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ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~  作者: あきさけ
第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める 第3章 砦攻め開始
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83. 砦門攻防戦

 本営攻防戦があった翌日、早速夜明け前から私たち侵攻作戦部隊は行動を開始した。

 私はキントキに乗って先に偵察へと来たんだけど……うわぁ、オークどもがうじゃうじゃいるよ。

 それも砦門の中じゃなく前にも大量のオークたちが。

 これ、どうやって攻めればいいんだろう。

 戻ってサンドロックさんに報告しなくちゃ。


「シズク、戻ったか。様子はどうだった?」


「門の中だけじゃなく門の外、橋の上や橋の前にも大量のオークが待ち構えています。あれを攻めるのはかなりきついかと」


「橋の前にもか。いよいよあっちも総力戦の様相を呈してきたな」


「そのようです。どうしますか、サンドロックさん」


「とりあえず、俺たちが到着するまでは様子見だ。あちらから攻めてくることはないだろう。あちらの出方をうかがい、こちらの出方を考える」


「わかりました」


「じゃあ、お前は目立つから後ろの方で行進に混じっていろ。必要があればまた呼び出す」


「はい。では、失礼します」


 キントキに乗った真っ白な鎧のステップワンダーって絶対目立つよね!

 ともかく、キントキを普通サイズに戻したら、行進する冒険者たちの中盤くらいに混じって歩き始める。

 そして、歩き始めて1時間後くらいに「止まれ」という合図で立ち止まることになった。

 ついでに、私もすぐ呼び出されることに。


「シズク、あれがお前の見た一団か?」


「え? ああ、いえ。私が見たときは普通にこちらを向いて盾と槍を構えているだけでしたが」


「ファランクスを整えてやがるじゃねえか」


「〝ふぁらんくす〟?」


「ん? ああ、重装歩兵と鎧、長槍を使った突撃戦法だ。装備の色からしてすべて魔鉄合金。さすがにあれを使われると、冒険者側の被害がでかくなりかねん」


「それで、私はどうすれば?」


「お前、砂嵐の魔法を使えただろう? あれで相手だけ目潰しをできないか?」


「うーん。できるの、モナカ?」


『《砂魔法》では難しかったわさ。《灼砂魔法》に強化されてからはできるようになったわさよ』


「……とのことです」


「よし、その言葉、信じるぞ」


『シズク、《灼砂魔法》をセットするわさ。わちの魔力ではすぐに魔力切れになってしまうのだわさ』


「いいけど、私もあまり魔力には」


『僕がシズクの消費した魔力を回復し続けるから平気だよ』


「あ、そういえばそうだったね」


『シズク、準備を急げ。双方、激突寸前じゃぞ』


「わかった。適切な魔法は……《灼陽の砂嵐》!」


「Buhi!?」


「Booo!?」


 私が放った《灼陽の砂嵐》の効果でオークどもが熱砂と熱い陽光であぶられていく。

 その結果として、もたらされるのは……。


「Bo!?」


「Buhii!」


「よし! いまのうちに攻め込んでください!」


「お、おう。なんで、あいつらは盾と槍を放り捨てたんだ?」


「理由はあとで説明します! あと、落ちている装備や、オークたちの装備には極力触らないようにお願いします! やけどしますので!」


「わ、わかった。お前らいまが好機だ! 一気に攻めるぞ! ただし、オークどもの装備品には極力触るな! やけどをするそうだ! いくぞ!」


 装備が熱くて手に持てなくなったところを強襲する冒険者たち。

 魔鉄の鎧もかなり熱でやられているから、動きづらそうでどんどん首をはねられていくね。

 私は、魔法の維持で精一杯だから動けないけど、先輩方の活躍をここで見守らせてもらおう。

 ……あ、《存在判別》に反応。

 オークアサシンだ。

 モナカがすぐに倒して終わりだけど。

 今度はオークレンジャーか。

 ボルトは刺さらないし無視してモナカに任せよう。

 私の集中が途切れちゃうと《灼陽の砂嵐》も消えちゃうから。


「シズク、終わったぞ」


「あ、サンドロックさん」


「お前の魔法、凶悪になってやがるな。物珍しさで槍を拾おうとしたやつがやけどをしそうになっていたぞ」


「オークの槍って手元まで金属でしたからね」


「で、一体どういう魔法なんだ、あれ」


「《灼陽の砂嵐》ですか? 《大砂嵐》の砂に高熱を与え、砂嵐に巻き込まれている対象に対してものすごく強い日の光が差し込むようになる魔法です。それこそ金属が溶け出しそうなくらいの」


「お前もお前の仲間(ペット)も凶悪な魔法を使えるようになってきたな」


「ええ、まあ。ただ、魔力消耗が激しいので、常にキントキから魔力補給を受け続けていないといけないんですけどね」


「なるほど。この規模の魔法を使っている間、お前は戦力外か」


「そうなります。申し訳ありませんが、私が魔法を使うときは戦力に計算しないでください」


「こんだけの魔法が使えれば十分な戦力だ。途中狙われなかったか?」


「オークアサシンとオークレンジャーが来ましたけど、モナカがすぐに倒してくれました」


「そうか。まずは、キントキでもお前でもいいから戦利品を回収してくれ。それが終わったらまた俺たちは砦門前から一旦離れる」


「わかりました。すぐに回収してきます」


 キントキは抱きかかえたままだから、私ごと移動して解体と回収を行って回った。

 さすがに魔鉄合金だから歪んではいないみたいだけど、相当熱そう。

 誰も触りたがらなかったものね。


 さて、先輩方が退避したのを確認して私たちも退避し、《灼陽の砂嵐》を解除する。

 そうすると、砦の壁にはたくさんの魔法使いや弓兵が並んでいたよ。

 砂嵐を先に解除していたら蜂の巣だったなぁ。


「ご苦労、シズク。さて、今度は壁の上のあいつらを始末しなくちゃいけねぇ。なにか手段は?」


「ええと、ミネルから《嵐魔法》を借りることができます! それでならいけるかと」


「《嵐魔法》とか物騒な魔法を覚えやがったな、あのフクロウ。だが、注意を引きつけてくれるには十分か。シズクは《嵐魔法》で壁の上にいる弓兵や魔術士どもをなんとかしてくれ。その間に俺とデイビッドで正面を守っている部隊をこじ開ける」


「わかりました。無茶しないでくださいね!」


「おう。……それにしても、お前、魔法を維持している間は妙に無愛想だったぞ?」


「いや、魔法の維持に集中しないと途切れちゃうので……」


「なるほど。とりあえず、壁の上の掃除を頼む」


「はい! ミネル!」


『心得た。《嵐魔法》は《灼砂魔法》以上に魔力消費が激しい。強力な魔法一発で勝負を決めよ』


「了解!」


 さて、《嵐魔法》で使えそうな魔法は……あった、これならいけるよね。

 この辺の魔法も勉強して手数を増やさなくちゃいけないけれど、しばらくはミネルやキントキ、モナカにシラタマの知識頼りかなぁ。


「それじゃあ、いきます。サンドロックさんもデイビッド教官も突撃準備を!」


「おう!」


「任せろ!」


「では《トルネードセイバー》!」


《トルネードセイバー》は複数の竜巻を巻き起こし、相手を吹き飛ばしながらバラバラに切り刻む《嵐魔法》。

 今回は壁4面にいるオークどもを全部吹き飛ばすために4つの竜巻を発生させたよ!

 魔力切れの強いめまいが襲ってきたけど、キントキがすぐに回復してくれたからなんとかなったしね。


「はー、頼んだ俺が言うのもなんだが、派手な魔法だぜ」


「対軍級魔法とさえ言われていますからね。さて、我々も一仕事です」


「わかってるよ、デイビッド!」


「シズク! 竜巻はあのまま維持を頼む!」


「了解です」


 サンドロックさんとデイビッド教官は砦の門から突撃していき、門の中で待ち構えていたオークたちを撃滅していったみたい。

 もっとも、そこにいたオークたちも《灼陽の砂嵐》の影響を受けていて武器もまともに持てない状況だったらしいけど。

 そのまま、先輩方は砦内へと侵入、応援として出てきたオークたちもなぎ払い、中庭を確保したようだ。

 私は、竜巻の維持で歩くことしかできないけれどね!

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