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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~幻想都市編~
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251話 宣戦布告

 私が警戒される理由は未だ理解できていないから三人の会話と思惑について整理してみよう。


 まずはアービシア。おそらく彼は封印されてるアビスの解放を望んでいる。……本当に? さっき会ったときはまだ(・・)アービシアだと言った。それってアービシアとアビスの二人は元が同じでも別の人格として意志を持ったということでは?

 今までの行動から考えると新世界の神になることが狙い? 真っ黒なノートでも落としそうだね。……こほん。アービシアの目的としてはオリディア様を神の座から引きずり落して自分の世界を持つことかな。最終的にアービシアとして神になりたいのかアビスとして神になりたいのかはこの際気にしなくていいと思う。


 次にオリディア様。彼女は世界の存続が望み……だよね? アービシアに対抗しつつもアビスと表裏一体だから排除はできない。けどセレス達を愛してることに変わりなさそうだから皆が排除される可能性があるアービシアの支配する世界は許容できないってところかな。

 私の意志を尊重するって言ってるのが引っかかるね。私がどう判断するか見通してる可能性もあるけど……オリディア様の態度がまるで悪戯が見つかった子供みたいな……。


「オリディア様。なにやらかしたんですか?」

「なんでやらかした前提なのよ!」


 否定しないってことは何かやったな? 嘘みたいな可能性だけど……。


「セレスを見るのに夢中になっていたらアービシアの侵攻に気付くのが遅れたとか?」

「ぎくぅ」

「アービシアが力をつけてるのに気付いていたけどどうせ大丈夫だって油断してたら足をすくわれたとか?」

「ぎくぎくっ」


 わざわざ言葉にしなくても……。アービシアは腹を抱えて笑ってるし、セレスはあきれ顔をしている。心なしか頭上の鳥もあきれているみたいだ。


 どうやらオリディア様は自分がやらかしたから私に全部投げつけちゃおうと考えてるみたい……。それでいいのか!?


 最後にセレスの望み。これは直接聞いちゃおうか。


「セレスはどうしたい?」

「サクラに任せるよ。一心同体だからね!」


 うーん。信頼してくれるのは嬉しいけど聞きたい答えじゃないな。

 まっすぐとセレスを見つめてもう一度聞いてみる。


「セレスの気持ちを知りたいかな」

「え? 私としてはお母さ――「ママと言いなさい!」ママの創った世界のままがいいかな」

「そう」


 なんとなく隠し事がありそうだけど後ろ暗い感情じゃないから気にしないでおこう。


 もともと私がどうしたいかなんて分かりきっていた。でも、改めて宣告しておこう。


「うん。決めたよ。アビスだろうとアービシアだろうと倒してみせる。その上で今の世界が滅びない道を探してみせる」

「戯言を。貴様にそんな選択肢など残っていない。俺を見逃して俺の世界で生きながらえるか俺に抵抗して全員巻き込んで死ぬかの二択だ」

「私の選択肢は私が決める。残ってなければ作ればいい! 勝負だ!」


 ビシッっとアービシアに指をさす。

 何をどうすればいいのか分かんないけどきっとなんとかなる!


 ―――


「と、私の知ってることはこれくらいよ。分かったかしら? アビスが動き始めた時点であなた達はすでに負けてるの。すでにドランとルディも消えて元の世界は崩壊し始めている。生きていくためにはこちら側につくしかないのよ」


 ヴィヴィはあくまでも淡々と事実を述べていった。竜たちはジークとヴィヴィの指揮下にいるからか動くことはなく、ジークも寝転がったまま。私達もみんな黙って最後まで話を聞いていた。


 突然告げられたドランとルディの訃報に虎徹さんとマティナが涙を流す。情報量が多くて頭が痛くなってくるわね。


 ヴィヴィが話し終え、少しの間流れた沈黙を破ったのはレオナだった。


「ごめんなさい。ヴィヴィあなたの考えは分かったけど納得はできないわ」

「なんで!? みんな死ぬのよ?」

「ヴィヴィが私達を大切に思ってくれてるのも伝わってる。でもね。ここにいるメンバーだけが助かればいいって訳じゃないわ」

「そうですよ。我々のほとんどは国を治める立場にいます。大切な国民を殺されるのを黙って見過ごすわけにはいかない」


 シルビアがレオナに追随してヴィヴィに話しかける。しかしヴィヴィに声は届いていない。


「全員死ぬのよ! いえ、世界ごと存在が消滅するの! 私にとってその他大勢よりもレオナの方が大切なのよ。……もう寝ていなさい。大丈夫。起きたら全て終わってるわ」


 ヴィヴィの目が据わってるわね……。一種の狂気と共に真っ黒な魔力がヴィヴィから放出される。


「お前がレオナを傷つけてどうする! 別の道だってあるかもしれないだろう! 闇に飲み込まれるな!」

「そうよ! あなたの愛情はそんな狭いものじゃないでしょう!」

「安心しなさい。あなた達も助けてあげるから」


 レオンとリヴィの二人もヴィヴィを説得しようとするがヴィヴィは気にもしていないわ。


「全員生きたまま捕まえるわ。全て忘れて幸せに生きていきましょう!」

「ぶん殴ってでも正気に戻してあげる! 覚悟しなさいよヴィヴィ!」


 戦闘形態(龍の姿)になったヴィヴィとジークに合わせて竜達が咆哮をあげる。

 今にも飛び出しそうなレオナを押さえつつジークが私達に指示を出し最後の戦いの火ぶたが切られた。

時系列がややこしいので簡単に整理します。

①ヴィヴィのゲートで全員バラバラになる(241、250話)、ドランとルディの戦い(245話)

②ゲートの先で各々が勝負(242~244話)、サクラがセレスと合流してシアンについて話を聞いた後アービシアに戦線布告(250、251話)

③カトレアのもとにメンバーが集合(248話)、ドランとルディの戦い決着(246~247話)

④ヴィヴィ、ジークと会敵、カトレア一行、ヴィヴィから世界が滅びかけていることを聞く(249、251話)


次話は明日の17時投稿予定です


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