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北方の地2

幸せな時間は長くは続かなかった。

セレスシャル各地で続いた長雨は、田畑の作物だけでなく、多くの民の命をも押し流した。

土砂崩れの視察に訪れていた領主ルイス・カステリ子爵が巻き込まれて亡くなったという知らせは、公爵にも半月ほど遅れて届けられた。

しかし、直轄領の他、関連する領地の対応に追われていた公爵は、すぐに動くことが叶わなかった。

ようやく見舞いを送れたのも、知らせを受け取ってからひと月も経ってからであった。

さらに間を置いて返ってきた返事には、未亡人リリィ・カステリが、ルイスの弟フェリクスと結婚し、フェリクス・カステリは子爵家及びカステリ領を継いだという報告が、乱れた筆致で短く綴られていた。



愛する夫を失った直後でも、リリィは泣き暮らすことはしなかった。

リリィにはルイスの忘れ形見でもある幼い娘がいて、領主館で働く者たちがいて、さらには長雨で困窮する領民がいるのである。

幸い、ここ数年でカステリ領は寒冷地に強い作物の研究が進み、少しずつ収穫量が増えていた。

こうしたときに備えて高台の避難小屋と食料備蓄庫の整備も進んでいたので、長雨が終わるまで耐えきれば、また新しく農地を開墾し、新たな生活が始められると誰もが信じていた。



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