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ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~  作者: あきさけ
第1部 〝ペットテイマー〟ここに誕生 第2章 アイリーンの街で冒険者になりたいな
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6. 冒険者ギルドへ

「シズクちゃん、よく眠れた?」


 メイナさんの店舗兼住宅、メルカトリオ錬金術師店で一晩お世話になった私は元気いっぱいです!

 宿よりも寝心地がよかった!


「はい! ありがとうございます、メイナさん!」


「よかった。簡単なもので悪いけれど、朝食も用意したから食べていってね」


「朝食まで用意してもらうなんて悪いですよ!?」


「うふふ。もう用意が終わっているから食べていってね?」


 メイナさんには勝てそうにないなぁ。

 多分、しばらくお世話になりそうだし、ウルフ肉くらいお裾分けしよう。


「ごちそうさまでした」


「お粗末さまでした。シズクちゃん、今日はどうするの?」


「冒険者ギルドに行きます。今日こそ冒険者になってみせる!」


「ええ。頑張って。そういえば、キントキちゃんの食事は用意しなくてもいいって言われたから用意していないけど、本当にいいの?」


「はい、私が用意できますから」


「なるほど。それじゃあ、気をつけて行ってきてね。それから、冒険者ギルドの用事が終わったら、一度帰ってきてもらえるかな? 〝ペットテイマー〟なら解決できるかもしれないから」


「解決……ですか?」


「うん。ちょっと心配なことがあるのよ」


「それ、先に片付けた方がいいんじゃ……」


「でも、冒険者ギルドの新人登録試験は朝早い時間にしかやっていないでしょう? だからそのあとでも大丈夫よ。先に冒険者ギルドへ行ってきて」


「は、はい。わかりました」


 メイナさんの悩みってなんだろう?

 私なら解決できるかもしれないって?


 ともかく、装備を調えてからメルカトリオ錬金術師店を出てミネルがいる裏手の木のところまでやってくる。

 そこでミネルとキントキの朝ご飯も食べさせてあげて準備は万全!

 いざ、冒険者ギルドへ!


 と、思ってやってきたんだけど、やっぱり冒険者ギルドって怖いなぁ。

 みんな、体格もいいし私みたいな弱々しい装備でもないし……でも、登録すらできていないなら仕方がないよね!

 今日も受付のリンネさんのところへ行こう!


「いらっしゃい、シズクちゃん。今日も新人登録試験?」


「はい! 今日こそ受かってみせます!」


「無理はしないでね。……ところで、あなたが抱きかかえている子犬と肩の鳥は?」


「私のペットです!」


「そういえば、あなたの『天職』って〝ペットテイマー〟だったわね。〝ペット〟って小動物のことだったの?」


「らしいですよ」


「それならそれでいいのだけれど……怪我はしないようにね?」


「はい!」


 リンネさんに受験料を支払ったら控え室で順番を待つ。

 といっても、私がここにいるのはもう1年ほぼ毎日の常連なのでとても目立つ……というか、「ああ、またいるんだな」程度にしか思われていない。

 でも、今日は勝算があるもん!

 全部、ペットから借りる力だけど……。


「さて、試験開始時間だ。名前を呼ばれたやつから順に訓練場に来い」


 今日もいよいよ新人登録試験の開始時間がやってきた。

 この1年お世話になっているデイビッド教官からは、私が小動物を連れていることが不思議に見えているんだろうけれど……今日は違うからね!


「今日の1番手は……シズクからか。ずいぶん早く来て申し込んだんだな。普段はもう少し遅いのに」


「はい! 今日は自信がありますから!」


「そうか。手加減はしないから覚悟しておけよ。こちらとしても、半端な実力の者を冒険者として認めることはできない。余計な死者を出すだけだからな」


「もちろん、大丈夫です!」


「わかった。訓練場までついてこい」


 新人登録試験は訓練場で観客も入れずに行われるんだよね。

 新人の手の内をいきなり人前にさらすのはよくないからって。

 さて、今日のプランはもう考えてあるし、頑張るぞー!


「さて、これから試験開始だ。いつも通り先手は譲ってやる。好きなようにかかってこい」


「はい! 行きます!」


 私はいきなり飛びかかる……フリをしてミネルから借りた《静音飛行》を使い、空高く舞い上がった。

 さすがのデイビッド教官もこれには不意を打たれたみたいで隙ができたよ!


「《魔の鉤爪》!」


「ッ!?」


「あっ!?」


 完全に不意打ちになったはずの《魔の鉤爪》がかわされちゃった!?

 やっぱりデイビッド教官って強い!


「……なるほど。それが〝ペットテイマー〟、本来の能力か。これは油断していたら大怪我をしそうだ」


「デイビッド教官こそ、いまのをよく避けられましたね?」


「長年実戦を積み重ねてきてそれから教官になったんだ。不自然な魔力の歪みくらい気がつく」


 なるほど、《魔の鉤爪》ってそういう弱点もあるのか。

 デイビッド教官との訓練はためになるなぁ。


「さて、今度はこちらから行かせてもらうぞ。《スプレッドファイア》!」


「ふぇ!? ちょ!?」


 デイビッド教官から飛んできたのは〝火の雨〟だった。

 さすがにこんなのをまともに受けたら大やけどだから飛んで回避したけれど、逃げても逃げても火の雨は飛んできて……回避しかできない!


「空に逃れたからといって油断するな! 相手が飛び道具や魔法を使える場合、狙い撃ちにされるぞ!」


「は、はい!」


 ようやく火の雨も止み、今度はこちらから反撃できる体制が整った!

 今度はこっちが魔法攻撃をする番だもん!


「《ロックミサイル》!」


「ほう。《土魔法》まで使えるのか」


 私が放った岩の弾丸はデイビッド教官に簡単に砕かれて……やっぱり強いよ!


「ふむ。いろいろ多彩だな。それが〝ペットテイマー〟の能力か。さしずめ、お前が連れている小動物の力を借りることができる『天職』とスキルといったところだな」


 なんでいまのやりとりだけで私のスキルがばれちゃうの!?

 デイビッド教官って一体何者!?


 ともかくデイビッド教官に勝たないと冒険者になれないんだから、今度は《魔の鉤爪》と《土魔法》を併用して……ってあれ?

 段々地面が近づいてきているような……?

 近づいているんじゃなくて、私、落ちていってる!?


「ぎゃふん!?」


 なんとか、抱えていたキントキを逃がすことは成功したけれど、体をしたたかに地面へと打ち付けてしまった……。

 ものすごく痛いし、めまいもするし、気持ちも悪い……。


「なるほど。力を借りている間は常に魔力も消耗するのか。これから戦うときは借りている力を過信せず、自分の魔力量を把握しながら戦え。それから、最大魔力量の向上にも励むように」


「は、はひ……」


「動くのも辛そうだな。医務室まで運んでやるか」


 私はそのままデイビッド教官の肩に担がれ、冒険者ギルドの医務室に寝かされました……。

 そっか、空を飛んだり魔法を使ったりしたら魔力を使うよね……。

 ステップワンダーって基本的に魔法を使えないから魔力量もほとんどない。

 メイナさんなら最大魔力量の上げ方も知ってそうだし、教えてもらおう……。

 とりあえず、いまは……寝る。

 気持ちが悪い……。

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