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ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~  作者: あきさけ
第1部 〝ペットテイマー〟ここに誕生 第4章 秋の訪れ、少しずつ強く成り行く私とペットたち
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17. 秋2カ月目、今日もまた異常はなく

 先月は〝ゴブリンの森〟で大討伐とかがあったけれど、今月は静か。

 ただ、〝ウルフの林〟からは完全にウルフが姿を消し、薬草類の採取だけになった。

 去年のこの時期は……怯えながら〝ゴブリンの森〟でウルフ狩りをしていたっけ。


 そうそう、薬草の群生地周辺を調べてみたら毒消し薬の素材になる薬草や魔力草もたくさん生えていてそれらもお土産として持ち帰ることにしたんだ。

 お金は受け取らずにウエストポーチ代にしてもらっているけれど、たまに新しい治療薬をもらってるし、メルカトリオ錬金術師店って大丈夫かなぁ?


 さて、今日も〝ウルフの林〟を出て〝ゴブリンの森〟へ侵入。

〝ゴブリンの森〟の浅い場所しか立ち入ることは許されていないけれど、それでも〝ゴブリンの森〟にはたくさんのウルフがいる。

 その多くが5匹から7匹の群れだから去年は本当に大変だったなぁ。

 はぐれているウルフを見つけたら、素早く倒して撤退して……を繰り返していた。


 今年は頼りになる仲間(ペット)もいるし、私の装備も強くなっているから大丈夫なんだけど、それでも怖いものは怖い。

 押し倒されて、喉笛をかみ切られたら死んじゃうからね。

 そこも守れるような装備がほしいけど……難しいよね。

 ともかく、今日もウルフ退治のお仕事、頑張りますか!


「みんな、いくよ」


『任せい』


『うん』


『わちもいくわさ』


『あたちも』


 ペットたちも毎日三食きっちりご飯を食べているからとっても強くなった。

 いまならスキルを使わなくてもウルフに勝てるくらい。

 危ないから必ずスキルを使わせているけれどね。


「まずは《魔の鉤爪》でウルフの頭をグシャってやって」


 私のスキルもかなり練度が上がってきている。

《魔の鉤爪》もかなり短時間で潰せるようになってきているし、毎日の勉強で各種魔法も種類が増えているんだ。

 特に、目潰しの《サンドスプラッシュ》と目くらましの《砂嵐》しかなかった《砂魔法》に攻撃手段が増えたのは嬉しいかな。


「うん。ウルフが混乱している。いまのうちに倒しちゃおう」


 私は《砂魔法》の《サンドスラッシャー》でウルフ2匹の首をはね飛ばした。

 ミネルは《魔の鉤爪》でウルフ2匹の頭を潰したし、キントキは《土魔法》の《アースニードル》で1匹のウルフの頭を串刺しに、モナカは《高速移動》で瞬時に近づいて《魔爪》を使ってウルフ2匹の首を切り裂いておしまい。

 シラタマは……《超跳躍》からの《パワフルキック》で頭を潰そうとしていたんだけど、その前にウルフが全滅しちゃったから普通に着地しちゃったね。

 ごめん、シラタマ。

 活躍の機会を奪っちゃって。


『さて、血の臭いで他のウルフが集まってくる前に解体をして逃げるぞ』


「うん。急ごう、キントキ」


『わかった』


 私とキントキの解体魔法(ディスアセンブル)も進化して複数の対象を同時に解体できるようになった。

 それを使って急いでウルフを解体し、《ストレージ》に格納。

 他の子たちが周囲を警戒してくれている間にこの場から離れて様子を伺うことにする。


『血の臭いに釣られて他のウルフどもが集まって来たな。数は7匹。潰すか?』


「うん。倒して持ち帰ろう」


『心得た。皆も抜かるなよ』


 こうやって最初に倒したウルフの臭いを餌にたくさんのウルフを呼び集める。

 今日は50匹ちょっと倒したところで撤収することにした。

 それにしても〝ゴブリンの森〟ってどうしてこの季節でもウルフがいるんだろう?

 確か、冬に来ても〝スノーウルフ〟じゃなくて〝ウルフ〟のままだし。

 モンスターの生態系ってよくわかんない。


 狩りが終わったら今日もアイリーンの街に帰還し、まずはミノス精肉店でウルフ肉の換金だ。

 でも、毎回思うけれど、40匹や50匹分のウルフ肉って毎日売りさばけているのかなぁ?

 今日はちょっとタウルさんにそのあたりも聞いてみよう。


「うん? 毎日ウルフ肉が売り切れているのかって?」


「はい。去年はあまり狩れなかったから大丈夫だったと思いますが、今年、特に冒険者になったあとはたくさん売ってますよね? 大丈夫なんですか?」


「あー……それなんだがな。実は、他の精肉店にも売ってるんだわ」


「他の精肉店にも?」


「ああ。もちろん、シズク嬢ちゃんから買い取った値段に価格を上乗せして売るなんて阿漕(あこぎ)な真似はしてないぞ?」


「ああ、いえ。タウルさんに売ったあと、どのように扱ってもらっても構わないのですが、そんなにこの街でウルフ肉って不足しているんですか?」


「不足しているというか、ある程度ならあればあるだけ使うってところだな。やっぱり、安くて美味い肉って言ったらこの辺じゃウルフ肉だろう? それが鮮度もいい状態で安く手に入るんだから俺の店は繁盛していたわけだ。シズク嬢ちゃんが来てからは特にな」


「そうだったんですね。冒険者じゃないのに、たくさん買ってもらえるから日銭を稼ぐのに助かる程度しか考えていませんでした」


「それくらいで丁度いいさ。ともかく、シズク嬢ちゃんの肉はその日の捕りたてだから鮮度もいい。ウルフ肉は熟成させちまうと臭みが出るから、鮮度がいい方が売れるんだよ。ともかく、シズク嬢ちゃんは気にせずバンバン売りに来てくれ。1日百匹とか狩るつもりはないんだろう?」


「はい。50匹程度でやめるつもりです」


「それくらいなら大丈夫だ。気にしないで売りに来てくれ」


「ありがとうございます。ということはウェイド毛皮店のドネスさんも同じ感じなのかな?」


「多分そうだと思うぞ。この先の季節は防寒具としても使うようになるからな。夏場だって雨よけに使うし、毛皮店同士で譲り合ってたんじゃないか?」


「そうですか。そうなると、いろんなところに売りにいくべき?」


「やめとけやめとけ。売り歩くのも大変だし、下手すりゃ足元を見られて安く買い叩かれるぞ」


「それもそうですね。タウルさんやドネスさんくらいの買い取り価格がちょうどいいです」


「そう言ってもらえるとこっちも嬉しいな。さて、そろそろドネスのところに行った方がいいんじゃないのか?」


「あ、そうですね。タウルさん、今日もありがとうございました」


「おう、気をつけて帰れよ!」


 そっか、私の集めていたお肉や毛皮っていろいろなところで使われているんだ。

 それなら集めすぎの心配もしなくていいかな?


 さすがに1日50匹以上倒すのは疲れるから嫌だけど……。

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