表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/39

進み始めた時間(3)

シャーロットが白湯を飲み干すのを見計らって、ヴィクトリアはシャーロットを怯えさせないよう訊ねた。

「名前は言えるかしら。あちらではなんと呼ばれていて?」

メアリーが新しく注いだ白湯の茶器を持ったまま、シャーロットはしばらく中空を眺めながら思い出して答えた。

「……おい、や、おまえ、と呼ばれていました」

控えていた侍女たちは戸惑いを隠せなかった。

メアリーも咄嗟にヴィクトリアを確認し、ヴィクトリアさえも顔色をなくしていた。

答えたシャーロットすら俯いてしまい、気まずい沈黙を断ち切るようにヴィクトリアは音を立ててセンスを閉じた。

「ではね、今日からあなたはシャーロットよ」

シャーロットは瞬きを繰り返して復唱した。

「シャーロット……」

その名前は特別な響きでシャーロットを包んだ。

今の今まで忘れていた名前と本来持っていたものの記憶を呼び覚ますものだった。

ヴィクトリアは紙にシャーロットの名前を書いて見せ、シャーロットに筆記具を持たせると、横について筆記具の持ち方から教え始めた。

「何度も書いて、覚えればよくてよ。これからはいつでも練習出来るわ」

よろしければ評価、ブックマークをお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ