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ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~  作者: あきさけ
第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める 第4章 砦内部侵入
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93. 地下施設完全制圧

 スネイルさんが蹴り開けた扉はなかなかの厚みがある鋼の扉だった。

 それでもスネイルさんは、扉の中に飛び込むと、手近な位置にいたオークアサシンを1匹始末したんだからすごい。

 私も続いて入ったんだけど、やっぱりオークバーサーカーがいた。

 それも2匹。

 ああ、もう、面倒くさい!

 とりあえず相手の動きが止まっている間に1匹目を倒してしまい、2匹目の懐まで飛び込んだ。

 それに気がついたオークバーサーカーは間合いを取ろうとするけれど逃がさないもんね!

 体にダガーを突き立てると《魔爪刃》の効果で体ごと引き裂いてやり、2匹目も終了。

 残りは……。


「終わったわよ。シズクさん」


「え?」


「あなたがオークバーサーカーの相手をしている間にすべてのオークを始末し終えたわ」


「は、早い……」


「それが暗殺特化の隠密行動部隊だもの。あなただってオークバーサーカー2匹をこの短時間で仕留めるなんてなかなかのものよ」


「ありがとうございます」


「さて、それじゃあ、オークの死体とかこいつらが作っていた武器や鉱石を回収してもらえる? 私たちじゃなんなのか判別できない鉱石も多いのよ」


「わかりました。すぐに回収しますね」


 こうして回収して歩いたんだけど、オークバーサーカーの装備は相変わらずオリハルコンだし、オークアルケミストが作っていたと思われる金属にはオリハルコンやガルヴォルン、ミスリル、アダマンタイトが大量に含まれているし、オークブラックスミスが作りかけていた武器だってオリハルコン製。

 オークども、どこまで戦力を増強するつもりだったの!

 本当に秋まで待っていたらアイリーンの街が攻め落とされていたじゃない!


「シズクさん、悩ましげな顔をしてどうしたの?」


「オークブラックスミスが作りかけていた武器はオリハルコンの武器です。オークアルケミストの作っていた鉱石の中には大量の魔法金属類やアダマンタイトが含まれています。正直、いま攻め込んでいなかったら、装備の質だけで押し負けていました」


「……サンドロックギルドマスターの勘は当たっていたということね」


「はい。今月の終わりまで攻め込むのを待たずに正解です」


「次からの部屋も同じ調子なのかしら?」


「おそらくは……」


「上で戦っているみんなが無事だといいけれど」


「そこは皆さんを信用しましょう」


「そうね。そうしましょうか。次、いくわよ」


 次の部屋のバリケードも解除して攻め込んだら出入り口にオークバーサーカーが陣取っていたので、速やかにそれを始末。

 もう1匹か2匹いるかなと思って部屋中を見渡してみたけれどどこにもいないみたい。

 あと、この部屋は私たちが入ってくる出入り口以外、隠し扉も窓もなにもない部屋らしく、逃げ道がないから倒すのが楽だって先輩方は大喜びだったね。

 私も《大地魔法》で出入り口を塞がなくていいから助かるんだけど。


 そうやって次々部屋を攻略していく私たち。

 部屋にいるオークバーサーカーの数は1匹から3匹までと幅があるけれど、かかる時間の差くらいで大した問題でもない。

 私、本当にこの1年間で成長しちゃったなぁ。

 いろんな強敵と戦い続けてきたもんね。


 左側通路の突き当たりまでいったら隠し通路などはないか入念に調べて、ないことを確認したら階段前まで戻り、右側通路の援軍……に行こうと思ったらあちらも終わって帰ってきたところみたい。


『お疲れ様じゃ。そちらも問題なく終わったようじゃの』


「もちろん。そっちは?」


『オークバーサーカーの数が多い部屋は面倒だったわさ』


『あいつら狭いところで斧を振り回すから危ないの』


『《大地魔法》で壁を作っちゃえば安全なんだけどね』


 なるほど、《大地魔法》で壁を作って斧の攻撃を防ぐのか。

 剣だと突き刺されちゃうから意味がないけれど、斧だと石の壁を破壊されるまでは効果がありそう。


『キントキがそちらの倒した獲物も解体していたがなかなかの量だな。これだけの生産能力があれば、あれだけの規模の攻撃部隊というものも納得できるだろう』


『それに魔法鉱石の量もすごかったね。これならアイリーンの街はしばらくは安泰なんじゃない?』


「どうなんだろうね。持ち帰ってサンドロックさんやケウナコウ様と相談かな」


 この魔法鉱石、誰の持ち物になるのかな?

 やっぱり冒険者ギルドかケウナコウ様になるんだろうか。

 ミーベルンの装備用に少し売ってほしいんだけど。


『それにしても今回の戦争だけで魔法金属がたくさん集まったわさ』


『そうなの。ミスリルもオリハルコンもたくさんなの』


『それだけオークアルケミストの力が優秀だったということだろう。ただ、そうなると次の問題が出てくる』


「次の問題?」


 ミネルのいう〝問題〟って聞きたくないなぁ。

 でも聞かなくちゃいけないような気がするし。


『いままで倒してきたオークジェネラルやオークバーサーカーの数が多すぎるのじゃよ。今日、儂らだけでもオークバーサーカーを10匹以上仕留めている。オークジェネラルとて、いままでの累計数は10匹以上じゃ。春頃のアイリーン防衛戦では3匹しかいなかったのにこの差はなんじゃ?』


「砦の防衛だから本気を出している……とか?」


『そこまで単純でもあるまい。もっとわかりやすい理由があるはずじゃ』


『わかりやすい理由、ねぇ。ミネル、それってなに?』


『儂にもわからん。オークの生態にはそこまで詳しくないからな。ともかく、このオークの数は異常じゃ。なにかからくりがあるはず。それを取り除かなければ安心できぬぞ』


 からくりか……。

 サンドロックさんたちがなにか見つけてくれればいいんだけど。

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