第弐拾肆話 狩の時間
黒服の肩に剣が突き刺さる。
それは、クロードの剣だった。
「何故だ……お前を、強さを追い求めるお前を!認めたのは!私だけだろ!!クロード!」
黒服は怒鳴る。
《おい!いまだ!》
(お、おけ!承知!)
そうして、俺は黒服を蹴り飛ばした。
「俺は、、、何を、」
そうして、クロードは記憶を取り戻す。
全て、 ワイアットと会った時のを含めて。
「洗脳、、そういう事か、」
クロードは全て理解した。
そうして、黒服の方へと歩む。
「私が、、お前を認めたのは、私だけ!」
「認めてもらいたいなんて思わない。
俺の生き方は、決めた。俺は二番手でもいい。自分のできる限りを尽くせれば、それで……それに、頼られてるしな!色んな人に!それだけでみんなに認めてるって事だよな?」
クロードは笑顔でこちらを向く。
そうして、俺は身体を一時的に元の持ち主である ワイアットに身体の主導権を戻した。
「、、戻った、一時的にか……クロード!
さすが、俺が見込んだだけはある!」
「やかましい、」
そうして、俺とクロードは笑った。
久しぶりに、ここまで気楽に話せた気がする。
と、その時
「だが、ここまで、削ってくれてありがとう。クロード!」
黒服の男は、歩き出す。
肩を抑えたその状態で、片手には剣を持ちそうして、血のついた指を前に伸ばし、地面に垂らす。
その瞬間、波紋のように黒い領域が広がり、辺り、クロードと、ワイアットを覆おうとしていた。
赤黒い血脈のような模様が空間を走り、光は吸い込まれ、音は歪み、外界との繋がりは完全に絶たれる。
「血零領域」
男がそう唱える。
「おい!まて!この技、知ってる……離れろ!2人とも!」
そうして、カムイが2人をすぐにその男から遠ざける。
「いった、なんだ?」
ワイアットとクロードが困惑した。
カムイがなんとか、2人を遠ざけたがその時カムイの右腕が一瞬その黒いなにか、領域が触れた。
「やられた、、」
カムイは知っていた。この技を、
「なんだ、?まさか、元六連星のカムイ・ツムギか、、覚えてるかい?私は君より先に六連星になって退役した兵士、ノックスだ、」
そうして、カムイの右腕が震える。
だんだんと感覚がなくなっていくのが分かる。
「カムイ!?」
「師匠!」
ワイアットと、ツキが心配そうにカムイを見つめる。
「……クロードは取り戻した、ここに用はない!
逃げるぞ!」
カムイがそう言って振り返る。
すると、そこにはもうカムイの右腕か"無くなっていた"
「カムイ!」
「逃がさんよ、」
そうして、カムイは動けなくなる。
「君たちの力は他の兵士より強大。
魔力量も、戦闘スキルも、強さ、諸々と上なんだ。
そういう奴の体、死体はね。うまいんだよ、」
そうして、カルロが、黒いものに飲み込まれていく。
「そうすると、、」
「カルロ!!」
「お、、まえら、ツキ……にげ、、」
そして、カルロの軍刀だけがその場に残る。
その瞬間、城が少し修復されていく。
「クロード!君の力は、いい度合いの強さだった。
君たちはここから逃がさない、全員喰うさ。」
「それで、この帝国を復活させる気か、」
「その通り!流石ワイアットくん!頭が冴えてるね。」
目の前でカムイが飲み込まれた様子を見て、ツキは腰を抜かす。
実戦経験がないのだから当たり前だろう。
そうして、ワイアットは銃を抜く。
だが、その時に身体の主導権はワイアットから俺に移った。
「まじか、、」
《ここでかよ!》
「いやー、六連星全員来てくれて助かった。全て計画通り、」
「だから!俺を利用して、他の2国を滅ぼしたのか、」
クロードがそういうと、ノックスはとぼける。
「滅ぼした?君だろ、滅ぼしたのは……」
その言葉に絶望するクロード。
「てめぇ!」
俺も思わずキレそうになる。
ワイアットのことを言えないな、
「なぜキレる?クロード、命令をしたのは私だが、滅ぼしたのは君だ。まぁ、半壊の方が正しいか……」
勝てない、そう思った。
だけど、
「クロード、立て、」
「俺は、、」
その時、俺はクロードを蹴った。
《おい!お前、、》
「上官命令だ」
「!!、わ、わかった!」
そうして、クロードはカムイの軍刀を持ち、俺はツキをおぶる。
「逃げるか、いいなぁ、面白い。逃げ続けろ。
逸れた奴らと、合流をしてくれ、そっちの方が一気に喰える。、、さて、追え。」
そうして、崩壊している城の中から、数多の黒服が出てくる。
(ここで、カムイをやれたのはデカいな、さて、逃げ続けろ、ワイアット……狩の時間だ。)
ノックスくそだな〜




