表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/39

新子爵の思惑4

次第にフェリクスは違和感を覚えるようになった。

リリィはいつもフェリクスに従順に従い、使用人たちもフェリクスを一番に扱った。

しかし、フェリクスがなにかを命じたとき、後ろにいる使用人がふと視線を動かすことがある。

そういうとき、そこには決まってロバートかリリィがいて、微かに頷き返している。

衣裳の新調に高価で希少な毛皮を使おうとすると、そのときにはさんざん毛皮を勧めてきた商人が、あとになって毛皮の用意が出来なかったと謝罪してくる。

ある日は、いつも通らない廊下を歩いていると、書類の束を持ったロバートが部屋から出てくるところに出くわした。

家令であるロバートには個室が与えられているので、おかしいことではないが、扉の隙間から見えた部屋には書斎のような大きな本棚が置いてあった。

「これは旦那様。ただいま書斎に書類をお持ちするところでございました」

ロバートはそつなく一礼し、フェリクスを書斎へ誘導した。

しかしフェリクスには、あの扉の隙間から一瞬、女の衣裳の裾が翻ったような気がしてならなかった。

フェリクスはこうしたときの勘は非常に良かった。

勘が良かったからこそ、早々に公爵とリリィがやりとりする手紙は全て差し押さえていたが、もとより手紙自体も多くはない。

リリィの手紙を見ても、娘が大きくなっただの、いつか領地にお越し下さいだのと、社交辞令が書かれているだけだ。

それでもフェリクスは、自分がなにかの枠から締め出されているような、疎外感を覚えていた。

よろしければ評価、ブックマークをお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ