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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~魔国編~
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224話 尋問

 先王から情報を得る前にレオナから情報を貰っているのは私ことサクラ・トレイルである。尋問ってなんだっけ?


「そろそろ情報を聞き出そうよ……」

「そうだったわね。任せて!」


 また不安になる物言いを……。まぁケアードの表情から余裕がなくなってきてるから大丈夫かな?


「うふふ。お父様! これからは楽しい楽しい尋問の本番よ! 定番なのは指からよね」


 そういいつつ指を一本折るレオナ。ちょっ、ちょっと待って。


「尋問下手か! 何も聞いてないのに初っ端から指を折るものがいるか!」

「最初に痛めつけるのは尋問の基本よ?」


 私の意見に首を傾げるレオナ。それは尋問じゃなくて拷問だよ……。


「でもそうね。ここから先はサクラには刺激的過ぎるかしら。情報を得たら呼ぶから外に出ていなさい」


 結界の外に締め出された……。


「どうしよっか……」

「レオナを信じて待つしかないわよ」


 それもそうか。私はグリフスに話を聞こうか。


 ―――


「じゃあグリフスはアービシアの場所に戻るんだね? きっと危険だよ?」

「おでの命は既に散った身だだ。危険など気にしねえだ」

「そう。決意は固いんだね」


 レオナが尋問もとい拷問をしている間にグリフスに今後について話を聞いた。こちらで保護することも提案したけど危険を承知でアービシアの場所に戻るみたい。もっと自分の身を大切にして欲しいな。


「サクラさま。聞いてもいいだか?」

「うん? どうしたの?」

「おではアービシア軍の配下だ。なんで信じてくれただ?」


 なんで……か。そんなの決まってるよね!


「セレスの配下だから……かな」

「んだか。ありがとうな」


 グリフスは乱暴に目を拭うと私に向かって片膝を立てた。


「今日よりおではサクラさまの配下だ。おでの命はサクラさまのために……」


 重い、忠誠が重いよ……。ここまで慕われるってセレスは何やったのさ。カトレアちゃんのそのやれやれって顔は何?


 そろそろレオナのごうも……尋問はもう終わったかな?


 途中、ケアードの悲鳴がうるさくて張っていた遮音結界を解く。


「レオナ? 情報は手に入った? ……おおぅ」


 結界の中に入ると返り血で真っ赤に染まったレオナがこちらを振り向いた。見た目がずいぶん狂気的なのに舌なめずりする姿が色っぽい……。


「サクラ? もう少し待っててね。後少しだから」

「ひゃ、ひゃくらひゃま……おたひゅけを……」


 ケアードが血だらけになりながら這って私の傍に来ようとする。様付けになってる……。思わず一歩後退るとレオナが踵でケアードの頭を踏みつけた。


「サクラ様を怖がらせるって何様かしら?」

「ひゅ、ひゅみまひぇん。ひゃくらひゃさま」


 顔がパンパンに腫れあがっているせいで活舌も悪くなってるよ……。もう話聞けないでしょ。


「レオナ? 情報は聞き出せたの?」

「うふふ。サクラ様がどれだけ素晴らしい存在か理解して貰えたわよ?」

「………………」


 はっ! 思わず絶句してしまった。情報を聞き出そうとしてたんじゃないの!?


「サクラの問いにはなんでも教えてくれるはずよ。ですよね? お父様?」


 にっこりと笑うレオナに恐怖に引き攣るケアード。可哀そうになってきたよ……。


「ヒール」

「ぐああぁぁ!」


 え゛っ!? 回復魔法をかけたら苦しみ始めたんですけど!?


「さすがサクラ様です! ここから追い打ちをかけるとは」


 光悦な表情をしてるところ悪いけど追い打ちをかけたかったんじゃなくて回復してあげたかったんだよ……。


「リグレッション」

「な、なにを……」


 時魔法で状態を回帰させたら傷が回復した。神聖な魔法がダメなんだね。


「さっきまでの状態じゃ話がうまく聞き取れなかっただけであんたの為じゃないからね」


 あれ? ツンデレっぽい話し方になった? まあいいか。


「サクラ様! なんでもお聞きくだされ」


 ケアードが私に跪いた。レオナぇ。


「なるほど、ぼろぼろの相手には軽いショックを与えてから現実を直視させた後に優しくするのね。これなら誰でもコロッと懐柔されそうだわ。流石サクラね」


 え? 私のせいなの!? レオナのせいじゃないの?

 ……もう細かいことは気にしないことにしよう。


「じゃあブルーム王国の現状とアービシア軍の戦力。それから魔国とブーワ火山にある目的のものについて教えて」

「かしこまりました。現在ブルーム王国は――」


 !? 話始めたケアードの首が突然落ちた。敵襲!? 狙いは……


「グリフス! 周囲を警戒して!」

「うぐ……」


 私の言葉に反応して横に避けるも片腕を持ってかれる。


「この感覚。ニュディルだな?」

「ニュディル?」


 未だ魔力感知に反応はない。厄介な相手だ。


「サクラさま! ニュディルは魔力感知できない相手だ。場所を把握するためにはちょいと工夫が必要だだよ。ぐあっ」


 ちょっと!? 胸から剣が突き出てるんですけど!?


「裏切り者に死を……」


 ぼそりと呟くと消えていくニュディル。何してくれてるのさ!?


 我に返ってニュディルを追おうとするも間に合わなかった。


「やられた……」


 ケアードが監視役だと思い込んでた……。まさかもう一人いるとは。


「ざぐらざま……」

「しゃべらないで」


 回復魔法……は呪いがどう作用するか分からないから回帰魔法で刺される前の状態に戻そうとする。なんで治らないの!?


「ごれば呪いだ……。呪いをどくと……おでが今いぎでいる呪いも同時にきえるだ……」

「呪いにかかる前の状態に戻せれば……」


 なんで死んでも生きながらえる呪いだけ残して今の呪いだけ消せないの?


「おでの呪いに紐づけられた呪いだ……。どうあがいてももうおではしぬ……。でも 安心して……欲しいだ。呪いでアービシアの元で生き返ることができるだよ。……だから気にせず 聞いて欲しいだ。ニュディルに対抗するための方法を教えるだよ」


 無理に嘘をついてるのが分かる。呪いに紐づいている時点で蘇生はないのだろう。それか……蘇生したら今苦しめている呪いで延々と……。


「分かった。教えて」


 覚悟を決めて頷く。グリフスの気持ちを無下にするわけにはいかない。


「んだら一度しか言えねがしっかりと聞くだ。ニュディルは……群体の魔人なんだよ。一匹一匹は強いが本体にしか魔力は宿ってないだ。んだから本体から魔力を供給されているだ」


「分体の居場所を知るためには……魔力の場所でなく魔力の流れを見るだよ。普通はできねがさくらさまなら……きっと……」

「グリフス……」


 そのまま姿が消滅するグリフス。呪いのせいで魔石の一つも残らないのか……。

次話は明日の17時投稿予定です


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