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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~地底公国編~
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214話 新しい武器

 ルディからアービシアの謀反について聞いて数日後、私ことサクラ・トレイルはラティナに呼び出しをされていた。刀が完成したんだって! 楽しみだね。


 カトレアちゃんとコハルちゃんを誘って三人で鍛冶場へと向かう。これから起こるかもしれない戦争に向けて少しでも力を付けようとずっと特訓していたから良い気分転換になるだろう。


「ここら一帯だいぶごつくなったわね」

「トゲトゲしいけど攻め込まれた時に対抗するためだから……」


 アービシアがドワーフ公国を狙っている情報もルディが発信したため、鉱石喰らいによって荒らされたことをこれ幸いと一から防衛機構を盛り込んで街が改造されている。ドワーフ強い。元々天然の要塞だったけどこれなら更に攻めにくくなるだろう。


 非常口……実際には違ったわけだけど……は中から外にしか出られないように改築された。ドワーフの技術スゴすぎだね。


「サクラさん待ってたよ!」


 鍛冶場に入るとラティナとマティナが迎え入れてくれる。ラティナが持ってる刀が目当ての物かな?


「お待たせしました! 氷華を修復、改良した結果出来上がった一品がこちらです!」


 そう言って手に持つ刀を差し出してくる。


「綺麗……」

「凄い魔力を感じるのじゃ……」


 鞘から抜くと白銀色に輝く刀身が顔を出す。思わずため息が出てしまった。


「凄い……」

「その子はまだ未完成。最後にサクラさんの魔力を流してあげて」


 この状態で未完成なの!? 完成したらどうなるのか……。


 少しずつ魔力を流していく。最初はゆっくり流そうと思ったけどこの()がもっともっとと魔力を強請ってくるため思いっきり魔力を流す。流した魔力に呼応して刀身が光り輝き……。一瞬視界が真っ白になった。


「ま、眩しかった……」

「サクラ、刀身を見て!」


 目をシパシパさせながらも、カトレアちゃんの言葉に刀を見る。すると、先程までの白銀の刀身に薄らと桜色の線が散りばめられている。ちょっと違和感があるような?


「この線は?」

「サクラさんの魔力を纏いやすくするための魔力線だよ。刃こぼれしても自動で修復するし持ち主であるサクラさんには重さも感じないはず」

「なるほど……」


 違和感の正体は重さがないことだったみたいだ。身体の一部のように扱える。もらった刀の出来に思わず笑みが零れる。


「ありがとう。この子の銘は?」

「その前に、もう一振り貰ってくれる?」

「これだけでも十分凄いのに貰っていいの?」

「もちろん! その子の兄弟になるからむしろ貰ってくれないと困るかな」

「兄弟?」


 氷華の欠片でも使ったのだろうか。


「この子は暴食の欠片から出てきた氷炎獄石と火廣石(ヒヒイロカネ)を使った短刀だよ

! この二つの鉱石は氷華に込められていた魔力とオリハルコンに影響されて出来てるんだ。氷華の生まれ変わりと氷華の子供で兄弟みたいでしょ?」

「氷炎獄石はともかく火廣石(ヒヒイロカネ)まで使っちゃっていいの?」

「元々サクラさんがいなかったらできなかった物だからね。少しだけ練習に使ったけど全部サクラさんの物だよ?」

「お、おう」


 伝説の鉱石がいつの間にか増えていた件。私としてもありがたいことだから素直に貰いますか。アービシアと戦う可能性が高い以上なるべく戦力は高めておきたい。


「はい。どうぞ」


 こちらの短刀は刀身が漆黒だ。吸い込まれそうな闇の色なのに何故か見ていて暖かく感じる。先程と同様に魔力を流すと今度は辺りが一瞬真っ暗闇になる。こちらの刀身は漆黒のままだね。


「どうかな?」

「見た目は変わってないけど魔力線が通ってるように扱えるよ」

「なら良かった」


 二振りの刀を持って眺める。二刀流をしたことが無いけどこの二振りを持ってると昔から二刀流だったんじゃないかと錯覚してくる。不思議な感覚だ。


「桜華と天魔……」

「! よくわかったね。白い子が桜華、黒い子が天魔だよ」

「ありがとう」


 ストレージの中に大切にしまう。この二振りの能力も何となく把握出来たし待ったかいがあったね。


 ―――


 火山の外に出て試し斬りをしてから魔国に出発する準備をする。


「ライアス達はそろそろ着いたかな?」

「サクラじゃないんだからまだまだ着かないわよ」


 そもそも別の大陸にいる時点で時間がかかるか。ルディが大丈夫って行ってたから心配する必要はないかもしれないけど何か手伝えないかな?


「余計なことをしたらダメよ? 向こうには向こうの予定があるはずなんだから」

「はーい」

「交通手段に天翼族が協力してくれるの。待ち合わせ場所はチェリエ共和国」

「そっか。チェリエ共和国は空に浮いてるから天翼族との合流地点には丁度いいね」

「なんて!?」


 マティナがライアス一行の予定を教えてくれた。なら手を貸す必要は無さそうだね。母も来るのかな?


「ちょっとサクラ! チェリエ共和国が空に浮いてるってどういうことよ! 地下じゃないの?」

「あれ? 言ってなかったっけ? 地下はブラフで結界を通り抜けると空島の一つに移動してたの」

「聞いてないわよ。いつから知ってたの?」

「神樹を登った時にね」


 だからと言って天翼族の住む島々と近い訳ではないけどね。そもそもどこまでも高く伸びると言っても神樹が地下に生えているとしたら雲の上に突き抜けることは不可能だ。少なくとも直上の砂漠を貫通しないとね。


「妖精族の里も空にあるのかしら?」

「うん? それはどうだろう」


 確かにチェリエ共和国と妖精族の里への入り方は同じように結界を通り抜けたけど……。俯瞰して見たわけじゃないから分からないな。


「サクラ。行ってらっしゃい。アービシア倒したら一緒にご飯食べるの」

「うん。行ってきます。全て終わったら神霊の契約者全員でご飯を食べたいね」

「ん!」


 準備を終え、ドワーフの国を後にする。次の目的地は魔国か。なんだか懐かしいね。

次話は明日の17時投稿予定です


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