ショッピング
「ふーん、順調みたいじゃない」
「うん、まあね」
「浮かない顔して帰ってきたから何事かと思ったわよ。」
今日は麗の買い物に付き合ってショッピングモールだ。
服やらコスメやらを見る麗についていき、時に着せ替え人形のようにされるのがいつものことだ。
「嫌なことされたらお姉ちゃんに言うのよ?使い物にならなくしてあげるからね」
本当にやりそうで怖い。
「優しいよ。大丈夫」
「何よ、大丈夫って。不安があるなら直接本人に聞きなさいよー?」
「不安?」
「不安です自信ないですって顔に書いてる」
そうか、不安なのか。
告白されて、健太郎の気持ちも信じられないし、自分の気持ちもわからないまま押し切られる形で付き合って。
嫌いではないし、一緒にいたら楽しい。
でも、このままこの関係を続けて行っていいのかはずっと考えている気がする。
「昔っから優は思ったこと言わないからね。あたしと愛がワガママなせいだと思うけどさ。あーごめん電話だ」
プルルと麗のスマホが鳴って、麗はお店を出て電話に出た。
手持ち無沙汰になった優は外のベンチで待つことにした。
「あれ、優?」
聞き慣れた声が聞こえて振り返ると。
「健太郎。奇遇だね」
「優は1人?」
「ううん、姉と買い物に来たの」
「へぇ、お姉さんと」
「うん、健太郎は?」
健太郎の返答を聞く前に、麗が戻ってきた。
「ごめーん優」
「行くの?」
「うーん急ぎじゃないけど、戻るね。って、気付かなかった。ごめんなさい。こんにちはー姉の麗です。優のお友達?彼氏さん?」
麗は隣に立つ健太郎に気付くと、よそ行きの顔で健太郎に挨拶をする。
「こんにちは、土屋健太郎といいます。彼氏です。…一応」
「ふーん」
笑顔で健太郎を値踏みするような視線を送る麗に優はハラハラした。
そして何を思ったか、ニコッと笑顔を作って、
「優と一緒にアルバイトしてるのよね?今度遊びに行くわね」
こんなことを言い出した。
「ちょ、麗ちゃん!」
「はい、お待ちしてます」
「うふふ、では急ぐのでまた!」
ニコニコと上機嫌で、嵐のように麗は去っていった。