第拾陸話 こいつ、敵か
「でさ、どうするの?」
テリーが、そう言って会議室の椅子に座る。
「ん?どうするって、、」
「だって、クロードを探すってどうやって?手がかりないじゃん」
真っ当なことを言うテリーに一同は驚いた、
確かに何にも手掛かりはない。
それで探すと言うのはかなりの至難の業。
皆んな考え黙り込んでしまう。
「メレディス上官!安静にしていないと……」
どうやら、ロニー上官が階段を急いで駆け上がってくる足音が聞こえる。
なにやら、もう1人いるみたい。
「黙れ!クロードのやつ、、ワイアット!船に乗ったんじゃないのか?」
「はい、、でも行き先までは……」
そう言って負傷したメレディスは辺りを見回す。
「ここにいる、、奴らは……?」
腹部を抑えながら、片手で杖をつくメレディス、
「全員、主に一等兵以上の兵士が集まっています。
それ以外は、寮に……」
ロニー上官がそう言って、メレディスに告げる。
「そうか、、あの黒服のやつらの船……あれはアレストロの周辺国家の一国、ロックフォードの今は使われてない、廃船だ……」
「廃船……」
その途端、メレディスがその場に倒れ込む。
「ちょっと!このおっさんもう死ぬんじゃない!?」
縁起でもないことを言うテリーを前に、ロニーが病室まで連れていく。
という事で、全員ではいけないため、ワイアット、アシュリー、スタン、テリー、サンディーの5人でその
ロックフォードという国を目指すことになった。
クロード、そして黒服の行方を知るために……
――――――――――――――――――――――
アレから2日。
船を使い、俺たちはなんとかこの国に辿り着いた。
「ここが、、」
ロックフォード王国。
アレストロの兄弟国家と言われており、街の周辺は高さ15メートルの岩の城壁が国を守るように囲んでいる。
中部地方交易都市とされており、
軍需産業の集積地、武具工房、魔導具製造所、馬具職人が多数存在、
商業拠点、周囲の農村や鉱山から物資を集め、アレストロへ供給する中継点。
傭兵の溜まり場として、酒場や宿屋には戦場帰りの兵士、傭兵が集い、情報や噂が飛び交う
アレストロに全面的に協力してくれている王国。
なぜここまでしてくれるのかというと、
アレストロと建国された年が近く、過去にアレストロによって国が救われた事がある。
その名残で協力してくれているそうだ。
「そんな事があったのか、、」
俺が思わずそういうと、アシュリーがこちらを見て、
「ワイアットがそういうの一番詳しいんじゃないの?」
と、言う。
(え、お前、国詳しいの?)
《IQは、高い方だ。ちゃんと俺を演じろ。ハゲ》
(おけ、一旦お前のこの体で海の中入ってどのくらい息を止められるかチャレンジしてくる。)
《おい!死ぬ気だろ!》
そんな事を心の中で話していると、サンディが提案してくる。
「俺とスタン、アシュリー、テリーとワイアット、二手に分かれて話を聞いてみよう。」
そう言って、俺たちは離れようとしたその時、
グレーの髪色で高身長のイケメン、ナイスガイが話しかけてくる。
ロングコートを着ているものの、その上からでも鍛えられた筋肉が浮き出るように見てわかる。
「よぉ〜、ワイアット……」
「ん?」
だれこいつ?
そう思ったら、すぐにワイアットが答えてくれた。
《コイツは、、》
だが、そんなワイアットを遮るように、いきなりその男は背中にある刀をすぐに手に取り俺に攻撃を仕掛けてくる。
「なに!?」
サンディでも目で追えないほどのスピードで、俺に刀を振り上げてくる。
(なるほど、、"こいつ敵か"!)




