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プロローグ2

姫君がとんでもない醜聞を起こしたのは、姫が二十歳を迎える前のこと。

望めば全てが手に入るとまで言われていた姫が、他国の小役人と駆け落ちしたのだ。

王宮は騒然となり、噂はたちまち貴族から市民へと広がった。

国王は溺愛する娘の裏切りに烈火のごとく怒り、後を追わせた。

しかし姫と小役人はまんまと海の向こうへと逃げおおせた。

可愛さ余って憎さ百倍とばかりに姫を連れ帰ることを厳命していた王だが、海の向こうはサザロクスと同等の大国。

海を挟んでいるがゆえに、形式的な国交は結んでいても、折に触れて使節が訪れたり、商人が行き来したりする程度の浅い関係の国だった。

国王にも、海を越えてまで軍を派遣する危険性や人足に掛かる物資予算と、溺愛する姫とを天秤にかけるだけの理性は残っていた。

姫の追跡は諦めたものの。怒りが冷めやらぬ王は、海の向こうの大国セレスシャルとの断交を宣言した。

当時サザロクスに留まっていた大使や使節団も、セレスシャルの国籍を持つものは一人として許さず、国外に追放したのである。

姫が住んでいた離宮も取り壊し、姫を生んだ第二妃は姫の醜聞の責任を取るという形で王宮を辞した。

王の怒りを恐れた貴族たちによって姫の名前は禁句となり、あちこちで姫にまつわるものを壊し燃やし、あらゆる痕跡がたちまち消されてしまった。


ただ、民間で流布した物語だけは、どれだけ本を燃やしても消すことが出来なかった。

文字に記しては燃やされてしまうため、母から娘へ、姉から妹へ、友から友へ、ひっそりと語られ続けた。

心優しい姫君と他国の者と恋の話は、姫君になぞらえて、今でも百合姫の物語として語り継がれている。


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