第弐拾玖話 別れ
「ああ!」
クロードが、首を傾げる。
だが、その瞬間直ぐにノックスが飛んでやってくる。
「あぶな!」
なんとか、俺たちは距離をとり交わすことに成功した。
「何故、、約束を破った!?」
そうして、ノックスが振るう刀。
その斬撃は全てを飲み込む、ブラックホールのようなそんな斬撃。当たったものが全て飲み込まれていった。
ヴォルクスやエドワードが去った今、こいつさえ倒せれば、おそらく共有しているこの帝国も無くなる。
クロードはそう考えた。
だが、ノックスには近づけない。
「どう殺す?」
俺がそう言うと、クロードは微笑んだ。
「全く、君は相変わらずだな。血の気が盛んすぎるよ。」
そうして、クロードは一歩前に出た。
「やっぱり、未来を変える気はない。
頼んだ。ワイアット、アイツを俺の代わりに倒してくれ。」
そうして、クロードの頬を汗?がつたう。
「……兵士として?」
「ああ、、俺に考えられる作戦は、これが限界。」
「そうか、、」
《代われ》
ワイアットがそう呟いた。
(え?)
《代われって言ったんだ。俺が説明する。》
そうして、俺はワイアットに任せた。
ワイアットは説明をした。
全て、今までのことを。
俺ではなく、ワイアットの身体には転生してきた変なおっさんが乗っていると言うことを全てだ。
「なるほど、道理でおかしかったわけだね、」
「そういうことだ。」
ワイアットの声は少し、震えていた。
だが、俺はワイアットの意識を引っ込ませた。
「クロード!」
「君は、どっち?」
「転生者の方、」
そうして、俺はクロードに伝える。
それは、クロードと俺自身をアイツに喰わせるということ。
「何故?君にそんな風にする義理ないはず。だろ?」
クロードはそうして、覚悟を決める。
俺の説明を聞こうとしない。
だが、俺は必死に説明をする。
かつて、営業成績トップな俺の話術で、
「アイツは強いし、勘がいい。クロードが命をかけて死んだとしても、直ぐにワイアットに気づいてアイツ自身も喰われるかも……」
俺は話し続ける。
何故ここまで本気なのか、俺にもわからない。
けど、なんか今なら賭けれる。この二回目の命。
「……クロードに俺を入れればいい。少しの間だけど、ワイアットの身体にいたんだ。俺たち2人を喰わせると言ってお前が喰われれば、お前の中にいる俺をワイアットと、数秒でも錯覚する。その瞬間、アイツに倒してもらう。」
説明は終えた。意味のわからないことだと思うけど、
どうかな?
《おい!待て!お前、、》
(道連れ、言ったろ?ここで、お別れだ。元々死ぬ運命だったし、)
《俺は死んでない!》
(待ってる。お先いくわ)
《……》
ワイアットは黙り込んでしまった。
「分かった。やろう、でも、どうやって入る?」
そうして、ノックスも動き出す。
俺は最期の作戦を開始する。
お別れだ。




