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間章 私の信じた人

幼馴染ちゃん視点でのお話。幼馴染って付き合い長い分その間の話って掘り下げようと思ったら無限に掘り下げられちゃうよね。まぁこの話のヒロインはこの娘じゃないからあんまり深く掘り下げないけど☆

てかそもそもラブコメじゃな.....え?BL?(ネタ)

私、伊藤絵美は幼い頃から周りに期待されてきた。


「絵美は私の娘なんだから、出来るわよね?」

「絵美は俺の娘なんだから、これくらい出来るよな?」


かたや日本一の大学を卒業した母親。かたや世界一の大学を卒業した父親。日本の教育界に大きく影響するほどの発言力を持っていた私の両親は、『教育の模範例』として私を育てるのに躍起になっていた。


「何故こんな問題を間違えた!」

「何故実技テストで満点を取れない!」

「何故1位を取れない!」

「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」「何故」


満点を取れなければ怒られた。間違えれば怒られた。1位になれなければ怒られた。


『よく頑張った。』


期待に足る成果を残せたときにはその一言が欲しかった。それなのに。


「そうか、それくらい出来て当然だな。絵美、お前は私と瑞希の娘なのだから。」

「そうよ。絵美、今度レベルの高いテストがあるの。私と和樹さんの娘なんだから、そこでも同じくらい出来るわよね?」


出来なければおかしい。出来て当然。出来なければ私はこの両親の娘を名乗る資格は無い。


「そんなことねぇだろ。子供がエリートでも不出来でも、親は親だ。」


淳二が、私を助けてくれるまでは。


「淳二くん、これは伊藤家の話だ。君には関係無い。」

「そうよ。もう時間も遅いのだし、早くお家に帰りなさい。送ってあげるから──」

「絵美は、頑張ってた。クラスの奴らが遊んでるときも勉強してたし、誰よりもテストに準備して取り組んでた。」

「そうか、わざわざ報告してくれてありがとう。怠けていないことが分かって良かったよ。だからもう───」

「でも絵美は辛そうだ。」

「───っ!!」


辛そう。両親の前ですらおくびにも出さないようにしようとしていたのに、淳二にはバレていた。両親の顰蹙を買うかも知れない、と焦ると同時に、心が少し晴れた気がした。


「辛い?当たり前だろう。努力するというのは大変なんだ。それくらい──」

「違うよ。だって、俺なら父さんと母さんに褒めてもらえるならあんなに苦しい顔なんてしない。絵美は、なんだか苦しそうに努力してる。」

「はぁ。だったらなんだい?そんなの、君の憶測に過ぎない話だろう。」

「そうよ。絵美が私達に言うならまだしも、幼馴染とはいえ淳二くんは他人でしょう?」

「そうだな。だから絵美に聞くよ。絵美、努力するのが辛いかい?」


お父さんはそう言って私の肩を掴む。駄目だ。ここで頷いてしまったら、またお父さん達をがっかりさせてしまう。


「わた、しは....」

「絵美。」


いつの間にか淳二が、私の手を握っていた。


「伝えないと、分からないぞ。」

「!!」


私は一度でも両親に言っただろうか。頑張ったから褒めてほしい、駄目だったら叱るだけじゃなくて支えて欲しい、教えて欲しい。なにか1つでも伝えたことがあっただろうか?


「....めて欲しい。」

「なんだって?聞こえないぞ、絵美。」

「.....褒めて欲しかった!!『良くやった』って、『がんばったね』って!!駄目だった時は慰めて欲しかった!!『大丈夫だぞ』って!沢山教えて欲しかった!!私は!お父さんとお母さんに!ちゃんと見てもらいたかった!」


一度堰を切ったように溢れた言葉は止まらなかった。


「え、絵美.....。」

「なのにお父さんもお母さんも『当たり前だ』って!そればっかり!!期待になってない期待をされるのももううんざり!私はお父さんとお母さんのコピーじゃない!!」


初めて思い切り叫んだ。最後の方は喉が掠れて、思わず咳き込みかけた。初めて意志を表示した私に、お父さんとお母さんは呆然としていた。


「ちゃんと言えたな。それじゃあ、俺はこれで。おじさん、おばさん、失礼しました。」

「ち、ちょっと淳二、待って───」

「あとは家族の話し合いだろ。邪魔者は退散しないとな。」


そう言うと淳二はそそくさと出て行ってしまった。叫んでしまったことで、気まずくて話をするにもどうにもならない、そう思って黙っていると、お父さんが口を開いた。


「....すまなかった、絵美。ちゃんと見てやらなくて。」

「....え?」

「忙しいのを言い訳に、良い子で居てくれる絵美に甘えていたのかもしれない。言わなかっただけで、絵美のことは誇らしい娘だと思っていたんだ。」

「そう、だったの?」

「ああ。淳二くんの言うとおりだな。『伝えないと分からない』か。娘と同い年の子供に教えられるとは思わなかったよ。」

「....そうね。本当にごめんなさい、絵美。」

「お母さんも、私のこと、ちゃんと褒めてくれる?」

「当たり前じゃない。生まれてからずーっと、絵美は私の自慢の娘なんだから!」

「う、うぅ....よがった、よがっだあああ!!!」

「絵美....こんなにも追い詰めてしまってたのか。本当にごめんな。これからはちゃんと見るよ。ちゃんと褒めるし、ちゃんと支える。」

「だから、私達を親としてまた信じてくれないかしら。」

「ゔん!!ゔん!!ママもパパもっ!!ちゃんと私の親だもん!!」

「え、絵美っ....!」

「....ありがとうね、本当に、不出来な親でごめんなさい....っ!!」


お互いが不器用で、そして言わなくても分かるなんて傲慢な考え方で拗れていた親子の絆は、私をちゃんと見てくれた淳二のお陰でこの瞬間に本当の絆になったのだと思う。この日を境に、私の淳二に対する思いは、幼馴染へのそれから愛する異性へと向けるものへと変化していった。


「淳二が.....強姦!?」


だからこそ、許せなかった。あの日、私達家族を仲直りさせてくれた淳二が汚されたようで。裏切られた気持ちになって。最初はなにかの間違いだと思った。好青年であり、クラスの中心人物であり、何よりずっと近くで見てきたあの淳二がそんなことをするとは思えなかったから。


「目撃者も何人か居るみたいだし、被害者の女性の服からは淳二の指紋も検出されたみたいなの。淳二を信じてくれるのは嬉しいんだけど、私達としても擁護のしようがないわ。」

「そんな.....!」


そんな薄っぺらい希望は、淳二のお母さんである真弓さんから伝えられた事実によって打ち砕かれた。


「な、なあ絵美───」

「触らないでっ!!」


だから拒絶した。私を裏切り、家族を裏切り、皆を被った猫で騙した淳二は、私の愛した淳二では無いから。


「淳二がそんなことするような人だと思わなかった!最低だよ!!もう一生顔も合わせたくない!」

「ま、待ってくれよ!冤罪で──」


そう言いながら縋ってくる淳二に、寒気と嫌悪感が止まらない。


「証言だってあるのに!?まだ騙そうとしてるの?そうやって私にも乱暴するつもり?」

「ちが....信じてくれよ!なぁ!幼馴染だろ!」

「淳二の幼馴染なんて、もう身震いするわ。金輪際私に関わらないで!」


私の中の淳二は死んだんだ。だから、こんな男は知らない。


「バイバイ、気持ち悪い強姦魔さん。」

「待ってくれ、待ってくれよ!!絵美ぃ───!!」

幼馴染ってバイアス凄いと思うんだよね。書きながら思ったけど絵美ママパパは尾木ママみたいなタイプ?とか勝手に思ってた。

次で話が大きく動くと思います(•▽•;)

遅筆なあてぃくしを許ちて....(ᗒᗩᗕ)

誤字修正ありがとうございました!!何でもポイント評価制度とかいうやつの存在を初めて知ったので☆を頂けると嬉しいです!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 絵美は淳二から助け船を出して貰った時から好意を抱いたんだな…。しかしその想いも続かず掌返しとかお前……。確かに女の子としては受け入れがたく拒絶したくもなるだろうが、それが淳二を傷つけた事実で…
[一言] あらら主人公には伝えるとこまで連れてってもらってたのに 主人公が伝える前に切っちゃってるね〜 やはり子は親の背中を見て育つのかな 幼馴染両親の反応もちょっとだけ気になるな
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