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『余話(1)』
いま時、ありえないのだろうが、子供のころから慣れてしまった習慣で気づかないものだ。完全にプライバシーが守られた空間が、子供たちにはお風呂場とトイレしかないという事実に。
騒がしくも楽しく過ごした週休二日の土曜日。りこは部活の休みをもらって莉緒の誕生会に参加。そこで、りこは新たな知識を蓄えたのだった。
今日のお風呂は一番風呂。兄、春詩はゲームで忙しそうだし、莉緒は台所の手伝いをしていた。
先に入って、と手伝い不要の免罪符を与えられた。
寝間着と、タオルと下着をそろえて脱衣所に立つ。
服を一枚一枚、脱いでは洗濯機に放り込み、いつもの見慣れた姿が洗面台の鏡に映った。
自分の両手を胸に当てる。
――寄せてみる。
――上げてみる。
はぁ。と、ため息をついて、りこは落胆した。
桐原理々香の写真を思い出す。女子の先輩たちはすごく怒っていたけれど、あの写真は確かにきれいで、憧れを感じた。
中学三年生にとって、たった一年上でも、高校生は大人の女性に見えたのだった。




