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雑貨屋さん



ーーー神様はなんて残酷なのだろう。


病み上がりなんだし、寄り道などせずに家に帰ればよかったのだ。

優はどこか冷静にそんなことを考えていた。



足元が崩れるような感覚というのはこういうことなのだろうか。


女の子の好きそうな可愛らしい雑貨屋さんで仲良さそうに並んで小物を手に取っていたのは。

可愛いと評判の制服を身に纏って花が綻ぶような笑顔とともにサラサラの長い髪を揺らす愛と、シンプルなシャツを着こなす精悍な顔立ちの健太郎。

誰が見たってお似合いと、そう言うだろう。

男の人が入りそうにもないそのお店でも、かえって彼女の買い物に付き合ってあげる優しい彼氏に見える。


まさか、そう思うのと同時に、納得してしまっている自分もいた。

優が隣にいてどう頑張ってもあんな理想のカップルには見えないから。


それ以上見ていられなくて、優は踵を返すと走り出していた。


いつでも買いに行けるよう買い物になんて、行かなければよかったのに。


乱暴にドアを開けて自分の部屋にも鍵をかけた。


途端にぽろぽろと流れだした涙はクッションに隠した。


健太郎の言葉が嘘だったとは思わない。


優だって男だったら麗みたいな美人や愛のような可愛い子と付き合いたいと思うだろう。少なくとも優のような何の取り柄もない冴えない女など彼女にしたいと思う人なんているわけない。


あんな風に、可愛く生まれてくればよかったのだろうか。

あんな風に、甘え上手になればよかったのだろうか。


それを考えても仕方ないと、優が一番よくわかっているのに。


息が、うまく吸えない。



ーーー愛が帰ってくる時間までには夕飯を作って、笑って迎えなきゃ。何も知らない顔をして。



今日は、何を作るつもりだったのだろう。もうそろそろお米をとがないと間に合わないのに。



ーーー泣き止まなきゃ。泣き止んで、笑わなきゃ。



手をきつく握りしめる。




ーーーできるでしょ?だって、今までだってそうしてきたはずだもの




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