九話 底知れぬ腹の内
投稿は元から不定期の予定なのであしからず....いや、ゴメンナサイ(^~^;)ゞ
「はぁ、初めまして。僕は木崎──」
「木崎淳二、山稜高校一年15歳。誕生日は12月31日で、強制性交等罪で2年間の少年院収監が決定している、ってところかな。」
「─────。」
出会い頭早々に、俺のことをスラスラと明かされる。面識などすれ違ったことがあるかないか程度のはずなのに、調べ上げられているという事実に思わず驚きが顔に出る。
「───他人の部屋に入ってきていきなりそりゃ不躾ってもんだろ。何しに来やがった、織風。」
「ああ、居たんですか京極先輩。そういえば木崎くんにご執心でしたね。」
「うるせぇ。俺は何のつもりでココに来たのかって聞いてんだ。」
珍しく司が不機嫌な顔になる。二人は面識があるのか、澄ました顔で隠す様子もなく見下す織風に親の仇を見るように睨む司の構図が出来ている。
「別に構わないでしょう?ここは木崎くんの部屋だ。僕は単に仲良くしたいと思って交流しに来た、ただそれだけの話です。」
「その割には色々と嗅ぎ回ってるじゃねぇか。テメェのコトはひた隠してる癖にな。」
「仲良くなれればちゃんと僕のコトも教えますよ。未だに何も教えていない先輩とは違ってね。」
「っ、テメェどこまで知って───」
「やめろ司。監督官に聞かれたら面倒だ。織風君も余計な面倒事を起こさないでくれ。」
まさに、一触即発といった雰囲気をなんとか宥める。犬猿の仲とはまさにこんな感じだろうか。
「色々聞きたいから一旦司はどっか行っててくれ。織風君と二人で話がしたい。」
仲の悪い織風と司が話の場に居れば何かしらのいざこざが起こる可能性がある。何より、司に対して未だに完璧な信頼を得られていない以上、不用意に俺に関することを、織風は勿論司にも教えたくはない。
「は?なんで俺がいちゃ駄目なんだよ。別に──」
「行かなかったら部屋に押しかけられてるって監督官に報告するぞ。」
「ちぇ!わーったよ!今日はもう帰らぁ!」
不満げにドアを開けて出ていく司を見送り、ドアを閉める。振り返ると、勝手に学習机の椅子に座る織風の姿が目に入った。
「結構、勉強してるみたいだね。」
「──なんでそう思った?」
「この学習机を見ればすぐ分かるとも。机の周りには拾いきれていない消しカスもある。流石総合成績順位第3位なだけはある。」
「1位に言われてもあんまり嬉しくないな。」
「はは、確かにそうだ。ゴメンね、馬鹿にしたつもりはないんだ。」
そう言いながらも、部屋の観察を止めない織風。視線が常人では気付かない程度に部屋を舐め回している。
「別に構わない。けど、部屋を舐めるように見渡されるのは少し気分が良くないな。」
「おっと、気付かれてたのか。ごめんね、人間観察が癖で。」
「御託は結構だ。なんで俺のことを調べ回ってるか教えて用件を話してくれ。」
織風から感じる得体の知れない寒気に、見透かすような視線。ボロを出す前に話を切り上げなければ面倒なことになると直感が告げている。
「つれないなぁ。そう邪険にしなくたって良いじゃないですか。きっと君にとって悪い話じゃない。」
「───どういうことだ?」
入室早々に俺のことをスラスラと調べ上げたように俺の情報を晒したのは小手調べも含めた牽制だろうと今気付く。向こうからある程度『知っているぞ』と明かされた上、どこまで情報を掴んでいるのかが分からない以上下手な発言で優位性を奪われかねない。
(最初の発言でアイツが俺についてどこまで知っているのかがはっきり言われてない以上、向こうの言い分からどこまで掴まれているのか探りながら───)
「君、今すぐに出所させてあげよっか?」
「───は?」
いやっはぁ過去編じゃなくてもう少年院編だなこれ。うん、第一部、少年院編ってことで(^∇^)




