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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~幻想都市編~
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249話 会敵<カトレア視点>

 本来であれば雲の上の存在である神霊の契約者が集まる中、私も一緒に戦っている。まあ今更だし緊張とかしないけどね。サクラのおかげで全員と知り合いになったけど幼い頃はこんなことになると思って無かったわ。

 何はともあれ使った傍からサクラの魔力が供給されていくおかげでジリ貧にならずに戦えているわ。たまにドジを踏んだマジュリーが被弾したりドジを踏んだマジュリーが相手にバフをかけたりして想定外の危機に陥ることはあっても概ね順調に敵の数が減っている。


「そろそろ来ますね。総員退避! 一度下がってください!」

「「了解!!」」


 我の強い人達とはいえ今までの戦闘でシルビア様の指示が的確だったから全員素直に言うことを聞く。実際になんで? と思うような指示に従って何度か命拾いしてるし……。

 私がピンチになると毎回補充される魔力の量が増えるからサクラの過保護さが伺えるわ。それにしても最初の方は渡される魔力の色が真っ白だったのに途中から桜色に変わり始めたのは何故かしら。……混ざった?

 実はレオンとリヴィが最初に纏っていた神の魔力は白じゃなくて紅色なのよね。今では私達と同じく桜色の魔力に変わってるけど……。相手に攻撃が通るから問題無さそう。


「レオナ、受けをお願いします! マジュリーとマティナの二人はレオナの防御を固めてください!」


 シルビア様の指示から推察するに大きな攻撃が来るみたいね。私も手伝いましょう。


 魔力の外皮を作って盾のように変形させる。これで少しは守りに貢献できたかしら?

 ちらりとシルビア様を見ると親指を立ててきた。余計な事じゃ無くてなにより。


 準備が終わった頃、生き残った竜が一箇所に集まり同時にブレスの準備を始めた。迫力が凄い……というか数が増えてるわね!? さすがに最初よりは減ってるけど少しずつ補充されてるのかも……。


 衝撃に備えて一箇所に集まる。……一歩間違えると全滅するから余程自信が無いと取れない手ね。


 竜の吐いたブレスが展開されている盾を貫通してレオナに当たる。


「くっ」


 レオナは少し呻き声をあげるもなんとか持ちこたえている。二人の補助があっても苦しそう。


「耐えてください。耐えきったらきっとサクラさんが褒めてくれますよ」

「任せなさい!」


 サクラの名前が出ただけで元気になるなんて単純すぎないかしら……。

 少しの間レオナが受けるとブレスが途切れる。即座にマティナがポーションで回復した。


 引き続き警戒すると竜の背中からヴィヴィとジークの二人が現れる。


「……レオナ」

「ヴィヴィ! どこにいってた――」


 ヴィヴィを見つけたレオナが駆け寄ろうとするのを慌てて羽交い絞めにして止める。


「カトレア! 何するのよ!」

「落ち着きなさい。ヴィヴィは……敵よ」

「そんなわけないじゃない! ヴィヴィは私の味方なのよ!? ずっと一緒にいたじゃない!」


 私も虎徹さんから聞いたときは違うと思いたかったけどジークと一緒にいる以上ヴィヴィが向こう側なのは間違いないでしょう。


「ええ、私は()の味方よ。敵じゃないわ」

「ほら! ヴィヴィだってこう言ってるじゃない! 変なこと言わないで! いくらカトレアでも許さないわよ!」

「落ち着きなさい」

「落ち着いてるわよ!!」


 レオナが私の腕の中で暴れ始める。

 筋力ありすぎよ! でもそう簡単には離さないわ。


「そうなの。落ち着くの。平和に話し合いをするんだよ?」

「先に手をあげたのはそちらですよ。どの口が平和を謳うんですか?」

「全員()の配下に落ち着けば平和なの」

「力で従わせて作り出した平和は仮初でしかありませんよ」

「暴力で解決しようとしてる人の発言とは思えないの」


 ヴィヴィの隣にいたジークが声をあげてシルビア様に言い返す。

 ジークはさり気なくヴィヴィやアービシアの上に立ってるような発言をしてるけど平気なのかしら。


「あなたたちの下についた覚えはないわ。勘違いしないでちょうだい」

「かまわないの。最後に配下になればいいの」

「ならないわよ!?」


 どうやら向こう側は一枚岩じゃないみたい。というかヴィヴィはなんでアービシア側にいるの?


「ヴィヴィ。あなたはなんでそっち側に?」

「……世界のためよ」


 私が質問をすると少し顔を苦くしながら答えてくれた。良く分からないわね。


「意味が分かんないわ。私が納得するように説明しなさい! 納得したら私もそっち側に立ってもいいわ!」

「レオナ!? サクラと敵対するつもり?」


 突然とんでもないことを言い出したわね。正気なの?


「理屈が通ってたらサクラ様も納得してくれるわ。納得いかなかったら……。全力で止めてあげる。それがパートナーの役目ってもんでしょう」


 一応落ち着いてるらしいレオナを解放する。向こう側につくかどうかはともかく理由は私も聞きたいわ。


「僕は邪魔しないの。話し合いで解決できたらそれが一番だと思うの」


 そういうとジークはその場で寝転ぶ。

 そう素直に話をさせるなんて……。何がしたいのか分からなくてちょっと怖いわね。……案外何も考えてないのかしら?


「そうね、単刀直入にいうとアビスを倒すと世界が滅ぶわ」


 なにを……言ってるのかしら?

次話は明日の17時投稿予定です


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