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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~地底公国編~
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208話 魔物の糞

 コハルちゃんがラティナに夢幻の使用感を説明し、二人で夢幻の微調整をしている間に私ことサクラ・トレイルは鉱石喰らいを探し始めている。前回の鉱石喰らい探しの時から時間は経ってないけど出て来てる可能性もあると思ったのだ。


「ちょりっす! サクちゃんまた来たの? 暇ぴ?」

「ルディ……」

「ちょー感動もの? 再会できたね! わっしょい!」


 うーん。唐突ににぎやかになったな。それにしてもマティナから離れていいのかな?


「もちマティには話通してるよ! サクちゃんのこと手伝うっしょ」

「今日は見つからないと思うよ。どちらかというと今日は鉱石喰らいと戦う場所を探すのがメインかな」

「ガッテン! 良い場所知ってるよ。付いてきな!」


 自信満々なルディに連れられて広い場所に足を運ぶ。確かにここなら広いね。


「うーん。広いけど天井が心配だな。鉱石喰らいは土の中を進めるんだよね?」

「サクちゃんなら余裕っしょ。舐めプ上等!」


 いやいや、舐めプはしたくないかな……。手に入る素材の名前に氷炎が付いている時点で強そうだしちゃんと準備したいな。


「サクちゃん萎えるわ~。心配し過ぎっしょ」


 ルディが転がった石を蹴ってぶちぶち文句言ってる……。そんなこと言われてもな……。


「チラッ! チラッ!」

「声に出さなくていいでしょ!」


 わざわざ声に出してこちらを見てきたため思わず突っ込んでしまった。満足そうな顔が腹立つな?


「分かったよ。ここで戦えばいいんでしょ」

「にへへ。さすサクちゃん! やっぱりサクちゃんしか勝たんね!」

「もう、調子がいいんだから。で、目的は?」

「何のことかな?」


 しばらく二人で見つめあうけどルディからは何も読み取れない。ふざけてるように見えて腹の中が読めない。


 ふぅ。仕方ない。腹の探り合いをする意味もないし信用しよう。オリハルコンはもったいないから止めて何か別の鉱石を……。


「どれがいいと思う?」

「やばば。サクちゃん……ドン引きなんですけど……」


 え? 引かれた? なんで?


「銅鉱石に金鉱石。魔銀(ミスリル)まであるなんてマジパないよ……」

「ミスリル? そんなの持ってたっけ?」


 銅鉱石と金鉱石は覚えがあるけどミスリルなんて見つけたことも買ったことも無いよ?


「サクちゃんの魔力に当てられて変質したみたい。は~、尊い」

「尊い?」


 鉱石みた感想からかけ離れてない?


「あっ。今のは秘密にして欲しいっしょ」

「もしかして鉱石オタク?」

「ぴっ!」


 おお。猫耳と尻尾がピンとたった。図星か。流石ドワーフの原祖?


「ばれちゃった……。ぴえん」

「まあまあ、黙っておくからさ」

「マ? サクちゃん神! さすサクちゃん! ひゃっほー」


 情緒不安定か! 突然テンションの上がったルディを放置して罠を仕掛けたミスリルを設置してみる。ミスリルは魔力と親和性の高いから魔法を込めやすい。魔力探知の魔法をしかけたから鉱石喰らいが近くに来たら直ぐに分かるね。うんうん。


 罠に興味津々だったルディに簡単な説明をしてからラティナの部屋に戻る。どうやらコハルちゃんとラティナの話は終わってるみたいだね。カトレアちゃんとマティナを含めた四人にも同様の説明をしてからゆっくりと休む。ミスリルの話が出た時にラティナの目が怖かったな……。でも後は罠にかかるまで待つだけだ。


 ―――


 三日後、ミスリルに仕掛けた探知に反応があり様子を確認しに罠を仕掛けた場所に行く。今日はカトレアちゃんとコハルちゃん。そしてラティナとマティナの双子も来ている。

 現地に行くと冷気を発したミミズのような魔物がミスリルを食べようとしていた。この魔物のどこに鉱石があるの?


「これが鉱石喰らい?」

「そうだね。でもまだ倒したらダメだよ」

「へ?」


 魔物が鉱石喰らいだと聞いて討伐しようとするとラティナから待ったがかかる。どうしたのかな?


「これを食べさせるよ」

「溶岩?」

「うん。火炎石って名前の溶岩の力を含んだ鉱石だよ。火山にしかできない珍しい鉱石なんだ」


 ここら辺でしか採れない珍しい鉱石ね。食べさせてどうするのかな?


「氷炎鉱石は火炎石を食べた鉱石喰らいの糞なんだ」

「「「えっ?」」」


 今糞って言った? フンッテイッタノ?


「ちょっと糞は使って欲しくないかな? 他の材料は無いの?」

「サクちゃん何言うのかな? かな?」

「ルディ?」


 いくら元男とはいえ魔物の糞は武器にしたくないから他の方法を聞こうとしたらルディが出てきた。思いっきり肩を掴まれて痛いよ。


「氷炎鉱石はミスリル以上にレアな鉱石じゃん? 使わないなんてもったいないっしょ!」

「苦しいから止めて……」

「じゃあちゃんと使うっしょ!? ぴっ!」


 思いっきり肩を揺さぶられてはきそうになる。すると横からコハルちゃんが夢幻でルディに斬りかかった。あと少しで私にもあたりそうだったよ!?


「ふっ。距離感は完璧なのじゃ。妾に任せておけ」

「コハルちゃん待って! ルディは敵じゃないよ」

「そうなのかの? 分かったのじゃ」


 なんで残念そうにしてるのかな? いつから私達の娘は戦闘狂になっちゃったの!? そんな娘に育てた覚えはありません!

次話は明日の17時投稿予定です


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