第弐拾壱話 血飛沫
「は……?」
顔に冷たく、何かが掛かってきたのが分かった。
血だろう。マルの、それよりも目の前にいるのは、2メートルほどはある黒い塊に身を包む、肌白い男。
ゴツいロボットの腕や足、いや、頭部以外を全てその機械でできた物を使っている。
「くそっ、」
直ぐに俺の腕は、持っていたサブマシンガンをその
デカブツに乱射する。
恐らく、止まっていた腕をワイアットが動かしたのだろう。
その発砲音で皆、直ぐに我に帰り動き始める。
全弾命中。
だが、明らかに硬い装甲に歯が立たない。
物理攻撃耐性MAXの魔法かなにかが掛かっているようだ。
他のサンディや、テリー達も攻撃をしてみるも、持ってきた銃達では歯が立たない。
「想定外だ!初っ端からこんなの聞いてないぞ?」
スタンがそう言って、叫ぶも直ぐにそのデカブツによってパンチ一撃で吹き飛ばされてしまう。
異様なオーラ、何者なんだ……
「黒だな、これはクロードとか黒暁教団と関わりがあるぞ!」
ある程度距離をとりながら、カムイがそう告げる。
そして、その大男は俺の方を向き腕に仕込んでいたアサルトライフルからこちらに向かって発砲してくる。
「ちっ、」
(まずい、、)
《ったく!もっと上手く使え!》
ワイアットがそう言って、俺の足を直ぐに動かし、なんとか回避することができた。
「ふぅ、、」
一息ついたのも束の間、
直ぐにもう片方の腕からロケットランチャーを飛ばす。
直ぐに俺は、なんとか持っていたサブマシンガンで、命中させぶつかる前に爆発させることに成功した。
(なんとか防げた、)
《おお……少しはやるじゃねぇか、》
なんか褒められた気がしたが、ワイアットに至ってそれないだろう。
そんな事よりマジでこいつ何者だ?
スタンの方を見るも、アシュリーが助けに行ったようだが、片腕が無くなっているのがわかった。
(まずいな、)
「六連星、現代の最強兵士ワイアット……聞いていはいたが……ただの小僧ではないか、」
お男は、低い声で俺をスキャンしたのかそう言ってこちらを睨みつけている。
その赤い瞳は何人も殺してきた奴の目をしている。
そうして、一歩前進した瞬間、、
俺は別の場所にいた。
森のようなその場所、恐らくアルゼリア魔道帝国の裏門と呼ばれる、俺たちが入ってきた方と真逆の位置にあるところだ。
時刻は朝7時。
暗くなる前に俺たちは、ここの秘密を解かないと戦況が悪くなる。
「大丈夫か?」
目の前にいたのは、カムイ、
どうやら、ツキの魔法で自分を含めたカムイと俺、をワープさせてくれたようだ。
「っておい!アシュリーと、スタン、セリーナに、サンディと、テリーは…………」
俺が慌てて聞くも、カムイが抑える。
「全員は無理だ。
一先ず、俺たちでこの帝国の城を目指す。恐らくクロードもいるはずだ。あのデカブツも黒い見た目をしていた。確定だ。」
カムイは、冷静に物事を見ている。
「……わかった、ロジャーとマーリンは何も知らないとまずいんじゃないか?無線も繋がらないし、」
「まぁ、六連星なら大丈夫じゃないか?他の奴らと会ってどうにかするだろう……にしても、お前変わったな、」
「え、?」
俺がそう戸惑っていると、ワイアットが話しかけてくる。
《仲間は、アイツらなら大丈夫だろ。》
そうか、分かった。
「随分と、お人好しになったな、ワイアット、」
そうして、カムイが、俺の頭を撫でる。
「はぁ!私には撫でてくれないのに!!」
ツキが横で何か言っているが気のせいだろう。
「じゃ、目指すぞ、ただ、武器庫かなにかが有ればいいんだが、持ってきた武器達じゃ、あんな奴がまた来ても足止めにもならん。
予想外すぎる。火力不足だな、」
「……そうだな、」
「……他の仲間達とは、全て終わったら絶対落ち合おう、探しにいくさ。
な?」
俺が俯いてそう返事すると、直ぐにカムイは俺の気持ちをわかったように前向きな言葉をかけてくれた。
「ああ、」
そうして、俺とカムイは拳をぶつける、
その瞬間、横から銃声が響いた……




