表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

side みのり

男が放っておかないだろうに。

と、思うのは同性だからなのか。


「彼氏?いない、いない。みっちゃんは?」


謙遜ではなく、「いるわけないでしょ私なんかに」というニュアンスで手を振る優。


テキパキと、そして丁寧に仕事をこなし、後輩へのフォローもマメだ。

困っているとフォローをしてくれるのはほとんど優だった。次点で健太郎。


お店のみんなが冷たいわけではなく、優の人が困っているときの察知能力が高いんだと思う。


なんでそんな自己評価が低いんだろうと思っていた。

チーフやバイト仲間からの信頼とギャップがある気がする。



健太郎は片想いと言っていたが、優も健太郎のことが好きだと思うのだ。

普段の反応を見ている限り。


あからさまな態度ではないが、健太郎は優を好きなことを隠していない。

あまり仲良くなければ気付かないかもしれないが、チーフや長年一緒に働いているスタッフはだいたい察しているように思う。


だからこそ、優がそれに気付いていないのが不思議だった。



そして、お店に遊びに来た優の姉妹を見て、納得した。

ああなるほどねと。

姉妹と仲良いことは会話から察しても、どういう人なのか掴めなかったのはそういうことだ。


派手な姉と妹だ。

華やか。容姿も、おそらく能力もずば抜けている。


優も一般的に言えば整った顔立ちだと思うが、派手さはない。

さらに言うと、性格の良さ補正で可愛く見えるタイプという感じ。


面倒見のよさや要領のよさ、フォローのきめ細かさ、人当たりのよさ。

優のよさは、姉と妹のそれと比べると、地味なのかもしれない。



勘の良さゆえに、物心つく頃からいろんな恋愛のキューピッドになったりとか気を遣ったりとかしてきたみのりだが、


「健太郎さんと優さんは上手くいってほしいなぁ〜」


こんなこと思うのは珍しかった。


おそらく健太郎が押し切る形で付き合ったのだろうが、その報告も嬉しかったし、帰る2人が手を繋いだり、優が照れたように赤くなったりしているのを見るのも、ニヤニヤしながら応援していた。



優本人が、自信を持てればいいんだろうが、こればっかりは、本人の問題だ。


おそらくみのりが何かを言ったところで変わるものでもない。


だから、ヤキモキするのだが。




とりあえず、


「健太郎は、私より、みっちゃんと仲良いと思ってたんだけど」


という的外れな一点だけは、似たような片想いをしているある種同盟みたいなアレなので、気が遠くなる思いで全力で否定しておいた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ