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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~桃源郷編~
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191話 スカイダイビング

アフターシナリオ ~桃源郷編~ スタートです!

 車に乗って空島から降りているのは私ことサクラ・トレイルである。雲の切れ目を掻い潜って進んでいくと天翼族の人が道を開けてくれる。みんな優しいね!


「サクラを怖がってるだけだと思うわ」

「なんで!?」

「織田を倒したときの絵面が凶悪だったからのう。どっちが悪か分からなかったのじゃ」

「うぐっ」


 もっと空島のわびさびを感じていたかったのに一週間で観光を止めたのも近くにいる天翼族の人達から緊張した気配を感じたからだ。エルフや獣人が珍しいからだと思っていたけど怖がっていただけだったとは……。一週間だと十分見て回れただろうって? 空島がいくつの国で構成されていると思っているのさ。虎徹さんの道場を探しに走り回るだけでも二日かかったのだ。ゆっくり観光するには一年は必要だね。流石にそこまでのんびりできないけど一か月は居たかったな。


「そういわれると申し訳なく感じるね……」


 緊張してるだけならともかく恐怖を感じているとなると話は別だ。正規ルートから離れようかな?


「好きになさい」

「妾もどちらでも良いのじゃ。ま、早く進めるならそれもよかろう」


 二人の許可を得てから雲に突っ込むと近くの天翼族のギョッとした顔が目に入る。ごめんなさい! 突然近くの人が雲に突っ込んだら私も驚くと思うけどみんなの為なんだ。許して!


 雲の中を突き抜けると辺り一面に海が見える。大陸はまだ遠そうだね。


「こうやってみると海は広いのう」

「ところどころ光が反射していて眩しいわね。でも綺麗だわ」


 うむうむ。たまたま早朝に出発したのは正解だったようだ。狙ったわけではないけど二人とも喜んでくれるなら早起きしたかいがあったね。ん?


「きゃーーー!」


「聞こえた?」

「どうかしたの?」

「悲鳴が聞こえたと思ったんだけど……」

「ふむ。あそこではないかのう」


 コハルちゃんが指さす方向を見ると海にポツンと浮いている小さな島に大きな恐竜のような魔物が今にも襲い掛からんと構えているのが見えた。誰かが狙われているのかも!


「カトレア! 操縦は任せた! 助けに行ってくる!」


 そう言い残して車の外にワープする。直接魔物の位置まで飛んだ(ワープした)方が早いって? 魔物の反対側が見えない状態だと石の中にいる状態になりかねないから残念ながら無理だね。空と風の魔法でブーストして魔物の近くまで移動する。

 魔力感知を広げると恐竜が小さな(・・・)人を踏みつけようとしていると分かったためワープして間に割り込む。そのまま腕を突き出すと恐竜がひっくり返った。


「大丈夫?」

「す、すごいのサ」


 振り返って小さな人の方を振り返ると手のひらサイズの少女が呆然とした顔をしていた。もしかして妖精!?


「はっ! 大人間に見つかってしまったのサ! でもいい人そうなのサ? どうすればいいのサ?」


 突然我に返った妖精? は右往左往し始めた。混乱してるみたいだ。


「あなたは妖精さん? 私はサクラ。エンシェントエルフだよ。よろしくね?」

「はっ! ポーラは妖精族のポーラなのサ。よろしく……じゃなくて大人間は知覚できないはずなのにどうやってこの島にきたのサ!?」


 本当に妖精族だったのか。SDSでは出てこなかった種族だ。それにしても知覚できないってどういうこと?


 ―――

<ポーラ視点>


 ど、どうすればいいのサ! この大人間は魔物から守ってくれたし綺麗な魂の色をしてるから悪い人じゃないのは分かるのサ。でも妖精族の掟で大人間とは関わっちゃいけないのサ。逃げればいい? それとも隠れる? でも助けて貰ったのにお礼もせずに逃げるなんて誇り高き妖精族にはできないのサ。どうしよう。助けて里長~!


「助けてくれて感謝するのサ。でも大人間とは関わったらいけないのサ。だからごめんなのサ~」


 感謝の言葉だけ伝えて仲間の元へ向かう。


 あ! 珍しい花発見! この花の蜜はおいしいのさ。ちょっとだけ蜜をなめたら残りの蜜をストレージに蓄える。ふふん。私達妖精族は全員が超級適正の魔法の使い手なのサ! ほとんどが空の適正だけど大人間には使える人が滅多にいない超級適正なのサ! 大事なことだから二回も言っちゃったのサ。


 はっ! カエルだ! あいつらは妖精族を丸飲みしてくる危険な奴なのサ。ぬるぬるする液体を吐いてくるし気持ち悪いのサ。迂回するのサ!


 いい匂いがするのサ。って危ない! これは食妖植物なのサ! 甘い蜜の匂いで妖精を引き寄せてパクリとしてくる危険な奴なのサ。ふふん。ポーラ程の妖精にはお見通しなのサ! 出直して来るのサ!


 ……あれ? ここはどこサ? もしかしてポーラは迷子になったのサ? いやいや、ポーラが迷子になるわけないのサ。きっといつも通り誰かが迎えに来てくれるはずなのサ。だから迷子じゃないのサ。迷子じゃないのサ……ぐすん。


「ポーラおかえり?」

「くぁwせdrftgyふじこlp!?」


 なんで大人間がここに!?


 ―――

<サクラ視点>


「ポーラおかえり?」

「くぁwせdrftgyふじこlp!?」


 ポーラが謝ったと思ったら目の前を一周してから泣き始めた。花に近付いたりカエルから逃げたりしてたけど何がしたかったんだろうか……。


「大丈夫?」

「な、ななななんで大人間がここにいるのサ! 瞬間移動でもしたのサ?」

「一歩も動いてないんだけど……」

「そうなのサ? …………知ってたのサ。大人間のことを試しただけなのサ!」


 顔を真っ赤にして誤魔化すポーラ。癒されるね。

次話は明日の17時投稿予定です


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