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新子爵の思惑1

フェリクスは上機嫌だった。

散々自分を見下していたルイスが事故で死に、カステリ家の全てが自分のものになった。

ルイスが自慢気に見せつけていた美しい妻も手に入って、ついに自分があの兄より上になったのだと喜ばずにはいられなかった。

ルイスの元妻リリィは落ち込みがちで、結婚してもほとんど手も触れさせないし、まだまだ屋敷の使用人たちの様子も湿っぽくてぱっとしない。

リリィの幼い娘もフェリクスに懐こうとしないのでまったく可愛げがない。

だが、屋敷の雰囲気はいずれフェリクスによって立ち直るはずだ。

なにより、フェリクスには元々住んでいた屋敷に囲っている女がいる。

リリィを妻にするために今は愛人という立場になってしまっているが、どんなに美しくてもふさぎがちなリリィより、いつも華やかに装いフェリクスを歓迎してくれる若いイザベラのほうが、女としてはよほど好ましいと言えた。

別邸自体は、カステリ家本邸よりも小さいことがずっと気に入らなかった。

本邸に入るときにイザベラも連れて行くつもりだったのだが、イザベラが辞退したのだ。

「あたくしは愛人ですもの。こちらの小さなお屋敷を守りますわ。時々は顔を出してくださいましね」

そうした控えめなところも実に好ましかった。

ルイスの子供より一年遅れて生まれた娘もイザベラに似て愛らしい。

せめて苦労がないようにと望むものを買い与え、頻繁に別邸へ顔を出した。

リリィはそれを咎めたりしなかったし、むしろ入用のものはないかと尋ねもした。

女二人が対立しては面倒だと心配していたので、そこは男としての度量がものを言ったのだろう。

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