第拾漆話 引退兵士
その男は刀を片手に俺にあっという間に、近づき攻撃を仕掛けてくる。
すかさず俺はポケットに入っていたナイフを手に取り、攻撃を防ぐことに成功した。
「流石、ワイアット……今の攻撃を防ぐとは、」
そう言って、力いっぱいにその男は俺を押していく。
というか、普通なら見えないはず、サンディでさえも追えなかったんだから、
でも見えた。それは、
《俺のおかげだ。》
でしょうね。
ワイアットの身体に居着いてから、だいぶ経った。
少しずつ俺の魂が身体に慣れてきたんだろう。
けど、
流石に、筋力とか魔法とかはまだうまくコントロールできないみたい。
「だが、まだまだだな!」
そうして、その男は俺を吹き飛ばした。
「イッタ!」
《おい、俺の身体で吹き飛ばされるとは……
恥をかかせるな!!》
(悪かったな!でも強い!)
2人して心の中で揉めていると、
男は近づいてくる。
そして、俺の顔、ワイアットの顔に近づき顎に触れ上げる。
(近いな)
《近いな》
「お前、本当にワイアットか?」
ギクリ……
コイツ勘がするどいな、
そう思っていると、アシュリーが近づく、
「ちょっと!いきなり何?ワイアットから離れなさいよ!」
「ん?あ〜すまん。
ワイアットの彼女か、」
「え!?彼女?……違う!彼女じゃない!!ライバル!でも、見える?」
何を言ってるんだか、
そうして、顔を赤らめるアシュリー。
「ああ、ごめん。いや、でもやっぱり……」
「ラ・イ・バ・ル!Do you under stand?ok?」
「ああ、、ok……」
そうして、無理矢理話をつなげるアシュリー
もうあいつがNo. 1だと思う。
(で?コイツ何?)
《ああ、こいつは、六連星のカムイ・ツムギ、元兵士だ。28歳で、その若さで准将まで上り詰めた天才。
昔からの友達?だ。だけどな、コイツ……》
そう言ってワイアットは話を止める。
なにやら、様子を伺っているようで、、
「ねぇ、君。アシュリーちゃん?だよね、、
新聞の記事で見たことあるよ、あ!カラコン変えた?」
「なんでわかるの!?キモイ!!」
《キモイんだよな……人のこと見すぎてて》
そう言ってワイアットが呆れてるのがわかった。
確かに人の微々たるところに気づけるのは、すごい。
けど、カムイは度を超えてキモかった。
まてよ、ってなると俺たちやばいんじゃ、、
《気づかれるかも、なるべく距離を……》
ワイアットがそう言おうとしたその時、すでにカムイは背後に回っていた。
「おい、ワイアットお前なんかおかしくないか?」
おっと、まずい
「あ、ああ。そうか?」
俺はなんとか冷静になってそう答える。
少し汗をかきすぎている気がするが、多分大丈夫だろう。
(妙だな、ワイアットの汗の量、人は炎天下の中で10分程歩いたら汗が約100mlでると言われている、だが、このワイアットの汗は150mlほど、かなり焦っているのがわかる。
今の気温は28度で、一応暑い方ではあるが、、、
ワイアットがここまで冷静を保てていない?いや、汗の量が尋常でないのは………)
「いや本当に気持ち悪いな!!」
俺は思わずツッコんでしまった。
「まぁいい。少し訛ったんじゃないか?
酒場に行こう。何かあるんだろ?」
そうして、カムイに連れられ、俺たちは酒場に向かった。
そこで、ある程度俺たちはカムイに話した。
(でも、良かったのかな?こんなに話して、)
俺は心配だったのでワイアットに聞いてみるが、ワイアットは首を横にふる。
《普通はだめ。でもコイツは六連星元ね。だし、
まぁ今はどこにも所属してなく、兵士辞めたし、脅威ランクはS+、敵になったら面倒だけど、味方になれば心強い。》
そうしてワイアットは、安心していいと言ってくれた。
そして、脅威ランクというのは、六連星の強さを表したものらしく、Bが兵士数人の撃破、Aが1人で一兵団の撃破、Sが1人で一国を半壊、 S+は1人で一国を制圧。そして、それ以上が測定不能。
というものらしい。
もちろん、ワイアットは唯一の測定不能なのだそうだ。
流石っす。先輩。
《何が先輩だ。》
「なるほど、クロードが連れられたか、厄介だな。アイツ俺の代わりに入ったし強い方だと思うんだが、、」
カムイはそうして酒を飲んでいる。
「飲み過ぎだろ」
サンディがようやくツッコンだ。
その隣には少女がいる。
「あなたが!ワイアット!私の決闘受けるがいい!!」
そうして、そのクソガキ?ちゃんは俺に喧嘩を打ってきた。
どうやら、カムイの妹分、弟子のようだ。
ただ、カムイは兵団にいいところがないから、兵士になりたいそうだが今は止めているそう。
カムイの事をかなり慕っており、憧れの存在らしい。
厄介な女の子なこと。
《気づいたか?》
(視線が強いな)
そんな事を酒場で話していると、酒場の連中はこちらを見続けている。
30〜50人はいるだろうか、
そいつらは銃や、ナイフ、剣を抜き、次の瞬間こちらに向かってきた……




