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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~地底公国編~
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213話 もっと悪いニュース

マティナが魚料理を食べ終えると本題に戻る。なんの話してたっけ。


「悪いニュースともっと悪いニュースで悪いニュースが終わったとこだよー」

「そうだったね。じゃあもっと悪いニュースは? 聞かなきゃダメ?」

「聞かなくても良いけど……ね?」


 意味深に笑みを濃くするの止めて。始めから選択肢無いやつだよ……。


「いや怖いわ。教えて」

「りょ! なんとなんと! ブルーム王国がー?」

「ブルーム王国が?」


 ブルーム王国か、学園時代が懐かしいね。ブルーム王国の悪いニュースってなんだろう。


「サクちゃんはブルーム王国知ってる?」


 ここまできて勿体ぶるか! 早く教えて!


「生まれがブルーム王国だね。それでブルーム王国がどうしたの?」

「叔父様に乗っ取られちゃいました。きゅるんっ!」

「へぇ。叔父様にのっとられちゃったんだ。……………………なんて!?」

「あははは、理解まで時間がかかったね」


 サラッと告げてきたから直ぐには事態の重みが頭に入って来なかった。悠長なことしてる場合じゃなくない? 魔国はレオナに全てまかせてブルーム王国に行くか? でも氷華はまだ直ってないし……。


「サクちゃん。まだ慌てなくて大丈夫」


 今までふざけていたのが嘘のように真剣な顔をするルディ。ここまでハッキリと断言するからには理由がありそうだね。でも……。


「まだ。なんだね」

「うん。国のトップは幽閉されているけど民に影響は出てない。まだ水面下で行動してるみたい」

「上手く隠れてるってことか。よくそんな情報を手に入れたね」

「神霊様には色んなツテがあるからね」


 ちょっとだけドヤ顔になった。そっか。きっと妖精族みたいな存在が協力してるのだろう。


「ただ、あまり時間が残ってないのも事実。叔父様はこの国と魔国の二箇所を同時侵攻しようと画策してるわ」


 !? 同時侵攻だって? どうやって戦力を集めた? なんでその二箇所?


「サクちゃん落ち着いて。そこで相談があるんだ。ここの防衛は私とマティナでやる。幸い暴食の欠片は既に倒してもらったから守りきれるはず」

「うん」


 国は荒れているけど武器ならいっぱい……そうか、アービシアの目的は武器の調達か。


「だからサクちゃん達には申し訳ないけど二手に別れてブルーム王国と魔国の二箇所同時に救援に行って欲しい」

「それは……二人に相談してから返事をしたいかな」


 どちらに行くにしても危険な事に変わりない。けどなるべく一緒に行動したいんだよね。


「うん。分かってる。ラティナには超速で刀を仕上げて貰うけどまだ少し時間がかかるから打ち終わるまでに決めてくれたらいいよ」

「そうだね。慌てる必要はまだないもんね」


 うん。一度頭の中を整理しよう。ブルーム王国はアービシアの手に落ちたけど水面下に事を進めているおかげで国民に目立った被害は無し。ただし戦争を起こすための準備をしている……と。


 できればアービシアが潜んでいる間に討ち取りたいな。


「じゃあ戻ろっか! 好きピは待たせちゃダメだぞ?」

「ふぇっ?」

「おー! サクちゃん真っ赤! 初々しいか! リア充爆発しろ!」


 真面目な会話は終わりと言わんばかりにルディの雰囲気が元に戻る。べ、別に戻った時にカトレアちゃんが出迎えてくれるのを想像して赤くなったわけじゃないんだからね!


 ―――


「なんの話だったの?」

「アービシアが動き出したってさ」


 客室に戻り、早速ルディに聞いた話を共有する。……あれ? なんでわざわざ私一人だけ呼び出したんだ?


「そんなことになってたのね。サクラはどうするつもり?」

「私としてはブルーム王国に戻りたいかな。今は水面下で行動していてもいつ皆に牙を剥くか……」

「サクラ。先に言っておくぞ。すまんが妾は魔国に行く。絶対にやっておかねばならんことがあるからの」


 三人で今後の方針を話し合おうと思っていたけどコハルちゃんは既に決めていたらしい。絶対にやらなきゃいけないこと……欠片の退治? そうか! そうすれば妖精族の里を出た時に言っていた欠片全てとあった状態で試練に行けるんだね。


「サクラ。三人で魔国に行かない? 魔族の人達なら戦力になると思うのよ」

「向こうが準備してる間にこっちも戦力を整えるってことだね。でも魔族が協力してくれるかな?」


 今はレオナがトップに立って変わってきているとはいえ元々魔族以外が入国しただけで死罪になるような国だ。むしろアービシアと手を組んで襲ってくるまであると思うんだけど……。


「だからこそよ。もし魔族がアービシア側に付いたら向こうの戦力が一気に増えるわ。ブルーム王国を解放しようとしてる間に向こうに付いた魔族に攻め込まれたら挟み撃ちにあう」

「確かに……」

「ウィードさんや学園長を信じましょう。陛下や殿下だって黙ってやられるとは思えないわ。私達もやるべきことを見極めないと」

「うん。そうだね」


 一番良いのはアービシアが本格的に動き出す前に叩くこと。ただし失敗した時のリスクが高い。それにコハルちゃんは絶対に魔国に行く。それならば三人揃って魔国に行くべき? 私だけ一人でブルーム王国を見に行って二人で魔国に行って貰うべき? 悩ましいね。


「私もコハルについて行くわ。サクラは好きな方を選びなさい」


 どうしようかな……。


「サクちゃん! レオっちから連絡があったよ!」

「ルディ?」


 レオっちって誰?


「ライちゃんがブルーム王国に潜入するって! 今度こそサクちゃんの手伝いをするんだって息巻いてた! てんあげわっしょい!」


 ライちゃん? …………もしやレオンとライアスのこと? でもそうか。なら私は魔国に行けるね。ありがたい。


「私達は魔国に行くことにしたよ。魔族の戦力をこっち陣営に引き入れる」

「り! サクちゃんの判断なら尊重するよ!」


 さて、魔国に行く! ……前に刀を作って貰わないとね。

次話は明日の17時投稿予定です


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