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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
小さな龍のレクイエム<セレシア視点>
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95話 お披露目と襲撃

 パレードの日がやってきた! 今日は僕がサクラの頭の上で寝てるのがお仕事だね。よく分かんないけどそれだけで国民が喜ぶらしい。変なの。……はっ! 僕が可愛いから見たいのかな? それなら仕方ないね!


「突然くふくふしてどうしたの?」

「幸せな妄想をしてるだけよ。そっとしておいてあげましょう」


 カティ? どういうことかな? ジト目を送ると手をワキワキされた。ごめんなさい!


 ぐぬぬ。カティにどうしても勝てない。助けて! 怠惰の大罪(ベルフェゴール)!! ……ふんふん。……ちーん。……諦めましょうって。しょんぼりするとサクラがぎゅっとしてくれたよ! やったね!


 パレードが始まる。最初くらいはと魔動車の上から集まった国民を見るととっても人が多い! なにこれ! みんな暇人なの!?


「暇人じゃなくて今日はパレードがあるからみんなお仕事がお休みなんだよ」

「そうなんだね」


 ふむふむ。……え? 僕の寝顔見るためだけにお仕事お休みにするの? 本当にこの国大丈夫なのかな? ……ふんふん。気にしても無駄? 大丈夫ってことなの? うむむ。怠惰の大罪(ベルフェゴール)使ったのに確信は持てないみたい。…………うん、思考を放棄しよう。僕のポンコツ脳じゃ理解できない世界みたいだ。じゃ、おやすみなさい!


 ―――


 遠くで魔力の高まりを感じて目が覚める。どうやら襲撃されてるみたいだね! サクラも気付いているみたい。協力技で切り抜けちゃおう!


豊穣の神(デメテル)

「アイスウォール」


 一瞬にして植物と氷の壁が出来上がる。襲撃者の攻撃を僕の植物で受け止めて威力を殺し、爆散した植物が下の人たちにぶつからないように氷の壁が受け止める。僕の植物は攻撃が止むまで自動で再生するように創ったからこれで襲撃への対策はばっちりだ! それにしてもこれって……。


「えへへ。サクラと初めての共同作業だ」


 思わず顔がにやける。契約者と力を合わせて使う魔法! ロマンがあるよね! サクラも同意してくれたし、やっぱり僕達は息の合った良いコンビだね!


 僕のテンションが上がって鼻歌を歌ってるとサクラに敵の居場所を聞かれた。どうやら正確な情報を知りたいみたいだね? 僕に任せて! ……ふんふん。


「二時の方向に二人、三時の方向に二人、七時の方向に六人いるよ」

「よし、俺が二時の方向の敵を、レオンが三時の敵を、サクラとセレスは七時の敵を頼む」


 サクラに教えたらレオンの契約者が役割を振り分けた。良くやった! 僕とサクラは同じ方向だね? 張り切っちゃうよ?


 サクラと共に襲撃者の元へ向かう。どうやら魔族みたいだね。一人が逃げそうになったため豊穣の神(デメテル)で捕まえる。よし、これで後は……!? 僕が捕縛した魔族が他の魔族の首を刎ねた。なんで!?


「セレス! 次はただ捕縛したら他の魔族から捕虜を守るよ!」

「うん!」


 サクラの指示に最もだと従う。サクラが魔族の一人を凍らせて捕獲する。すると今度は舌を噛み切って自殺した。なんで!?


「こいつら、意地でも情報を与えないつもりだね……」

「一斉に捕まえようか。自殺しないように意識を落とすのも忘れずにね」


 僕の怠惰の大罪(ベルフェゴール)は範囲攻撃だからサクラも巻き込んでしまう。むむむ。麻痺毒で動きを止めるかな……。豊穣の神(デメテル)を使って麻痺針を発射する植物を創る。サクラも氷華の冷気を使って動きを固めようとしている。これなら捕まえられそ う…………なんでよ!!! 僕達が全力で捕まえにかかった瞬間全員自殺してしまった。


「さ、サクラ。どうしよう」

「これは仕方ないよ……。まさか反撃でもなく撤退でもなく即自殺するとは思わなかったもの」


 僕とサクラの二人がかりで失敗するなんて……。


「セレス。食べたら蘇生する木の実は創れないの?」


 サクラが僕の豊穣の神(デメテル)を使った蘇生の手段を聞いてくる。……でも。


「ごめんね? 命の蘇生は僕達にもできないんだ。お母さまも制限付きでしかできない事だし……」


 サクラの期待に応えられなかった……。しゅんとするとサクラが頭を撫でてくれた。


「大丈夫だよ。ライアスかレオンのどっちかが捕縛できてたら問題ないからね」


 むむむ。それはそれでレオンに負けたみたいで悔しいね。でも仕方ないか……。しょんぼりとしつつ二人でみんなの場所へと戻っていった。


 どうやら無事にレオンの契約者が生きたまま魔族の捕縛に成功したらしい。レオンは失敗だって! くすくす。


「お前も失敗してるだろうが」

「いたい!」


 またレオンに拳骨落とされた! サクラ。レオンが酷いの! サクラに告げ口をしようと思ったらサクラが怒られてる……。僕のせいだ。どうしよう。どうしよう!! なになに? 魔族がちゃんと情報を吐くか心配なの? はっ。これなら僕が役に立てるね! 豊穣の神(デメテル)を使って自白作用のある木の実を創る。よし、この木の実(自白剤)をサクラに渡そう。

 うーん。サクラが気付いてくれない。気付いてもらえるようにサクラの足を突っつく。すると僕に気付いてくれたけどくねくねし始めた。サクラ! それどころじゃないよ! 早くこれ使って! 再度足を突っついてから木の実(自白剤)を見せる。


「これは?」

「それ食べると嘘をつけなくなるよ! あと、聞かれたことには素直に答えるようになるの!」


 良かった! ちゃんと受け取ってくれた! うひゃー!! わしゃわしゃまでされちゃったよ!? やったね!? 喜んでたらサクラがどうして木の実を創ったのか聞いてきた。


「どうしてこの木の実を作ってくれたの?」

「さっきはサクラのお願いを叶えられなかったから……。代わりにならないかなって」


 むむむ。本当は命の蘇生ができた方が良かったのかもしれないけど……頼りない神霊でごめんね? しゅんとするとサクラが頭を撫でてくれた。えへへ。

次話は今日の17時投稿予定です


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