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『余話(2)』

 お風呂の順番が回ってきたので、さっと用意する。母も待たせているので手際よく。兄にも先に入るか聞いたが、兄はゲームで上の空。こういう時はだめだ。

 兄の春詩は、時たま思い出したようにゲームに没頭する。ゲームだけじゃない。大長編のコミックスはもちろん小説とかも。

 きっと、スイッチ入っちゃうんだろうな。

 そんなことを思いながら、莉緒はシャツを脱いだ。

 鏡にうつる、インナー姿の自分。黒い生地を選んで、隠そうとするけれど、逃れられはしない。

 いつもどおり、全部を脱ぎ去って、洗濯機に入れる。そして鏡を目にしないように浴室に逃げ込むのだ。いつもならそうするのに、鏡の中の自分と、今日は向かい合った。

(少し…大きくなったのかな……女の子なら、うれしい事なんだよね……?)

 桐原理々香の写真で、男の子はすごく楽しそうだった。柚羽は、男子はこんなことで興奮するのか? と言っていた。自分は、男なのにあまりよくわからない。ただ、美しいな、というのはわかった。自分の胸も、そんな風になるのだろうか?

 そんな思いも束の間、全身を映す鏡のなかに異常さを発見して、莉緒は世界から隠すようにしゃがみ込んだ。

 心が静まるのを待つ。深呼吸して、それから、莉緒はいつものように立ち上がった。


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