外堀を埋めていこうとする堅実なタイプだが、妙なところで賭けにも出たがる。
ちなみにサングリアではアジュールと呼ばれているが、これは人の名前を四文字に揃えたいがため。我々が「ペ」という名に違和感を覚えるのと同じ理由で、深い意味はない。
サビアン
薔薇色の髪、薄オレンジの目、ミルクティー色に日焼けしている男。年齢は19歳。
ヘタレ野郎ではあるが、それは高い倫理観念や思いやりの深さの現れとも言える。理想の王子様像が心の中にあり、それに自分を当てはめて行動する。もちろん理想のお姫様像も存在するので、花奈ががさつなことをするとちょっとがっかりする。男女交際は清く正しく交換日記からやりたい派。
実を言うとサングリアの正統の王子で、王位継承権も第一位だが、現在、元側室の王太后が、サビアンにとっては異腹の弟である自分の息子に皇位を与えようと様々に画策しており、人望はあるが味方は少なく、政治的には『ほぼ』終わった存在。
初対面で花奈を犯そうとしたのも王太后からの命令だったが、お酒の勢いにも任せられなかった。「シチュエーションがかわいそうだと勃起しない」との台詞の通り、ノーマル嗜好で、ロマンチストの、気のいい童貞である。
サビアンの名前の由来は「savior」つまり救世主。
プラネタ
銀色の髪、アイスブルーの目をした、十一歳のショタで小悪魔でスペシャルなお子さま。ダサい寄りの格好をしているが、それをチャームポイントに変えてしまう、得なタイプな顔立ち。
子犬属性で人なつっこく、特に女相手だと0歳児から100歳のおばあちゃんまでスキンシップを欠かさない。各地に現地妻が何人もいる。しかも現地妻同士、とても仲がよい。
優れた重力魔法の使い手であり、もともとはまつろわぬ民族としてジプシーのように各地を転々としていた一族の出だが、見ていて飽きないという理由でサビアンにくっついて手助けをしている。
花奈に生理用の薬品を用意した、『シェーラ・ゲルダガンディアお抱えの薬師』とは遠い親戚関係にあたるが、この設定が生きる予定はない。
プラネタの名前の由来はそのまま「planet」惑星。その名前通り、占いも得意で、女の子を口説くのに使う。
バルバト
鋼色のくせっ毛を短く刈り込み、焦げ茶色の目をした隻眼の男。四十代で、サビアンの教育係。
ちなみにナルドと葉介を黒曜軍の上空で追い落とした、独り言の多い騎手とは同一人物だが、たぶん花奈もナルドも気づかない。多分作中でも二度と言及されないだろう。
バルバトの名前の由来は「barbarity」粗野という意味だが、これはもともと賤民だったため。
奴隷として働いていたバルバトを王太后が戯れに召し上げ、サビアンの教育係につけたという過去がある。その後、なかなかいい男だと後から気づき、王太后が改めて傍に置こうとした際、にべもなく断ってしまったため、左目を抉りとられてしまった。そのせいというわけではないが、サビアンはバルバトに頭が上がらない。
奴隷だった過去により、独り言が多い。周りに人がいると寡黙になる。あえて喋らないと言葉を忘れてしまうが、人前で話すとむち打たれたため。
グラナアーデと地球、アジュの世界と地球など、それぞれ世界同士、少しずつ影響を及ぼしあっています。
そのため、作中ではグラナアーデと地球に共通の文化が散見されます。
例1 ゲルダガンド人の中で特に身分の高い者には名前に「ジュ」「シュ」の音がはいること
→これは漢字の「珠」の影響があります。ゲルダガンドは石の国なので、宝石を表す「ジュ」「シュ」の音を名前に入れることで、自らの身分をそれとなく知らしめるのです。
意味合いとしては日本での「宮」にちょっと似た感じでしょうか。平民が「ジュ」「シュ」を使うことは、禁止こそされてはいませんが、変な目でみられることは確実です。
平民であるベル・ラグランジュの名字にも「ジュ」の音が入っていますが、名字であれば問題になりません。ニュアンスは宮島さん、といった感じでしょうか。
なお、ゲルダガンドでは漢字の影響をうっすらと受けているので日本人名も『花奈、葉介、幹也』などときちんと呼べますが、サングリアではカタカナで『カナ、ヨースケ、ミキヤ』となります。
例2
サングリア人の名前
サングリアでは、ゲルダガンドの貴人が「珠」の音を尊んで名前に
使うの以上に、名前に英語の影響を濃く受けています。
サングリアでは英語は日常使うグラナアーデ語とは別に、名前の由来としてのみ祝福の意味合いをこめて使われる、おめでたい言語として使われています。
名前をきれいに四文字にそろえたがるのは(アジュですら勝手にアジュールに名前を変えられちゃうくらい)、単なる感覚的な問題です。
例3 サングリアの軍隊の名前『花菱』、『澪標』
→ゲルダガンドにある東洋文化の影響は文字文化にうっすらと現れていますが、サングリアでは紋章やシンボルなどの美術分野に現れています。
花菱と澪標は、日本での家紋と全く同じマークを旗頭に掲げた軍隊です。
ゲルダガンドとサングリアの国風
ゲルダガンドはどことなく西欧風、サングリアはなんとなく東欧風です。が、様々な部分でごたまぜです。
ゲルダガンドは豊富な宝石を有するため、貴金属を惜しみなく使う華美な装飾文化が発達し、サングリアはゲルダガンドと仲が悪く、宝石を手に入れにくい為、織物や木の彫刻やガラスなどで身を飾るシンプルなスタイルが流行です。が、いろいろごたまぜです。