216話 久々の魔国
アフターシナリオ ~魔国編~ 開始です!
ブーワ火山を出て魔国へと向かう。
「サクラは一度行ったことがあったわよね? どんな場所なのかしら」
「毎日戦ってた記憶しかないよ……。でもかなり綺麗だったと思うよ」
世紀末な世界を想像して良い意味で裏切られた記憶があるよ。
「で、魔国の女王様にプロポーズされてるんだっけ?」
「え? されてないよ?」
ちょっとからかわれたことはあるけどプロポーズはされてなかったはず。
「ふうん?」
カトレアちゃんの雰囲気がちょっと怖い。本当にレオナとは何もないよ!? 無いよね?
カトレアちゃんの機嫌を取りつつ魔国の近くまでくる。
「そうだ! 前回は角と尻尾のアクセサリーを用意したんだけど……」
「私達には付けられないわね」
「すでに立派な耳と尻尾があるもんね」
角と耳の両立はまだしもすでに尻尾があるところに尻尾を付けることはできないよね。
「どうしようか……」
「うむむ。よし、あれを使うのじゃ」
「なるほど。それならアクセサリーも要らないね」
私は前回と同じ巻角と悪魔の尻尾のアクセサリーを付ける。二人は魔力で外皮を作って耳を角に見えるようにした。これで魔国に入っても迫害されることはないだろう。
「待ちなさい。その必要はないわ」
「誰!?」
頭上から声が聞こえてきてカトレアちゃんとコハルちゃんが警戒する。
「二人とも安心して。敵じゃないよ。ね? ヴィヴィ?」
「ええ。私はあなた達の敵じゃないわ。久しぶりね。サクラ」
レオナのパートナーであるヴィヴィが木から降りてくる。
「お出迎え? それと変装する必要がないってどうしたの?」
「レオナが頑張ったのよ。今では魔族以外の種族も歓迎されるわ。それに……。ふふっ。なんでもないわ」
途中で止められると気になるんですが? 悪い顔をしてるけど深刻なことではないだろう。
「そうなのね。なら変装を解くことにするわ。無駄に魔力を消費する必要はないもの」
二人が元の姿に戻る。角が生えた二人も可愛かったのに残念。
「ついてらっしゃい。レオナの所に案内するわ」
「ありがとう」
ヴィヴィの言葉に甘えて後ろをついて行く。早く事情を話して防衛体制を整えないとね。
道中魔国の現状を聞きつつ私達が得た情報を共有する。何か隠してるみたいだけどアービシア軍に狙われてることはルディ経由で聞いていたらしい。対策も立ててるとか……嫌な予感がするよ?
「大丈夫のはずよ。サクラにやってもらうこともあるけど危険はないわ」
やっぱりその笑顔が不安になるんだよな……。嘘は吐いてなさそうだけどね。
その後魔国へと入国する。前よりも街並みが綺麗になってるね。魔族同士の喧嘩もちょいちょい見かけるけど私達に気付いてる人はいないみたい?
「まだ見つかるわけにはいかないのよ。この後の為にも」
「そ、そう」
闇の魔法か何かで姿をくらましてるのか。ヴィヴィにたくらみを聞き出すことを諦めた私はそのまま城に向かって歩いていく。
「うおぉおおお!!」
「やれー! そこだー!」
「なんの声かしら。有名な人同士で喧嘩でもしてるの?」
「あー、これはたぶん……」
「闘技場ね。相変わらず盛況よ? ヤエ様の再来を望んでる人が多いのよね」
ニマニマしながら私をみるヴィヴィ。ヤエッテダレノコトカナー。
私の知らない人だからね? だからカトレアちゃんはこっちを見ないでよ?
「まあいいわ。どうせもうすぐ分かるでしょうし」
「分からないよ!?」
なんて不吉なことをいうんだ。まるでこの後私がヤエとして活動してた本人だとばれて魔族たちにもみくちゃにされるみたいじゃないか。
そのまま城に入る。前に案内してくれたインプはいないのかな? ただの使い魔だしヴィヴィが案内してくれている以上呼ぶ必要はないか。
ヴィヴィが扉を開けて王の間に入る。すると突然誰かに捕まった。わぷっ!?
「その手を離しなさい!」
「あら失礼。あなたも来ていいのよ?」
「いかないわよ」
私を捕まえた本人とカトレアちゃんが喧嘩してる。カトレアちゃんのガルルルルといった声が段々 と 遠 く に……。
―――
「起きなさい! だらしない顔をしてるんじゃないわよ」
「はっ! これぞ幸せパン……なんでもないです!」
カトレアちゃんの声に目を覚ます。何か顔が柔らかいものに包まれていたような気が? カトレアちゃんから冷気を感じ取って余計なことを話す前に止める。ってあれ? 今カトレアちゃんに膝枕されてる?
「もう、見せつけてくれちゃって。……そそるわね」
「サクラに近付くの禁止よ! サクラもこの女にたぶらかされたらダメよ?」
現状に気付いて顔を赤くしているとレオナが舌なめずりをする。カトレアちゃんは既にレオナを敵と認定しているらしく牙をむき出しにして威嚇している。仲良くして欲しいな?
「ほら、狐ちゃんも一緒にどう? いい事しない?」
「するわけないでしょう!」
レオナにからかわれて全身の毛を逆立てるカトレアちゃん。良かった。誘惑されなかったね。
「レオナ。カトレアをからかうの止めてくれる?」
「じゃあ今夜私の部屋に来てくれる?」
「行かせるわけないでしょうが」
「もう、カトレアちゃんいけずね~」
ヴィヴィがいるから部屋に行っても問題ないんじゃ? ……いえ、なんでもないです。行かないから耳摘ままないで。痛いから。
「いつまでも茶番してないで本題に入るのじゃ」
私達の様子を見ていたコハルちゃんがため息を吐く。一番小さいコハルちゃんが一番しっかりしてるね……。
活動報告にも書きましたが予告です!
6/11から新しい小説を投稿開始します!
こちらの更新を優先するので不定期連載となりますがぜひ読んでください!
次話は明日の17時投稿予定です
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