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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~空島編~
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187話 サル

 改めて目の前の(織田)に目を向ける。サルは……暇そうに欠伸してるね。先に織田を倒そうか。


「む。マシな目つきになったか」

「待たせて悪かったね!」


 織田の前に踏み込んで腰を落とす。織田の驚いた顔を見つつ正拳突きを当てると織田は後ろに吹き飛ぶ。威力を殺すために自ら後ろに飛んだみたいだ。でも、虎徹さんが既に先回りしており刀を振りかぶっている。避けるか受けるか……。どちらでも反応できるように初動を見つつ拳を構える。


 ガッと言った音と共に織田が鞘で虎徹さんの刀を受けた。後ろ向きでも止められるの流石だね。正面にいる私がアッパー気味でお腹を殴ると空気が漏れた音と共に織田の体が少し浮く。そのまま回し蹴りで織田の顔を蹴り飛ばした。


「良く動きについてきたな」

「なんとかね」


 冷静になったおかげで織田の動きが良く見え、しっかりと動く事ができた。怒りで無駄な力が入っていたらしい。油断せず織田を見ると立ち上がって口を拭っている。


「くかか。やるなぁ。仲間にならんか?」

「断る!」


 予想通りの返事だったのか織田は満足気に笑った後刀を構えた。居合切り! ふと織田の体がぶれたのを確認した瞬間に氷華の鞘を前に突き出す。シュッと言った空気を切り裂く音と共に鞘が切断される。それに合わせて蹴りあげると織田が一歩離れたところで止まった。


「ふむ、対応してくるか」

「ちゃんと止まれるんだね。突っ込んできて良かったのに」

「他者に勝敗を任せるとはまだまだガキだな」


 すー はー すー はー 深呼吸深呼吸。挑発に乗らないようにしないとね。


「サクラ。代わるわ」

「カトレア? 怪我は平気なの?」

「寝たきりの二人を守るために少しだけ攻撃を受けたけどちゃんと最低限で抑えたわよ。織田は私と虎徹さんで相手するからサルはサクラとコハルで相手してちょうだい」

「動き速いけど平気?」

「任せなさいな。私は鼻がいいのよ」


 自信満々なカトレアちゃんを見てそれならと下がる。虎徹さんに話は……既に通ってるみたいだね。


「逃げるのか?」

「カトレアに勝てたら相手してあげる」


 最後まで挑発してきた織田に対して意趣返しするように無防備な背中を晒す。舌打ちをした織田が近付いてきて……カトレアちゃんに蹴り飛ばされた。


「なめないでくれる? 速さならサクラより私の方が上なのよ?」


 カトレアちゃんの啖呵を聞きつつコハルちゃんと合流してサルの元へ向かう。サルはコハルちゃんが楓さん達の魔力を吸い取ったことに気付いているのか唸り声をあげている。


「キー」

「おっと」


 早速サルが襲い掛かってくるも先ほどまで戦っていた織田と違って見えない速度でないためあっさりとカウンターが決まる。直ぐに片付けてカトレアちゃんの手伝いに行こう。


「サクラ。これを使うのじゃ」


 サルがひっくり返っているのを横目にコハルちゃんが刀を渡してきた。


「刀? これは楓さんの?」

「うむ。先程目が覚めての。まだ動けなくて加勢はできないけど代わりに使ってくれとのことじゃ」

「そっか」


 氷華よりも少しだけ長い刀身を持った丈夫な刀だ。少し重みがあるけど今の私なら使えるだろう。


 刀の素振りをして感覚を確認してるとサルが起き上がった。再度飛び掛かってきたためタイミングを合わせてサルの首を狙う。


「ウキャー!」


 刀の重みに負けてダメージが拡散していたのか今度は直ぐに起き上がった。次はしっかりと当てよう。


「サクラ。気を付けるのじゃ。様子がおかしい」

「分かった」


 コハルちゃんの注意に気を引き締める。見た目も……少し大きくなってるかも。


「ウ゛ーギャー!!」

「えっ!?」


 突然ゴリラみたいな見た目に変わって叫び始めた。進化した!?


 改めてサルが近付いてくるけど今度は先ほどまでよりも遅い。これなら確実にカウンターを……


「引くのじゃ!」


 嫌な予感と共にコハルちゃんの声が聞こえて距離を取る。


 ドゴンッと大きな音と共に衝撃波が私を襲う。織田がスピード、サルが力に全振りってことかな?


 気を引き締めてサルと向き合う。今度はこちらから近付き、大振りの攻撃を躱して首に刀を振るうもはじかれてしまう。硬いな!?


「コハル!」

「任せい!」


 一度サルから離れてコハルちゃんを背負う。狂ったように暴れ始めたサルの触れるだけではじき飛びそうな腕を掻い潜って再度近付くとコハルちゃんがサルに手を触れる。


「グギャァアア」


 サルが苦しそうな声をあげ、大きさが少し縮む。そのまま何度かコハルちゃんがサルを触れるとどんどん元の姿に戻っていく。コハルちゃんの対大罪の欠片性能が半端ないね!


「キー……」


 数十分の死闘の末、サルが完全に元の姿に戻る。


「さよならだ」


 姿が戻り、丈夫さも元に戻ったサルの首を刀で刎ねる。逃げ出した憤怒の欠片の気配もコハルちゃんが吸収して無害化した。これからの戦いコハルちゃんがいたら楽勝かも。


「お疲れ様」

「うむ」


 労いもそこそこにカトレアちゃんと虎徹さんの状態を確認する。傷は負ってるけど互角に戦えているみたいだ。憤怒の欠片が消えて憤怒の大罪(サタニエル)の心配がなくなった今なら魔法も使って織田と戦えるね。


 何度か仕切り直しになっているけど今度がファイナルラウンドだね。織田! 覚悟!


次話は明日の17時投稿予定です


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