七話 守るための備え
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面談を終えて、一旦自室に戻る。これからの方針について1度整理を───
「お、お疲れさん。お邪魔してるぞ〜。」
「何故ここに居る、司。」
「あれ、駄目だった?俺達マブダチだろ〜?無断でプライベートルームに入るくらい許してくれよ。」
「....ま、別に良いけど。」
「おう、ありがとよ。流石マブダチ。」
何故か司が部屋番号を教えてもないのに俺の部屋に居た。
「(大方部屋に入るところを見られてでも居たんだろう。)別に司のマブダチになった覚えはないけどな。」
「えぇ...?お前ノリ悪くない?ま、そんな軽口叩けるっつーこたぁ、どうやら藤士さんの眼鏡に適ったみてーだな。」
「....ま、及第点くらいは貰えたんじゃないか?」
「その割に結構ニヤついてね?」
「おや、察しが良いねぇ、司。」
「気取った喋り方すんな、わざとらしい。」
柄にもなく上機嫌になってしまうのは仕方が無いと思う。少なくとも冤罪の立証がほぼ確実になった以上、俺がするべきは組にとって都合の良い存在扱いされないように様々な知識や技術を身につけること。
(まだ組がグレーなのか真っ黒なのかすら判明していない以上、食い物にされるのだけは避けなければ。)
弁護士や法律関連の役割を担う、そのアピールによって発生する組からの期待に応えると同時に、法的知識でヤクザから搾取されることを避けられるように学び、自分を鍛える。
「それじゃ、俺は監督官のところに行かないといけないから。」
「はぁ?何でだよ。呼び出しでもされたか?」
「いいや?野暮用。」
「けーっ!カタギはやっぱ違うねぇ。俺ぁ監督官共と目が合うだけでも寒気がするってのに。」
「別に悪い人じゃないだろ。少年院に入るようなことをした側が悪いんだし。」
「.....それはそう、だな。」
そう言った途端に司の顔が少し翳る。何かマズいことでも言ってしまっただろうか?
「あ~、まぁ、合わない人の2、3人いるよな。だからまぁ、苦手でも良いんじゃないか?」
「....けっ、変な気使いやがって。」
「.....すまん。」
「いーよ。むしろ俺のことを何も話して無い俺が悪い。気にされる方が気持ち悪いから止めてくれや。」
「そうか。ならあまり触れないようにする。」
「そりゃどーも。つか興味あるか?俺がネンショー入りになった理由。」
「....今は、聞かないでおくよ。多分、お前も話したがるほど俺のこと信用して無いだろ。」
「流石の読みだな。そこまでバレてんのか。」
やはり。俺が司の事を本当に信用してはいないように、司も俺のことを信用してない。信用しているのは俺の覚悟くらいのものだろう。俺の存在は信用してない。司もヤクザの関係者である以上、当たり前ではある。が───
(それ以外に何か、隠している気がする。そんな表情をしている。)
ただ腹の底では信用しきっていないだけなら先の俺の発言で表情が翳ることなどない。
(少年院に入るきっかけに何か言いづらいことでもあるのか....?)
自室をあとにして、監督官室へ向かう間に浮かんだ謎。
司の過去になにかしらの遺恨があるとするならば、それは俺に──
「なんて考えても仕方ない、か。」
司が話したがらない以上、俺にできることなど何もない。今は自分のことだけ考えるべきだろう。
「失礼します。木崎淳二です。長田監督官はいらっしゃいますか。」
「ああ、木崎か。こっちだ。」
「はい、失礼します。」
呼ばれた先にあったのは、机に積まれた法律関連の参考書類の山。
「今あるのはこれくらいだ。もしアレだったら他に取り寄せたりも出来るが───」
「いえ、充分です。ありがとうございます。」
うず高く積まれた本の山に埋もれた『司法試験過去問題集』の文字を見つけた。極論これさえあればやりようはいくらでもある。が、裏社会で食い物にされないためにはただ試験に受かるだけでは足りない。
(思った以上に冊数があったな。思わぬ収穫だ。)
だからこそ六法全書とまでは行かなくともそれなりの書籍類が欲しかった。これだけあれば備えに困らないだろう。
「ま、お前はあんな手紙を書くような奴だ。反省はしっかりしているようだし、更生プログラムにしっかり取り組みながら励め。俺としてはお前を応援してるからな。」
「はぁ、ありがとうございます。」
少年院の監督官がこんなに単純で良いのだろうかと心配になるのは俺だけだろうか?
無茶苦茶設定なのは本当にゆるちて.....
創作意欲が凄すぎて別作品を並行して進めたいと思うのですが『一話一話が短いんだからやめんしゃい!』って思う方、感想欄でお叱りください....