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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~幻想都市編~
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232話 平和の正体

 我に返って恥ずかしくなったがなんとか気持ちを立て直し、みんなの様子を確認することにした。


「どうやって私達を狙い撃ちしたのかな?」

「近くに来たことはばれてるんだ。魔力が一定以上の新しく入都した人を対象にすればできるだろ」

「あんたはいつまでいるのよ……」

「あ? レオナ様の盾となって死ぬまでよ」


 こ、こわぁ……。一見普通だけど目に狂気の光が宿ってるよ。これが魅了か。……レオナが敵じゃなくて良かった。


「あんた邪魔だから別の場所に行きなさい。なんならアービシア軍の一人でもこっそりと討ちなさいな」

「任せろ。いってくる」


 文字通り命を賭してくるんだろうな……。どうなるかは気にしない方がいいか。やっぱレオナの魅了は怖いな。


「これで邪魔者がいなくなったわ。サクラの友達に会いに行きましょう」

「そ、そうだね」


 レオナは何とも思わないのかな? ……思わないんだろうな。私も少なからず近くにいるからレオナがどんな性格してるか分かってるつもりだ。


 そろそろ確認しに行こう。まずはミーヤとチコの場所かな?


「いらっしゃいま……せ!?」

「おー! らっしゃい! 待ってたで!」

「二人とも元気そうでよかった」

「かわいい子たちね。さすがサクラの友達ってところかしら?」


 驚いた表情で固まるチコに素直に喜んでくれるミーヤ。私の後ろでレオナが舌なめずりしている。手を出したらだめだよ!?


「えらい別嬪さんやな。サクラさん、浮気はダメやで?」

「浮気なんてしてないよ!」

「はっ! そっちを否定ってことはもしかして……」


 突然ニマニマし始めたミーヤがチコのそばに行き耳打ちをする。あれ? 私なんか変なこと言った?


「どうやら二人には何も起きてないみたいね」

「そうだね。よかったよ」


 近づいてきたカトレアちゃんと確認しあう。


「カトレアちゃん! 付き合えたんだね! おめでとう! よかったね!」

「んで? どこまでやったんや? ほれほれ、お姉さんに言うてみ?」


 チコは純粋に祝福してくれるのに……ミーヤはミーヤだよ。それにしてもそうか。カトレアちゃんと付き合い始めたのも旅に出てからだったね。知らせてなかったよ。


「あ、そうだ。二人とも最近なにか困ったことはない?」

「なんにもないで! 平和や平和。サクラはんがおらんとつまらんわ」

「あはは、サクラちゃんがいるときは慌ただしい時が多かったね!」


 人のことをトラブルホイホイみたいに言いおって……。否定できないけどさ。これからトラブルが起きるだろうし。


「式はいつあげるんや?」

「んー。今ある問題が解決してからかな」


 カトレアちゃんと結婚……!! 考えたことがないわけじゃないけど改めて人から言われると恥ずかしいね。カトレアちゃんを見ると少し頬を染めている。そのまま目線があって思わず目をそらす。


「くぅー! あまずっぱ! 新婚か!」

「し、しんこん……」

「ミーヤちゃん! いじっちゃだめだよ!」

「すまんなぁ。初々しくて思わず……」


 久々のノリに思わず笑いあう。この雰囲気も懐かしいな。


「そういや少し前にライアスはんが来たらしいで」

「あ、そうなの? 今はどうしてるか知ってる?」

「「……」」


 一瞬二人の目からハイライトが消える。どうしたの?


「今は投獄中や」

「なっ!?」


 ライアスが捕まったって!? 助けないと!


「ま、仕方ないよね! 王様に手をかけようとしたんだもん!」

「まさかライアスはんがなぁ……。結構驚きやったで?」

「え? 王様は……」


 もしかして私達みたいにアービシアの呪いで感情がぐちゃぐちゃになった状態で王様を? それともアービシアが手にかけてライアスに濡れ衣を?


「安心せい。無事や無事」

「そう、良かった」

「じー」


 言葉で言いながら私達を見つめるチコにカトレアちゃんが怪訝な声をかける。


「チコ? どうしたの? わざわざ声にだして」

「ううん。なんでもないよ! もしかしたら二人もライアスの味方なのかと思って心配しちゃった!」


 え? 味方のつもりだったけど心配ってなにが?


「ほら、二人とライアスって中が良かったでしょ? でも二人はライアスを奪還しようとなんか考えてないよね?」


 再びハイライトが消えた目で見てくるチコ。ちょっと雰囲気が怖いよ?


「チコ? どうしたの? いくら友達でも悪さをしたら法で裁かれないとダメだと思うから奪還なんてしないよ」


 もし濡れ衣だったら全力で助けにいくけどね。それとは別でアービシアは倒さないと……。


「今の平和があるのはアービシア様(・・・・・・)のおかげだもん! 手をかける悪い奴は死んじゃえばいいんだよ!」


 ニパッと笑いながら無邪気に恐ろしいことを言い出したチコに衝撃を受ける。今、なんていったの?


 正直、それから二人の店を出るまでのことはよく覚えていない。なんとか違和感を与えないように過ごせたと思うけど……。


「さっきの二人はどういうことだと思う?」


 王都の宿に泊まってすぐ、カトレアちゃんが切り出した。


「洗脳されてると考えるのが妥当だと思うけど……」

「そうね。どうやら陛下や殿下が築き上げてきた信頼が全てアービシアに寄せられているように感じたわ。洗脳よりも記憶の改変……もしくは手柄の強奪(・・)の方がしっくりくるわ」


 記憶の改変か……厄介極まりない。


「でもあれだね、アービシアの侵略を受けたのに平和な理由がわかったね」

「……どこまでアービシアの魔の手が伸びてるのか確認しましょう。最低でも学園長とウィードさんを、余裕があればギルマス達とルアードさんの記憶がどうなってるか確認したいわ」


 カトレアちゃんの言葉に一つの可能性に思い至りぞっとする。もしかしてアービシアと戦うときに王都の民全員と戦うことになるのでは?

次話は明日の17時投稿予定です


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