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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~幻想都市編~
273/292

262話 桜の魔力

 無事にカトレアちゃん達を元の世界へと戻し一息つく。


「セレスありがとう。お疲れ様」

「ううん、余裕だったよ! どういたしまして!」


 ムスッとした表情でアービシアの隣に座ったジークと裏腹にニコニコとした表情のセレスが私の横に戻る。


「余裕ではなかったろ」

「よゆうでしたー! 龍馬の目は節穴かな? かな?」


 フッと笑う龍馬にセレスが突っかかり始める。どうどう、イチャイチャするのは余所でやってくださいな。


「くっくっく。皆いい仕事をしてくれて嬉しいよ」

「そっちの配下はジークしか残ってないみたいだけど?」

「配下じゃないの」


 こちらの被害も大きかったけどアービシア軍もすでに壊滅状態だ。なのになんで笑っていられるの?


「かまわん。俺の目的はすでに八割がた進んでいる。とても順調だよ」


 チラッと枯れ始めた世界樹を見る。神霊が居なくなった影響で様々な要素が欠落し滅び始めている世界。私の魔力を持ったカトレアちゃんや神霊の契約者達が戻った事で世界の崩壊速度が減速すると思うけど……。


「それにしても全員を死に体の世界に送り返すとはな。余程死んで欲しいのか? くっくっく」

「そんなわけ無いでしょう? 大丈夫。私達の世界は滅びないよ」

「夢を見すぎだ。無理なものは無理、諦めろ」


 アービシアと睨み合う。神界では手を出せないのがもどかしい。


「セレス……。第二ラウンドなの」

「私? 千日手になるからもう嫌かな」


 なぜかセレスに対して敵意をむき出しにしたジークが立ち上がる。セレスは嫌そうな顔をしてるけど私が戦闘できない以上セレスに守ってもらうしか無いんだよね……。

 ごめんね? いつもありがとう!


 ジークも分かっているのか私を狙って攻撃してくる。避けようとするとセレスが私の前に立って攻撃を防いでくれた。


「なんで私にばかり敵対心を持ってるの?」


 セレスがジークに問う。言われてみれば他の神霊に対してよりもセレスに対する態度がきつく感じる。というよりもセレス以外の神霊は興味がなさそうな感じかな?

 ジークは一度セレスを睨んだ後、世界樹に目を向けた。


「お母様はずっとセレスを見てるの。セレスに特別な力を与えたの。セレスの近くにだけはたまに顕現するの。他の兄弟には目を向けないのに」

「それは……」


 オリディア様がセレスを見てたのは魔王化しないか確認するためだし特別な力を与えた訳でもない。むしろアービシアのせいで爆弾を抱えていただけだ。顕現するのは……正規の手順だからシルビア次第ではジークも会えたでしょうに。


「だからセレスだけは許さないの」

「言いがかりも甚だしい。セレスがどれだけ苦労してきたか知らないで!」

「うるさいの。サクラには関係ないんだよ?」


 このマザコンがっ! ぶん殴っていいかな?


「落ち着け。気持ちは分かるが落ち着け。一回深呼吸してから殴り掛かるぞ」

「そっちこそ落ち着け!?」


 額に青筋浮かべた龍馬が私の肩に手を置く。握り締められると痛いんですけど?

ともあれ自分よりも爆発しそうな龍馬を見たおかげで少し気持ちが落ち着いてきた。


 私が龍馬を押さえているとセレスとジークの戦いが始める。


 セレスは嫌そうな顔をしつつも必要最低限の攻撃で長期戦を考えた動きをしているのに対し、ジークはスタミナを考えずにとりあえずセレスを傷つけるためだけに猛攻をしている感じだ。


「お母様の寵愛を一身に受けて! 特別扱いを受けて! 一人他の兄弟を見下していたの?」

「見下してなんかいない! 寵愛だって私だけのものじゃなかった! 特別扱いは……理由があっただけ」


 セレスの言い分には耳を貸さず、自分の意見が真実だと言わんばかりに声を荒げていく。


 しばらくはセレスも我慢して説明をしていたけど全く話を聞かないジークにイライラが溜まっている。


「もう! 話を! 聞けーーーー!!」

「お、キレた」

「とうとうキレたね」


 イライラがピークに達したセレスから紅色と桜色の魔力が吹き荒れる。


「何人からも魔力を貰ってる浮気者になんで!」

「だーかーらーさー!」


 セレスがその場で地団駄を踏み始める。

 それにしても神の魔力を他の人から貰うと浮気扱いなんだね。……そう言ってるのはジークだけかな?


 セレスが説明を諦めて積極的に攻撃を始める。

 あはは、ジークの言葉を全て無視してるよ……。


 ずっと病んだように話し続けるジークと目が虚ろになっているセレスが戦う酷い絵面が続く。


 ジークは黒の魔力を中心に魔力を武器に変えて攻撃をしている。対するセレスは紅の魔力で回復しつつ桜の魔力で黒の魔力に干渉して逆に武器を利用している。そっか。私の魔力は干渉する特性を持っていたんだね。


 相手の魔法を利用したり魔道具の力を通常以上に引き出せたりしたのは天の魔法の効力だと思っていたけど……。私の神の魔力が作用していたのかも。そうなると私は天の適正があるわけじゃなかった? 考えてると頭がこんがらがってきた。うん。どっちでもいいや。


「何百面相してるんだ?」

「気にしないで。解決したから」

「どうせ思考を放棄しただけだろ」

「うぐっ」


 さすが元私。私の思考回路を良く分かってるね。

次話は明日の17時投稿予定です


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