カオス
「ごめんねー?愛ってば、優にべったりだから」
「仲良いですね。この前お会いしたとしたときも思いましたけど」
「そうみたいだね。父が海外転勤で、母が子ども置いてマイペースに着いてったりするような家だから、結束力?みたいなのはあるよね。愛にしたら、優がお母さん代わりみたいな?」
「麗ちゃん!余計なこと言わないで!!」
リビングでペラペラ楽しそうに話をする麗。話を聞く健太郎。
カウンターに座って数学の宿題を解いている。
そしてその機嫌の悪い愛に、わざわざ話しかける麗。
「ねぇー優ちゃんここわかんないー全部わかんないー」
「後でね。ちょっと待って…」
優は仲裁するのもめんどくさくなり、キャベツを刻む。急な来客でメニューを考え直すのも一苦労なのだ。
そんな中、構ってほしいモードの愛。
「愛、健太郎くんに教えてもらったら?ねぇ?現役大学生だよ?」
「む。やだ。」
「健太郎くんが、優に相応しいか見定めてあげたらいいじゃん?」
「ちょっと、麗ちゃん、いい加減に…」
消しかける麗。
これ以上へ流石に健太郎に悪いと思い、優が止めに入ろうとすると。
「わかった。ここ、教えて」
愛はガタンと立ち上がり、健太郎の横に座る。
キッと健太郎を睨みながら。
「もう、愛、健太郎に悪いから。宿題は後で…」
「いいよ、優。俺が急にお邪魔したのが悪いんだし。数学くらい教えるよ。どこがわからないの?」
ニコニコと健太郎がそう言うので、優は諦めの境地だ。
敵対心を隠さない愛と、丁寧に数学を教える健太郎。
それを横目にスマホをいじる麗。
優は頭痛を感じながら、もうなるようになれと、料理に集中することにした。




