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278話 セレスの冒険 上

 新しく生まれたアースフィアの守り神の龍を見て癒される。


「龍馬! 龍馬! 見て見て! 可愛い!」

「そうだな」


 むぅ。龍馬の反応がたんぱくすぎる。

 私は今、地球の管理者(龍馬)を補助するために神界に住んでいる。サクラと龍馬二人の同意を得てアースフィアから移動してきたんだ。

 サクラから耳にタコができるほど聞いていたけど生まれたての神霊がここまで可愛いなんて! ぐぬぬ、誕生の瞬間も見に行けばよかった。


「セレス! こっちを手伝ってくれ!」

「ぬぇ!? ……はーい」


 ずっと神霊を眺めていたかったけど龍馬に呼ばれて断念する。私は神様じゃないから龍馬の手伝いをさぼると神界から追い出されちゃうんだよね。……だらだらしたい。


 龍馬の隣に行くとどうやら地球の日本を見ているみたい。何があったのかな?

 一緒に日本を除くと道行く人々が目に映る。


「あの二人組が分かるか?」

「フードを被ってるいかにも怪しいって人?」

「そうだ。あいつらを懲らしめてくれ」

「あー、分かった。任せて」


 龍馬は神様だから直接地球に干渉することができない。そこで龍馬の代わりに世直しをするのが私の仕事。今回の二人組はどうやら腰に爆弾を巻いてテロを計画してるみたい。

 普段は干渉しない相手だけどわざわざ私を動かすってことはテロに巻き込まれる人の中に世界の今後を左右する重要人物がいるってことだね。しっかりお役目を果たしちゃおう!


 ―――


 東京の近くに降り立つ。何度か降りてるけどアースフィアよりも人が多いね。

 地球はアースフィアと違って魔力がないから私の姿を見られることはないんだ。今日の任務は怪しい二人組が起こすテロを止めること。簡単だね!


 二人組を探して少し歩く。(神界)から見た時はあの辺りにいたから……今はこのあたりにいるはず!


「あれぇ? どこに行った?」


 想定した場所に行ったら二人組が消えていた。おかしいな?

 仕方がないから龍馬から貰ったスマホを開く。スマホは魔力が無くても遠くの人と連絡が取れる神器なんだ! どういう仕組みなんだろう。すごいよね!


「ごめん龍馬! 見失った!」

『……時間をかけすぎだ。三十分前に移動してる』


 のんびりしてないよ! 確かに途中でタピオカジュースのお店見つけて寄ったり、アイスクリーム食べたり具合の悪そうな植物を見つけたからお世話したりしたけど時間はかかってないもん!


「今どこにいるか分かる?」

『現場だな。場所を教えるから今度は寄り道するなよ』


 話が終わると二人の位置、二人の目標地点、制限時間がスマホに表示される。スマホは連絡だけじゃなくて地図も表示できる優れものなんだ!


 スマホを見ながら標的の場所に向かうと誰かにぶつかってしまう。ながらスマホはダメって言われてたのに失敗しちゃった……。

 しょんぼりしてるとぶつかった人が声をかけてくる。


「いたたたた~。これは折れちゃったな~。腕が折れちゃったかもな~。どうしてくれるのかな~」

「こういう時は謝罪するべきだよね~。しゃ ざ い。」

「ごめんなさい。では、急いでるので! ……?」


 ぺこりと頭を下げてその場を去ろうとしたら腕を掴まれた。


「心が籠ってないな~。僕ちん腕折れちゃったんだけど。誠意ってものを示しなよ」

「お金は持ってなさそうだし……体で払ってもらおうかな?」


 びっくりして固まってると私が怖がってるのと勘違いしたのか顔を近づけて大きな声で提案してくる。うるさいっ! 息がくさいっ!


 周りがざわざわし始める。勇気ある何人かが声をあげた。


「お前がわざとぶつかりに行ったのを見てたぞ!」

「女の子脅すなんてさいてー!」


 しかし息のくさい男は周りを睨みつけて大声をあげる。


「うるせえ! てめえらは被害者をせめて加害者を庇うのか!」


 男の声に負けて周りの声が小さくなる。うーん。向こうの人がスマホのカメラ向けてきてる? ビデオ撮ってるのかな? 手を振っちゃお!


「おい貴様舐めてるのか」

「ん? ビデオとってる人がいたから手を振ってみただけだよ?」


 掴まれてない方の手を振ると男が何するのか聞いてきたから答えると舌打ちをして手を放してくれた。良かった。


「あ? ちっ。行くぞ」

「う、うす」


 私が目をぱちぱちさせていると二人の男はどこかへ去っていった。何がしたかったのかな?

 改めてスマホを確認しようとすると身なりの良い女性が声をかけてきた。なんだかかっこいい人!


「大丈夫ですか? 何もされてませんか?」

「へ? あ、はい。私は何も……あ!」


 スマホを確認すると標的の二人が目標地点に到達していた。どうしよう! 時間もないじゃん!

 私の慌てた様子を見たお姉さんが私の肩を掴む。


「何かされたんですね? 私弁護士をしているの。相談があったらなんでも言ってちょうだい」

「今。なんでもって言ったよね?」


 私が思わず聞き返すとお姉さんの頬が引きつった気がした。

次話は明日の17時投稿予定です


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