父と娘の繋がり5
「あなたが元気でいてくれることが一番よ。あなたがいなくなったら賢斗君が可哀想でしょ。賢斗君にはあなたが必要なんだと思う。だから、私のことは気にしなくていいわよ。」
お母さんの声が優しく聞こえた。
目が開いた時。
白い空間だった。
「ここは?」
私はつぶやいた。
「病院だ。このバカ!!!!」
私は戸惑っていた。
私は死んだはず。
「ねぇ、どうして死なせてくれなかったの!!!!こんなに辛いなら死んだほうがましよ!!!」
私は叫んだ。
死んだほうがよかった。
あなたを失うよりもそのほうが軽かったような気がした。
「………でくれ。」
「え?」
私は何を言っているかわからなかったので首をかしげた。
そして、同時に驚いた。
「居なくならないでくれ。」
「え?どうして泣いてるの?海崎さん。」
久しぶりに呼んだ名前は微かに震えた。
いつも優しく包んでくれるあなただったから。
「俺は小さい頃に交通事故で父と母を亡くした。そして、小学生のときにおじいさんが亡くなって、おばあさんも中学生のときに…。どんどん周りがいなくなって一人になるような気がした。同時に俺と関わった人達がいなくなってしまうようで、おかしくなりそうだった。その後はおじさんや、おばさん、いろんな人達の家を回った。そして、やっと働けるようになって自分で金を稼げるようになって優子さんにあった。でも、その日も長く続かなかった。もう誰もいなくならないでほしい。……いなく…ならないで…ほしい。」
かすれながら一生懸命訴えてくる海崎さんがすごく愛しくて、切なくなった。
私は思いっきり抱きしめた。
小さい頃からいろんな経験をしてきた海崎さんはすべてを自分の責任として背負っていこうとしているのだろう。
ねぇ、私を頼って?
支えられないときがくるかもしれない。
でも、そんなときは頑張って一緒に考えよ?
何もいらない。
あなただけで十分だよ。
お母さんごめんね。
そして、ありがとう。
お母さんがいてくれたから私がここにいる。
そして、海崎さんという人に出会えた。
ありがとう。
数年後…
「好きだ。優子さんには悪いけど。今度一緒にお墓参りに行こう?」
あなたは本当に申し訳なさそうだったけど。
ここにくるまですごく時間がかかった。
でも、あなたに真っ直ぐ向かっていた。
だってあなたしかいないんだもん。
手首の傷はまだ痛々しく残ってる。
でも、あなたをこれほど想ってる証拠でしょ?
私は微笑んだ。
そして、お母さんが言ってくれたあの言葉を伝えた。
「あなたには私が必要なんだよだって。お母さんが。」
私は少し生意気に、そう言った。
大好きだよ。




