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消えた娘2

本邸からリリィが死んだという知らせが来た日は、別邸でイザベラと気持ちよく酒を飲んでいた。

一度体調を崩してから長患いをしていたリリィと、リリィの看病ばかりの召使たちで、一度は盛り立てたはずの本邸はまた鬱屈した空気になっていた。

あんな陰気臭い場所にいては自分の運気も落ちてしまうと、フェリクスはもう何ヶ月も本邸に戻っていなかった。

この日はツキが良く、賭場でも大勝して帰ってきたところだったので、うっかり知らせに来た召使の前で快哉を叫ぶところだった。

かろうじて理性的にわかったとだけ返事をして、翌日には本邸に戻ると言づけた。

召使が出ていくと、今度こそフェリクスは叫んだ。

「やっとあのいまいましい女が死んだぞ!」

フェリクスにしなだれかかっていたイザベラも、フェリクスの盃に酒を注ぎながら言った。

「これで今度こそ全てがあなたのものですわね」

「そうだ。お前とベアトリスもやっと本邸に入れてやれる。次はお前が子爵夫人だ」

「嬉しいですわ」

翌日、意気揚々と本邸に戻ったフェリクスはロバートに葬儀の差配を任せたが、金は無駄遣いするなと命令した。

死んだ人間の葬式などに無駄金を使うくらいなら、これからフェリクスが使ったほうがよほど有意義だからだ。

公爵には、リリィが死んでいかに悲しんでいるかを書き連ねた書簡を送ったので、もしかすると同情した公爵から見舞いの金か、あわよくば新しい領地か爵位がもらえるかもしれないと、ルイスが死んだ日以来の全能感を味わっていた。

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